やせるだけでなく「食べること」が大事
「産後ダイエット」のホントの話

ミキハウス編集部

出産後のママにとって、体重を元に戻したり、ボディラインを矯正したりすることは、赤ちゃんの発育の次に関心のあることかもしれません。「産後ダイエット」が話題に上ることもありますが、一般的にいうダイエットとは違う状況が、産後のママにはあるようです。そこをきちんと理解しておかないと、あとあと大変なことも起こってしまいそう。

公益社団法人日本栄養士会会員の管理栄養士で、公益財団法人神奈川県予防医学協会の今井愛さんにお話をお聞きしました。

食事制限しなくても体重は落ちる 産後ママの体の特徴

――近頃、出産を経験し、ママになったタレントさんの産後ダイエットが話題になることがあります。ネットニュースを見ると、「産後5ヶ月で11キロのダイエットに成功」「運動ゼロで16kg減」などの文字が見出しに躍り、「私もがんばらなくちゃ!」と考えるママもいると思いますが、リスクはないのでしょうか?

出産後のママは、「BMI」(Body Mass Index)が高い状態になっています。BMIとは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算する肥満の判定に用いられる指標で、BMI22を標準とするものです。厚生労働省は、妊娠中の体重増加の目安を示していますが、BMIで「やせ」の体格区分に入る人で9~12kg、「ふつう」の人で7~12kg。BMIが25.0を超える「肥満」の人は、およそ5㎏を目安とし、産院などの指導を仰ぐこととしています。

BMIが高いままだと、循環器系の疾患にかかりやすくなったり、血糖値や血圧が上がったりするリスクが高くなってしまいます。厚労省では、授乳しながら6カ月を目安に標準体重に戻すこととしていますが、半年で落とすのは大変なので、私は1年かけてゆっくり落としていくのがいいと思います。

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ここでポイントになるのは、その落とし方です。体重は落ちたけど、やつれきって不健康になってしまってはいけません。なぜなら、母乳が赤ちゃんの栄養になるわけですよね。お母さんがしっかりと食事をし、母乳を出して、そのことにより体重を落とすのが望ましいです。

日本女性の平均で母乳は、だいたい1日に780mL出ると言われていて、これで1日に517kcalのエネルギーを消費します。国の指針では、お母さんは日常生活の消費カロリーに1日173kcalを追加して、妊娠前の体重に戻しましょうと言っているので、母乳を出すだけで目標達成。これに、子どもを抱えて歩いたり、家事をやったりすることで、エネルギーを消費するので、体重は簡単に落ちていきます。普通に食べていてもどんどん体重が落ちます。母乳で育てるお母さんはむしろ約350kcal分は多くとらなくちゃいけないくらいです。

だから、減量にかけた期間によりますが、お母さんは子どもと一緒に常に動いていると思うので、運動ゼロで10kg以上体重が減ってもきちんと食事をしているのであれば、問題ありません。グリーンスムージーを毎朝飲んでいたママタレントさんもいたようですが、食事をすべてグリーンスムージーだけに置き換えてやせたわけではないようですから、これは水分をたくさんとることにつながるので、むしろいいことだったと言えます。

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