不妊治療期間中の心の支え 妊活カップルにとって「大切なこと」とは

不妊治療期間中の心の支え 
妊活カップルにとって「大切なこと」とは

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■妊活の「悩み」、パートナーと共有できていますか?

現在、日本では約5.5組に1組の夫婦が不妊症で悩んでいると言われています(※1)。厚生労働省によると、何らかの不妊治療を受けている療患者数は約50万人と推計され、その数は年々、増えているとか。

不妊は女性の問題と思われがちですが、最近の研究により不妊の原因は女性だけでなく、男性側にもあることが分かっています。WHO(世界保健機関)の発表によると、不妊原因が男性のみにある場合が24%、女性のみの場合が41%、男女ともにある場合が24%————つまり、男女双方に原因がある場合を加えると、約半分のケースで男性が関係していることになります。しかし、男性にそうした“認識”を持っている方はまだ多くないのが現状です。

そんななか、ロート製薬は妊活中の4組の夫婦に、妊活の悩みを夫婦互いに共有することで、ふたりで前向きに妊活をして欲しいという想いを込めた8分のムービーを制作しました。まずはこちらをご覧ください。

動画に登場する4組の夫婦は、同じような悩みを抱える他の夫婦とパートナーを交換して妊活について質問し合い、対話をします。なかなか本当のパートナーとでは話せないことも、他人なら不思議と本音が出てくる出演者たち。終盤では、出演者たちが質問や対話を繰り広げる過程で、自分の本当のパートナーが今どんなことに悩んでいるのか、妻や夫の心に改めて寄り添う様子が描かれています。

 

■夫婦のすれちがいはどうして起こってしまう?

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誰よりも近い存在だからこそ言えないこと、聞けないことがある……そんな、夫婦のコミュニケーションのずれはなぜ生じてしまうのでしょうか。語り合うこと、コミュニケーションを密に取ることで、そのずれはどのように埋められていくものなのでしょうか。

2004年の設立以来、数多くの不妊症に悩むカップルを支援してきたNPO団体「Fine」の松本亜樹子代表は、同ムービーについて、「一緒に暮らしているからこそ話せない、二人の微妙な距離感がリアルに表現されています」と評価します。

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「私自身、不妊治療の経験者なんです。だから、不妊治療中のカップルにおけるコミュニケーションの難しさ、大切さはとてもよくわかる。自分の本音を話すことも難しいし、(相手の)本音を聞き出したくてがんばって話を振る。仮に『大丈夫だよ』、『一緒にがんばろう』と優しく言われても、その返答さえも気を遣っているのではないかと疑心暗鬼になる……。不妊治療中の女性は、相手の気持ちとか思いに不安を感じるものなんです」(松本代表)

不安があるから、意識してコミュニケーションを取る必要がある、と松本代表。

さらにこう続けます。

「本来、妊活というのは互いのコミュニケーションがあってはじめて“前進”できるものですが、実態はそうはなっていません。こういった妊活時のコミュニケーション不足の原因は、産む性と産まない性という根本的な違いに因るところは大きいでしょう。女性は、年齢を重ねるにつれて危機感を抱きやすいものですが、男性はなかなか自分ごと化するのは難しい。一般的に、女性よりも男性ほうが、ふだんの生活で子どもに触れるチャンスが少ないというのも、本当に自分は子どもが欲しいのかと真剣に考えるきっかけに巡り会えない原因かもしれません」(松本代表)

妊活中のコミュニケーション不足。この問題を抱えるのは初めて妊活をしているカップルだけではありません。松本代表曰く、「二人目を望んでいる母親は、特にコミュニケーションで悩んでいるケースが多い」とのこと。

「二人目を望んでいるのになかなか妊娠できないというカップルは少なくありません。たまたま一人目が運良く妊娠できただけだったり、加齢に伴って子宮や卵巣、精巣に何かしらの問題を抱えていたりと、原因はさまざまです。しかし周囲からは『二人目はまだなの?』と声をかけられることもしばしば。当然、女性は焦りますし、パートナーの男性に相談しても『一人目ができたのだから、二人目も大丈夫だろう』と軽く流されてしまったり。それで、なかなか誰にも相談できなくて悩んでいる方も少なくないんです」(松本代表)

■まずは語り合おう! 妊活の第一歩は「意思の統一」から

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妊活におけるコミュニケーションの問題。この課題について、不妊治療の経験者や治療中の方たちにもお話を伺いました。

今年で48歳になるNさん(女性)は28歳の時に結婚。不妊治療を始めたのは、38歳の時だったと言います。

「ずっとフルタイムで働き、歳を重ねるごとに社内でのポジションもあがると、なかなか子どもを産むか産まないかについて夫婦で話し合うチャンスがなく、私自身も本当に子どもが欲しいのか考えないまま気づけば結婚して10年が経っていました。妊娠を自分のこととして向き合ったきっかけは、夫がある病気で入院したこと。お医者さんから『手術後の旦那さんの様子次第では、もう子どもは諦めたほうがいい可能性もあります』と言われ、その時初めてお互いに『実は子どもが欲しかった』ということに気づかされました」(Nさん)

なかなか成果の出ない不妊治療中、Nさんは何度も「もうやめ時なのではないか」とも思ったのだそう。それでもパートナーは決して「じゃあもう仕方ない」と首を縦には振らなかったといいます。

「夫にそこまでの子どもに対する熱意があったとは思ってもいなかったのでビックリしました」(Nさん)

そんな妊活中、Nさんがパートナーから声をかけられてうれしかった言葉はなんだったのでしょうか。

「夫からは『妊活、大変だよね』という同情の言葉よりも、もっとシンプルな問いかけをもらった時に心が軽くなりました。例えば週末病院に行く旨を伝えた時に『じゃあこの場所で待っているから、送っていくね』という言葉だったり、私の話を『そうだね』とただ聞いてもらうことの方が、ずっとうれしかったです」(Nさん)

そうしたコミュニケーションをとりながら、Nさんは44歳の時に、第一子を出産したといいます。

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もともと「子どもが欲しい」という意思統一は図れていても、妊活中のすれ違いに悩むケースもあります。現在二人のお子さんを育てているOさん(女性)は、31歳で結婚。「お見合いでの出会いだったため、結婚直後からすぐに子どもをつくるつもりだった」と振り返ります。しかしパートナーが病気を患ったり、治療後もなかなか子どもに恵まれず、38歳の時に体外受精で待望の第一子を授かりました。

7年という長い期間の不妊治療中、比較的対話は欠かさなかったというOさん。とはいえ、互いに「子どもをもつ」という人生の一大イベントに対する価値観はなかなか一致しなかったのだそうです。

「何年も続く治療の中で、私の中では『自然に子どもが授からないのであれば、例えば養子をとるという選択肢も、家族の形としてはあり得るのではないか』とずっと考えていました。けれども、夫は『絶対に自分の子どもを諦めたくない』と言ったんです。私はどちらかというと『なぜ子どもが欲しいのか、子どもを育てるということはどういうことか』とじっくり考えるタイプだったので、夫に『なぜ頑なに私の子どもにこだわるのか』と聞けば、『自分の子どもを持ちたいと思うのは自然な気持ちだ。その自然な気持ちを持つことに理由は必要なのか』と、何度も押し問答になって衝突しました」(Oさん)

こうした意見の交わし合いは比較的よく行なっていたというOさんですが、これだけ妊活の期間が長いと、治療やコミュニケーションがつい事務的になってしまうことも。

「治療が長くなっていたからか、夫も排卵期にふらりと飲みに行ってしまうこともあり、その時は流石の私も激怒しました。私が理詰めで責めて、夫を泣かせてしまったこともありました」(Oさん)

夫婦での対話を通して意見のすれ違いや価値観のズレに向き合ってきたOさんですが、ひとつ問題が解決しても、また新たな課題が見えてきたり、解決しないまま持ち越されるものもあったのだそう。「これからもコミュニケーションをとることを大事にしながら、子どもの成長と共に問題をクリアしていきたい」と話していました。

結婚6年目を迎える42歳のTさんと33歳の妻Sさん夫妻。妊活をはじめて約3 年。一時期は、妊活のせいでお互いの関係がギクシャクしたと言います。しかし昨年の夏、妊活について、さらにお互いの人生について深く語り合う機会をもうけたことで、状況は大きく変わったと振り返ります。

夫であるTさんはこう言います。

「まだ妊活は続ける予定でいますが、できなかった時の人生…その可能性については十分あることだし、それを受け入れるための話し合いをしました。できなかったとしても、それが僕たちの人生。もちろんそんな簡単に割り切れることではないし、完全になにかが吹っ切れたわけでもないんですけど。ただ、今まさに妊活をしている最中で、できないことに対する不安感とか絶望感みたいなものを極力感じないようにしたくて、妻には僕の思いを語りました」(Tさん)

夫Tさんの言葉を聞いたとき、「最初はあまり受け入れたくはなかった」と語る妻Sさん。しかし、話し合いの最中で、少しずつ前向きになれたといいます。

「そういうできなかった可能性を考えること自体、言霊じゃないですけど、妊娠を妨げるんじゃないかなと思ったくらいです(苦笑)。でも、強い気持ちを持つことと、結果そのものを受け入れない、受け入れたくないと考えるのではなく、自分たちなりにしっかり現実に向き合わないといけない。もちろん、今もすごく赤ちゃん欲しいし、いつか会えると信じてます。でも、それでもできなかったことも少しは考えておかないといけない。だから、心の中のほんのちょっと、少し空いたスペースに、できなくても私たちの人生を楽しもう、というポジティブな思いを詰め込んでおこうかなと思いました」(Sさん)

夫婦だから語ることの難しい問題。近すぎるからこそ話せない思い。ただ、語り合うことで開ける道もきっとあるはずです。

前出・松本さんは、「日頃から対話をすること。そしてビジョンを共有し合うこと」が何よりも大切だとエールを送ります。

「妊活は一人ではできないからこそ、まずは結婚というスタートラインに立った時点でお互いが5年後、10年後、どこでどんな家族でいたいのかという意思疎通を計っておくことは大事です。そうすれば『やっぱり子どもが欲しいと思った時には、もうタイムリミットだった』という事態は少なからず防げるはず。そして、妊活における考え方の共有も定期的に行う習慣をつけてほしいですね。その際は、まずゆっくり話す環境を整えることも大切。例えばお互いに疲れていない休日の日中、他のことに気が紛れないように家の外で、そうした大事な話を振ってみましょう。こういう話題は、ともすれば喧嘩の原因になってしまうのではないかとビクビクしてしまう人もいるかもしれませんが、そうした真面目な話をするのに最適なシチュエーションを選ぶのも、コミュニケーションをうまく取るコツのひとつです」

妊活は終わりのない営みではありません。まずはお互いが今どういう悩みを持っているのかを語り合うことで、思いを共有し、“ふたりごと”として問題に向き合ってみてはいかがでしょうか。

 

【出典】
※1 国立社会保障人口問題研究所「第 15 回出生動向基本調査」(2015年6月)

【関連サイト】
ロート製薬の排卵日予測検査薬 dotest
http://jp.rohto.com/dotest/

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