【座談会】日本在住のグローバルママに聞きました!日本は子育てするのに、良い国? 厳しい国? part 2

【座談会】日本在住のグローバルママに聞きました!
日本は子育てするのに、良い国? 厳しい国? part 2

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少子化が進む日本。その理由の一つに、「子どもを育てる環境が整っていない」ことを挙げる人も多いでしょう。しかし、日本人だけの視点では状況を客観的に評価できない部分があるかもしれません。そこで、今回は日本在住のニュージーランド、スウェーデン、ロシア、中国出身のママたちに、母国の子育て支援の状況や、実際に日本で子どもを産み、育てるなかで感じたことをうかがいました。
「出産するなら絶対日本がいい!」と盛り上がったpart1に続き、part2のテーマは「産後の子育て」について。まずは「なぜ日本人は里帰り出産するの?ありえない!」という話で盛り上がります。そこには、日本と海外で何の違いがあるのでしょうか。


■里帰り出産はありえない!? 夫婦で産んで、ふたりで子育て

――それでは、出産し、いよいよ日本で子育てを始めていくなかで、母国と違うと感じた点、驚いた点についてうかがいたいと思います。また、母国の子育て支援の制度についてもあわせて教えていただけますか?

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ウルリカさん:日本では、産後はとにかく安静にしておくようにと言われますが、スウェーデンでは、出産した当日、もしくは翌日に退院します。そして出産直後からすぐに手厚いサービスが始まります。まず、助産師が自宅を訪問してくれますし、夫も2週間の産後休暇を取得することができます。それらのサポートを利用して、産後は夫と自分と子どもとの新しい生活を開始します。男性も育児休暇を必ず取りますから、家族だけの新生活をとても大切にします。なので、里帰り出産なんてありえない!夫婦ふたりの子どもなんだから、ふたりで産んで、ふたりで子育てに慣れていかなきゃ。

ジェシカさん:ニュージーランドもスウェーデンと同じで、出産当日か翌日に退院します。もし1泊することになっても、多くの場合、ニュージーランドの旦那さんたちは2~3週間の休みをとってくれますから、必ず一緒に病院に泊まってくれます。また、「プランケット」という民間の総合子育てサービスがあって、赤ちゃんが生後1か月になるぐらいまで、助産師さんが自宅に来て、赤ちゃんのチェックはもちろん、ママの心のケアまで幅広く手助けしてくれます。「産後鬱」などの心の病は、深刻な事態になる前にカウンセリングなどで予防できるものなので、早い段階でのケアを大切にしていますね。

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エレナさん:ロシアでは産後の退院時には、家族や友達がたくさん来て、みんなでお祝いしてくれます。それに、パパからママへ「頑張ったね」と指輪のプレゼントもあったり。ただ、「生後しばらくは赤ちゃんの顔を家族以外の人に見せてはいけない」と古くから信じられているので、退院時のお披露目以降は1か月くらいまで家には誰も招きません。これは、感染症から赤ちゃんを守るという意味もあるのかもしれません。その代わりに、お医者さんが週2回来て赤ちゃんを診てくれます。

蘭華さん:中国では、あまり国をあげてのフォローはありませんね。おじいちゃんやおばあちゃん、兄弟などの親戚一同で子どもの面倒を見るという意識が強いからかもしれません。 
              
――アジア以外の国では、出産直後から子育ての支援体制が比較的整っているんですね。

ジェシカさん:ただ、私が暮らしている埼玉県のさいたま市では、助産師さんが生後28日以内の赤ちゃんがいるママで、希望する人の家を訪問してくれるサービスがあります。先日利用したのですが、赤ちゃんのことをじっくり診察して、私自身の健康や心の状態についても詳しく確認してくれました。母子ともにケアするという配慮を感じましたね。住んでいる地域によって利用できるサービスは異なりますが、使い方によっては日本もニュージーランドも実はそう変わらないのではないかと思いました。日本も変わってきている部分があるんじゃないかな。


――最近、日本では法改正があって「パパ・ママ育休プラス」という制度ができました。それまでは原則「連続して」取得しなければならなかった育休が、パパが生後8週間以内に取得する場合には、再度、育休を取ることができるようになりました。取得率はまだ低いですが、今後は出産直後から夫も子育てに参加できるようになるなど、改善されている部分も確かにあります。ちなみに、皆さんの国において育休をはじめとして、子育て支援の状況はいかがですか?

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ウルリカさん:スウェーデンでは共働きは当たり前。ですから、育児休暇は男性・女性問わず最低2か月、男女合わせて最大480日間まで取得できます。しかも、これは連続して取らなくてよくて、子どもが8歳までなら分割して取ることができます。その間、給料の8割は給付金として支給されます。この制度を総じて「両親保険」と言います。男性政治家も両親保険を利用しますし、育休を取らない男性がいると聞くと「えっ?」となるぐらい。喫茶店で、育休中のパパ同士がベビーカーを連れてお茶をする風景も珍しくありません。そこは日本と大きく違いますね。

ジェシカさん:ニュージーランドはスウェーデンと似ていますが、両親保険ほど制度は充実していません。子どもが0歳から6歳までは、保育園が週20時間まで無料などの支援はあります。年収や子どもの数によって一人に対し20時間が20〜50時間の間に変わります。

エレナさん:ロシアでは、ママは前半と後半に分けて、全体で3年の育休をとることができますが、多くの場合まず前半の1年半だけを取得する人が多いです。その間は、給料の40~50%が支給されます。また、2人目を産んだママには約100万円(インフレ率により毎年変動)ほどが支給されます。ただ、使い道はマンションや家の購入、子どもの学費などに限定されます。

蘭華さん:中国では、大きな企業であれば3か月くらいの育休取得を許され、その間に給料の6割が支給されることもあります。しかし、中国の全体的な傾向としては、経済的な側面や雇い主からの要請で、出産後はママもパパもすぐに仕事をしなくちゃいけないというムードが強い。それは、先ほどもお話したように、おじいちゃんやおばあちゃんなど家族の支えがあって成り立っている部分も大きいのですが。

――日本の「パパ・ママ育休プラス」では、ママとパパが両方との育休を取得した場合には、父母1人あたりが取得できる休業期間の上限は1年間だったのに加えて、最高1年2か月まで育休を取得できるようになりました。給付金については、休業を開始してから180日目までは給料の67%。181日から1歳までは給料の50%。スウェーデンの子育て支援はやはり手厚いですね。

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part 3に続く)

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グローバルスタンダードでは、子どもが産まれたら、男性も育休を取得するのが当たり前。「旦那さんが休んでくれるから、里帰りして出産する必要なんてない」というのは納得ですね。
最後のpart3では、「子どもに対するしつけ」について話を聞きます。


【座談会メンバー】

ジェシカさん

Jess Tajima(ジェシカ・タジマ)さん/35歳、ニュージーランド出身。日本に来て11年。インターナショナルプリスクールで3歳のクラスを担当するほか、芸能活動も。日本人の夫と、6歳の長女、3歳の長男、5か月の次女の5人家族。

ウルリカさん

柚井ウルリカ(ゆい・うるりか)さん/46歳、スウェーデン出身。日本に来て25年。空手師範の日本人の夫とともに道場を運営するほか、翻訳者・ビジネスコーディネーターとして、日本と母国をつなぐ仕事にも積極的に取り組む。16歳、13歳、6歳の3人の娘の母。

エレナさん

Elena Kazama(エレナ・カザマ)さん/33歳、ロシア出身。日本に来て10年。主婦業のかたわら、モデル活動も行う。日本人の夫と、6歳と4歳の娘2人の4人家族。

蘭華さん

坂口蘭華(さかぐち・らんか)さん/42歳、中国出身。日本に来て10年。専業主婦。日本人の夫と、18歳の長女と9歳の次女の4人家族。今回は、長女の玲華(れいか)さんも座談会に飛び入り参加。子どもの立場から、中国と日本の教育環境の違いについてコメント。

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