昔はみんなやっていた子どもの“預け合い”
「なかまほいく」に学ぶ、助け合う子育て

2015.10.05

ミキハウス編集部

「なかまほいく」という言葉を聞いたことがありますか? なかまほいくは、NPO法人新座子育てネットワークが東京都や埼玉県を中心に実践している、住んでいる地域での育児サークルに預け合いをプラスした新しいタイプのサークル活動です。「お母さん同士で子どもを預けることが本当にできるの?」「預けるのも預かるのもちょっと不安……」「他人の子を預かるなんて自信がない」など、さまざまな声が聞こえてきそうですが、実際はどんな様子なのでしょうか。子育て中のママならきっと気になる「なかまほいく」のことについて話を伺いました。

 

子育てはみんなでするもの “預け合い”は子育ての原点

最初になかまほいくのスキームについて説明しましょう。

  1. 1対象となるのは、0~3歳の子どもとその保護者。
  2. 2週一度、一回1時間半から2時間のサークル活動を計10回行う(※開催場所は基本的に同じ)。
  3. 3定員は12組程度。
  4. 4サークル活動費として1回600円×10回=6,000円の参加費が必要。

 

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10回のサークル活動の最初は、親睦を深めるため親子そろっての活動となります。その後、グループを半分にわけて、自分の子どもを他の参加者のママに預けたり、その逆で預かったりという体験をします。子どもを預けている間のママたちは、自分たちの時間を楽しみますが、何をやるかは自分たちで決めます。

ただおしゃべりをして過ごすこともあれば、お菓子を作ったりバスボムを作ったりといったワークショップ的なことを実施したり、職場復帰に備えてレクチャーを行ったりすることも。今回が子どもを預ける側であれば、次回は預かる側になる、という形で進行していきます。最終回はママたちの主導により全員でお楽しみ会を開催し、全10回のサークル活動が終了。この10回のサークル活動を通して、自然にママたちが互いに安心して子どもを預けられる関係を築くことができる内容になっています。

子育てでは、ベビーシッターを雇うほどではなく、1日のうちにほんのちょっとだけ子どもを見ていて欲しいシチュエーションがけっこうたくさんあります。

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「昔は常に子どものまわりには、家族や親戚や近所の人など誰かがいたと思うのだけど、核家族となった現代は“そのほんのちょっとの間見てもらう”ということが簡単にできません。その上、今は託児ボランティアの数が足りなくなり、一時預かりニーズがとても増えています」と話すのはNPO法人新座子育てネットワーク事務局の晴山園世さん。

晴山さんたちの時代は、まだファミリーサポートや一時預かりサービスといったものがなかったので、子どもを預けたり預かったりというようなことは全部ママたちが自主的に自分たちでやり、それが普通だったそう。

「昔は普通にやっていたことなので、それを今の世代のお母さんたちに伝えているという感じですね。今のお母さんたちは育ってきた環境の中で子育てを間近で見たり接したりする機会がないまま子どもを産み、それも大概はひとりだけなので、とにかく何も経験がないから不安なんですね」(晴山さん)

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なかまほいくでは、晴山さんのようなスタッフの方々が事務局として10回のサークル活動の企画・運営・実施のサポートを行いますが、「基本的に、この会はすべてお母さんたちが自分たちでやりたいように決めて開催していくもので、私たちスタッフはあくまでもサポート役ですよ」ということを伝えます。すると、最初は受け身だったママたちが、回を重ねるごとに自分たちで物事を決め、判断し行動できるようになってくるのだそう。自然に互いを思いやりながら状況判断する術を身につけ、最後の方ともなるとママたちは本当にテキパキと会を進行していくようになるといいます。

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「今のお母さんたちは何もできないなんて言われたりもしますが、子育て能力はもちろん、前の世代が普通にしていたことをできる能力はちゃんと持っているんです。ただ、これまでその能力を使う機会がなかっただけなんですね。なので、私たちがきちんと伝え誘導してあげると、みなさん素晴らしいくらいにその能力を発揮するんですよ。なんだ、ちゃんとできるじゃない。私たちがお手伝いすることなんてないじゃないって(笑)」(晴山さん)

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