“休む力”のある企業に学ぶ!(中編) 
会社が夫婦のコミュニケーションを手助けする理由

ミキハウス編集部

子どもを育てることは、夫婦が協力して行うもの。けれど、どうしても母親の負担が大きくなってしまう現実があります。育児休暇の取得率を見てもそれははっきりと表れていて、2013年度の男性の育休取得率は2.03%でした。この現状に一石を投じる動きが徐々に出てきています。それは、どんなものなのでしょうか?

 

男女とも育休がとれる会社に! 男性職員の取得率100%を達成

厚生労働省が今年10月に発表した「イクメン企業アワード2014」で、特別奨励賞を受賞した「日本生命保険相互会社」(本店:大阪府大阪市)。日本有数の大企業ですが、受賞理由は昨年度、男性の育児休業取得率が100%(※)に達したことによるものでした。同社は9割が女性という職員構成。以前から女性の活躍推進に全社を挙げて取り組んでいますが、男性の育休取得もその一環であったといいます。それはどういうことなのでしょうか? 「人事部輝き推進室」の小林あさひさんに伺いました。

「制度自体はあったのですが、男性が育休をとる人風土はありませんでした。女性は家庭との両立のために、時間のやりくりするなど、男性と同じように働けない現実があります。男性が育児に参加することで、男性が育児や家事を両立する女性の働き方を理解し、自分自身の働き方を変えることで、男女とも働きやすい職場がつくれると考え、意識改革のきっかけとして始めたのです」

  • 育児休業取得の対象となる男性社員が全員1日以上の育休を取得したという意味。

 「こんなに子育てが大変とは知らなかった」 育休取得者の生の声

本社では3年ほど前から、予備軍も含めたパパ職員、ママ職員が集まる「パパママランチ交流会」を実施。子育てに関する悩みや相談をざっくばらんに話せる機会を設けています。そこで、男性職員が“子育てにもっと積極的にかかわりたい”と思っている本音を知ったことも大きかったそうです。

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人事部輝き推進室の小林さん

小林さんは、一気に100%の取得率を実現できた理由を、「会社が本気であることを繰り返し伝えたことですかね」と話します。経営トップや役員が、いろいろな場面で「育休をとろう」と呼びかけ、該当者は年初にいつ育休をとるかを人事部に提出。その後、きちんと計画通りに取得しているかチェックし、未取得者にはメールや電話で何度も連絡をとったそうです。「最終的には1年で約500人が取得しました」(小林さん)。

育休取得後、「妻はのんびり子育てをしているものと思っていたが、実際にやってみたら息つく暇もなかった」「育児の大変さを知って、妻を尊敬し、感謝の思いが強くなった」「子どもが寝返りをうつ決定的瞬間に立ち会えた」などの感想が聞かれたとのこと。また、「妻からほめてもらいました」「妻だけでなく、両親や家族から、いい会社だねと言われた」という声も。「仕事においては、業務内容を共有することの大切さがわかったり、効率よく仕事をする方法を考えたり、会社として大きな成果があったと思います」と小林さんは振り返ります。

次のページ 「イクメンの星」を発表し、「イクボス」賞も受賞

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