やすのり先生のキーワード解説(2)
人工授精/体外受精/顕微授精<後編>

ミキハウス編集部

妊娠、出産にまつわる“今さら聞けない”基礎的な事柄を教えてもらう「キーワード解説」。今回は前回に引き続き、「人工授精」「体外受精」「顕微授精」後編です。やすのり先生こと、慶應義塾大学医学部名誉教授の吉村泰典医師に詳しくうかがいました。

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前回、人工授精のお話しをしたので、今日は体外受精から説明しましょう。体外受精というのは、女性の体の外で受精が行われること。世界で初めて1978年に、英国のロバート・G・エドワーズ博士とステプトー医師が成功させた技術です。精子だけでなく、卵子も体外に取り出す必要があります。つまり「採卵」です。

採卵するには、最初に排卵誘発剤を女性に注射し、多数の卵胞を成育させます。直径18mm以上の大きさまで卵胞が育ったら、麻酔をかけた手術で、卵子を取り出します。採卵自体は5~10分程度で完了し、その後、培養士がシャーレに精子浮遊液を準備し、そこに採卵卵子を入れ、受精させるのです。

2_1体外受精
2_2体外受精

顕微授精は、卵子の中に顕微鏡下で直接一つの精子を注入し、受精させます。顕微鏡で見ながら行うので、この名称になっています。

2_3顕微授精

顕微授精のようす。卵に針を入れ、精子を注入しているところ。

体外受精、顕微授精の場合は、受精卵を女性の体に戻す作業が必要です。受精卵は受精後、細胞分裂していき、「胚」になります。正確に言うと、女性の体には胚を戻します。やり方は人工授精のときと同じように、カテーテルを用い、胚を子宮腔内へ。

採卵した周期に胚を戻す場合を「新鮮胚移植」と言い、胚をいったん凍結しておき移植することを「凍結融解胚移植」と言います。一度の採卵で複数個の卵がとれた場合は、受精卵も複数個つくり、胚とした後に凍結。初回で妊娠に至らなかったときには、再度その胚を融解して、移植するというわけです。

余談ですが、体外受精が驚きをもって人々に受け入れられた当時、体外受精で誕生した子どものことを“試験管ベイビー”と呼びましたが、実は試験管は使わないのです。英語で体外受精のことを「In Vitro Fertilization(IVF)」と言いますが、in vitroには「試験管などの人工的な条件のもとで」という意味があります。日本語に訳すときに、これが“試験管”となったために、そう呼ばれていたのです。

不妊治療では、男性、女性ともに検査を行い、精子や子宮に問題がなく、排卵がきちんとある場合などは、「タイミング法」に進みます。タイミング法とは、排卵日近くに性生活をもってもらうよう指導するものです。血液検査などでホルモンの値を調べると、排卵日が予測できますから、女性が30代前半までであれば、半年ほど続けてみると妊娠に至るケースは少なくありません。35歳以上の女性なら、タイミング法は2、3ヶ月行い、人工授精にステップアップするのが一般的です。2、3回試しても妊娠しないようなら、体外受精へ移行するというのが目安ではないでしょうか。

ただし、人工授精以上のことはやりたくないという方もいらっしゃいますから、どの医療機関でも患者さん自身の意思を尊重して、治療を行っています。

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