妊娠、出産にまつわるデータ集:第8回 妊娠中の母親の喫煙率

妊娠、出産にまつわるデータ集:第8回 
妊娠中の母親の喫煙率

妊娠・出産インフォ

<今回の掲載データ>
■妊婦の喫煙状況
■妊婦の年齢別喫煙状況
■妊婦の都道府県別喫煙状況

妊娠中のママの喫煙は、決して小さくない問題です。妊婦の喫煙率は減少していますが、最近では、経済格差による喫煙率の地域差も明らかになってきました。プレママをめぐる喫煙の実態を見ていきましょう。


妊婦のタバコによる2大リスクとは?

喫煙による健康被害のリスクは広く知られていますが、おなかに赤ちゃんのいる妊婦の喫煙は、本人だけでなく胎児にも影響が及ぶので、重大な問題です。

第一に喫煙している妊婦は、喫煙していない妊婦に比べて、早期、自然流産、前置胎盤や胎盤早期剥離の危険が高まります。その増加数は2~3倍といわれています。第二に、生まれてくる子の出生時の体重が2,500g以下になる確率が高まります。いわゆる「低出生体重児」ですが、その数は約2倍。その理由は、胎盤によって母親と胎児がつながっているから。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素が母体に吸収されることによって、子宮内の血流が減少したり、血液中の酸素が少なくなったりします。このことが胎盤と胎盤つながる胎児の低酸素状態を招き、出産トラブルへとつながるのです。

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厚生労働省は、2010年に行った「乳幼児身体発育調査」において、乳幼児がいる母親12,426人を対象に妊娠中の喫煙について調査しました(図1)。その結果、「吸う」と答えた人は、384人で全体の5.0%。1日に吸う本数では、「1~2本」が45人、「3~5本」が108人、「6~10本」が158人、「11本以上」が72人でした。10年ごとの頻度で実施される同調査ですが、前回にあたる2000年の調査で「吸う」と答えた人の割合は10%。10年で約半減したわけですが、これは日本全体の喫煙率の低下と比例するものです。よい傾向にあるといえますが、それでも妊婦の5%が喫煙するという現実は、重く受け止めなければならないことに違いはないでしょう。


「地域差」も 専門家が指摘する「経済格差」との関係 

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もう少し細かく、妊婦の喫煙率について見ていきましょう。

まず、先ほどの調査によると、年齢別の喫煙率は15~19歳の若年層が14.3%と最も高くなっています(図2)。前回調査の34.2%からは大きく減っていますが、そもそも法的には禁じられている年代。早い時期から妊娠、出産と喫煙の関係について、正しい知識を得る機会をつくることが大切でしょう。

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図3

また、厚生労働省研究班(代表・山縣然太朗山梨大教授)が2014年2月に発表した調査結果によると、妊娠がわかったときの母親の喫煙率には、1.5~2.4倍の地域格差があることが明らかになりました。同調査は、2013年の4月から7月にかけて国で乳幼児健診を受けた母親ら75,622人を対象に妊娠判明時に喫煙していたかどうかを尋ねたもの。都道府県ごとの結果を割合に応じて5つのグループに分類したのが左図ですが、北海道や青森など最も高いグループの喫煙率(17.8%)は、最も低い愛知県などのグループ(9.1%)の2倍に達していることがわかりました(図3、提供:時事通信社)。

地域の経済状況の格差によるものと結論付けられましたが、山縣教授はこういっています。「子どもは環境を選べない。どこで生まれても健やかに赤ちゃんが育つことができるよう、社会が対策を取るべきだ」。赤ちゃんと喫煙の問題は、妊婦だけではなく、社会全体の問題なのです。


乳幼児突然死症候群(SIDS)と「両親の喫煙」

もちろん、赤ちゃんが生まれてからも親の喫煙は悪影響を及ぼします。

元気だった赤ちゃんが、事故や窒息ではなく眠っている間に突然死亡してしまう「乳幼児突然死症候群」(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)。まだ解明されていない事柄の多い病気ですが、「うつぶせ寝」「人工栄養児」(粉ミルクで栄養摂取をする子)とともに、「両親の喫煙」と発症の関係についての調査結果が出ています。1997年度の厚生省心身障害研究「乳幼児死亡の防止に関する研究(主任研究者:田中哲郎)」によるものですが、両親が喫煙する場合は、しない場合の約4.7倍の値でSIDSの発症率が高くなると報告されているのです。

受動喫煙の問題もありますが、胎児よりも乳児のほうがニコチンの影響は大きくなることも指摘されています。これは、乳児が母乳を飲んでいる場合ですが、血液からよりも母乳からのほうが、赤ちゃんはニコチンを凝縮して吸収してしまうから。その結果、赤ちゃんに不眠、下痢、嘔吐や脈が速くなるなどの症状が出ることもあります。

喫煙の赤ちゃんへの影響は、想像以上に大きいものです。しかし、喫煙の習慣がある女性でも、妊娠前に禁煙した場合は子どもの出生体重は喫煙しない妊婦と同レベルに。また、妊娠初期にタバコをやめることができなくても、妊娠3~4ヶ月までに完全に禁煙すれば、低出生体重児や出産トラブルのリスクを減らせるとも言われています。

赤ちゃんを健やかに育てるための準備は、たとえ遅くなってしまったとしてもやっておきたいこと。プレママ、ママだけでなく、パパやその他の家族も改めて喫煙に関するリスクを把握し、何ができるかを考えてみましょう。

 

【引用元】
・喫煙の健康影響について―厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/kaigi/060810/07.html
・飲酒、喫煙と先天異常―日本産婦人科医会
http://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/jigyo/SENTEN/kouhou/insyu.htm
・乳幼児身体発育調査―厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/73-22-01.pdf
・妊娠判明時の母親の喫煙率―時事通信社
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_health20140222j-06-w350
・厚生労働省の最新たばこ情報―公益財団法人 健康・体力づくり事業財団
http://www.health-net.or.jp/tobacco/ladies/mr4000003.html

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