赤ちゃんもママ・パパも幸せにしてくれる お歌の「歌い方」、「聴かせ方」とは

赤ちゃんもママ・パパも幸せにしてくれる
お歌の「歌い方」、「聴かせ方」とは

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お歌を歌うママ・パパをじっと見つめたり、リズムに合わせて体をゆすったりと、赤ちゃんはお歌や音楽が大好き。生まれたばかりの赤ちゃんも、お歌や音楽が聞こえてくると、泣き止むことだってあります。

お歌とは、赤ちゃんにとってどんな意味を持つものなのでしょう。音楽を聴かせることで赤ちゃんの成長によい影響があるのでしょうか。そして、赤ちゃんはどんなお歌や音楽を喜ぶのでしょう。

ミキハウス「出産準備サイト」では、そんなママやパパの疑問にお答えすべく、赤ちゃんと音楽に関する研究をしている玉川大学リベラルアーツ学部教授の梶川祥世先生にお話を伺いました。

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聞きなれたママやパパの声は赤ちゃんに安心感を与えます 

赤ちゃんが泣きやなまない、なかなか眠ってくれないという悩みは、ほとんどのママ・パパが経験しているはず。ネット上にある「赤ちゃんが泣き止むお歌」や「赤ちゃんがすぐに寝つく音楽」といった音源(や動画)を試してみたという方も少なくないのではないでしょうか。

そもそも、赤ちゃんにとってリラックスできる“心地よい音”とはどんなものなのでしょうか。玉川大学の梶川先生は、こう述べられます。

「赤ちゃんが落ち着く音についての研究によると、38週目の胎児でも、ママの声が聞こえたときは心拍数が増加し、知らない女性の声では減少するという結果(※)が報告されています。つまり胎児でも“聞きなれたママの声”をちゃんと記憶し、そしてなんらかの興味を持っていることが伺えます。また、妊娠中のママが好きで繰り返し聞いている音楽を、(誕生後の)赤ちゃんは記憶していてじっと聞いたり心地よさを感じたりします。また好きな音楽を楽しんでいる時のママは、リラックスや爽快感を感じ、それが血流量や心拍数の変化にも表れます。その変化はお腹の赤ちゃんの状態に影響するので、好きな音楽を聴いて楽しむことは赤ちゃんにとっても良いことと言えます」(梶川先生)

胎教として聴く音楽はクラシック音楽がいいのでは、と思われがちですが、決してそういうことではないそうです。また生理学的、脳科学的に胎児や赤ちゃんにいい音というのがあるわけではなく、赤ちゃんがどんな音を好むとか、どのジャンルの音楽で赤ちゃんが落ち着くかということは、それぞれの赤ちゃんの環境で違うとのことです。

そしてなにより、ママ自身が心地よいと思う音楽を聴くことの方が、胎児にとってもよいとのこと。また、ママ(やパパ)がおなかの赤ちゃんに繰り返し歌いかけたり、話しかけたりすることで、赤ちゃんはその「音」を徐々に記憶し、心地よさを感じていくようになっていくのだそうです。

ママの歌声の効用は、赤ちゃんをリラックスさせるだけではありません。

「赤ちゃんは、ママの声で気持ちが落ち着くだけではなくて、ぼんやりした意識が活性化して、ワクワクするということもあるようです。ママの歌声と赤ちゃんのストレスとの関係を調べた研究で、コルチゾールというストレスと関係するホルモンの分泌量を測定してみたら、もともとストレス状態にあった赤ちゃんは、ママの歌声でコルチゾールのレベルが下がって、ストレスが軽減することがわかっています。一方、もともと分泌量が少なかった赤ちゃんは逆にちょっと上がるという結果が…。そこから推測して、ママの歌声には、コルチゾールをちょうどいいレベルにコントロールする効用があるんじゃないかということも言われています」(梶川先生)

お歌や話しかけは、場面によって声の響きを変えることで、赤ちゃんにいっそう好まれるものになるようです。例えば、子守歌はちょっと低めの声で、ふんわりと柔らかく歌うと赤ちゃんは落ち着き、遊び歌なら、高い声でにぎやかに歌うと楽しさが伝わり、赤ちゃんは喜ぶという研究もあるそう。

自分の子守唄で赤ちゃんが寝てくれたとか、声を出して笑ったとか、そんな成功体験を積み重ねると、ママ・パパは親としての自信がつき、子育てがますます楽しくなるでしょう。さっそく実践してみたいですね。

 

言語や音楽を少しずつ学習しながら、赤ちゃんの社会性も育っていきます

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梶川先生は、「赤ちゃんラボ」で生後3か月の赤ちゃんを対象に、お歌と話し声を区別しているかを調べる「母親歌唱音声と朗読音声に対する3か月児の心拍反応」という実験を行いました。

「ママの歌声を聞かせる赤ちゃんたちと、ママが本を読む声を聴かせる赤ちゃんたちという二つのパターンに分けて、心拍数の変化を比較したんです。まずママの姿は見えない状態で、赤ちゃんをしばらく一人でベッドに寝かせておく。そうすると赤ちゃんの心拍数はあがって、手足の動きも激しくなります。いつもと違う状況で不安なのかもしれません。そこで、ママの声を、歌声と朗読、それぞれで聞かせたんです。すると、心拍数の変化の仕方や視線の向け方など、赤ちゃんたちの反応は明らかに異なっていました。つまり生後3か月で、すでに歌と語りかけを別のものとしてとらえていると考えられます」(梶川先生)

生後5か月ぐらいには、赤ちゃんは声に表れる感情の違いを認識できるようになり、やがてハッピーな声には喜び、怒っている声を聞くといやがって泣いたりするそう。また、日常的にクラシック音楽に親しんでいる赤ちゃんの場合、7~8か月の頃には、オーケストラなど生の楽器で演奏されたものとシンセサイザーなど機械音で演奏されたものを、はっきりと区別できるという実験結果もあるそうです。つまり、何度も聴いている音については、小さな違いでも気がつくようになる……赤ちゃんの記憶力はすごいものです。

それならCDやDVDでたくさん音楽や言葉を聞かせれば、学習効果が期待できるのでは、と思ってしまいますが「その点には注意が必要です」と梶川先生。

「赤ちゃんのためを思って、音楽や語学のCDをただ流しっぱなしにすることはお勧めしません。9か月児を対象にしたある研究で、言葉の音に関してはCDやテレビを通して聞くだけでは学習しないということが証明されています。言葉は、特に赤ちゃんにとっては人との実際のやり取りの中で学ぶものなんです。音楽も同じで、表情や身体の動き、声などで周りの人と気持ちを共有しながら、経験することがとても大切です。言葉や音楽は、人とのかかわりの中で身につけ使われていくコミュニケーションツールですから」(梶川先生)

赤ちゃんはお腹の中でママ・パパの声を聞くことから始まり、一緒にお歌を歌ったり、音楽に合わせて踊ったりする経験をたくさんすることで、人とかかわる楽しさを知り、一体感やきずなを感じていくのかもしれませんね。

 

音痴でも大丈夫! お歌を歌って赤ちゃんともっとつながりましょう

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赤ちゃんにお歌を聞かせたい。でも、昔から音痴で自信がない。こんな下手なお歌を聞かせたら、赤ちゃんも音痴になってしまうかも……なんて心配をしているママ・パパもいるかも知れません。でも大丈夫! 梶川先生は、「音痴は親の歌声だけで決まることはありません。音程が合っているかなんて気にしないで、好きなお歌を、心をこめて歌ってあげてください」とアドバイスをされます。たしかに、外した音でお歌を教えると、赤ちゃんはその音でそのお歌を記憶する可能性はあります。ただ、音感そのものが狂うかというと、それはまた別の話で、その後の音楽体験によって音感を修正していく能力が子どもにはあるそうです。

梶川先生はさらに、赤ちゃんとママ・パパが音楽を通してつながりあえることが証明された実験について教えてくださいました。

「生後6か月から12か月までの6か月間、赤ちゃんとママ・パパには定期的に教室に来てもらって、一つのグループには、一緒に音楽を習い、お家に帰っても赤ちゃんと一緒に音楽を楽しむことをお願いしました。もう一つのグループは、教室には来てもらうのですが、音楽はBGMとして流していただけです。6か月後に、ママ・パパに赤ちゃんのコミュニケーション能力を評価してもらったんですが、一緒に音楽を楽しんだグループは、それをしなかったグループに比べて、わが子に高い評価を与えるママ・パパが多かったんですね。一緒に音楽を楽しむことで、ママ・パパは赤ちゃんの“コミュニケーションをしたいという気持ち”をくみ取れるようになったと考えることができます」

また、ママ・パパとの触れ合いの中で音楽を楽しんだ赤ちゃんは、音楽を聞いたり、歌ったりすることが大好きになるようです。

「こうした経験は、0歳、1歳ぐらいの赤ちゃんにとって大切な事です。CDの音楽を聞いて一人で眠るのは、赤ちゃんにとってあまりいいことではありません。それがどんなにいい音楽であっても、です。それよりも、ママ・パパが一緒に声を出してくれるとか、一緒に手を振ってくれるとか。そういうことだけでいいと思うんです」

ママ・パパが愛情をこめて赤ちゃんに歌いかけ、一緒にお歌を楽しむことが、赤ちゃんの感性を豊かに育むということでしょう。

こうしてママ・パパのお歌を聞いていた赤ちゃんが成長して、2~3歳ぐらいになると、声を出して一人でお歌を歌うことができるようになります。大好きな幼児向けアニメの主題歌を覚えて、一生懸命に歌う姿は何とも愛らしく、ママ・パパは一緒に声を合わせて歌いたくなってしまいますね。

それなのに、「ダメ! ひとりで歌うから、ママ(パパ)は歌わないで!」なんて言われるのもありがちなこと。「一緒にお歌を歌いたいのに…」なんて、がっかりしないでください。その言葉には理由があるようですよ。

「一つは、お歌を自分のペースで歌いたいと思う自立心が育っているということでしょう。また、人の声が重なると自分の声が聞きにくくなり、自分の声がちゃんと聞こえていないと歌いにくいということを子どもが意識できるようになったからとも言えます。このような時には、無理に一緒に歌おうとせず、子どもの声を聞いて、身体の動きや表情で反応してあげたり、上手に歌えたことをたくさん褒めたりして、一人でできたことを認めてあげましょう。そうすれば子どもの歌いたい気持ちをどんどん伸ばしていけるのではないでしょうか」(梶川先生)

心の成長をうながし感性を育む音楽やお歌を、赤ちゃんとの毎日におおいに取り入れてみてはいかがでしょうか。成長に合わせて一緒に楽しむ音楽は、子どもの心を豊かなものにしてくれそうですね。

《参考文献》
(※)EFFECTS OF EXPERIENCE ON FETAL VOICE RECOGNITION(PSYCHOLOGICAL SCIENCE)

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