この冬、気をつけたい感染症「風しん(風疹)」のワクチン接種法と インフルエンザのこと

この冬、気をつけたい感染症
「風しん(風疹)」のワクチン接種法と
インフルエンザのこと

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「風しん(風疹)」が、夏以来広がり続けています。赤ちゃんの誕生を楽しみにしているプレママ・プレパパが、風しんにかからないためにはどうしたらいいのでしょう。国立感染症研究所の多屋馨子先生に、抗体検査やワクチン接種を受けるための方法を具体的に伺います。また、この冬も流行の兆しがあるインフルエンザなどへの対策なども教えていただきましょう。

 

まずは、「住んでいる市区町村名、成人、風しん」で検索

「自分は子どもの頃、風しんの予防接種を受けたはず」と思っているママ・パパは多いでしょう。でもそれは確実な記録があるからでしょうか。定期予防接種を受ける機会すらなかった年代の人も存在するし、何かの都合で受けられなかったことがあるかも知れません。

実は抗体がなかったママ・パパが感染すると、知らず知らずのうちに、家族だけではなく、職場の仲間や周りの人たちも感染を広げてしまうかも知れないのが、風しんという感染症なのです。

「まず知ってもらうことを、私は『知るワクチン』と呼んでいます。風しんの抗体が不十分な妊娠20週頃までの女性が風しんウイルスに感染すると、赤ちゃんの目や耳、心臓に生まれつきの障がいが起きる『先天性風疹症候群』につながるかも知れないと理解してもらえれば、行動を起こすきっかけになるはず。自分自身が抗体を持っているかを確認して、もし抗体がなければ、妊婦さんや接種不適当者に該当する人以外の方にはワクチン接種をすぐに受けていただきたいです」(多屋先生)

抗体検査とワクチン接種は、自治体によって費用助成制度の対象者や助成金が違う場合があるそうです。スマホやパソコンで「住んでいる市区町村名 成人 風しん」と検索すると、自分の住んでいるところはどんな制度になっていて、どこで受けられるのかを調べることができます。

ワクチンを受けるためには、医療機関への事前予約が必要です。「内科・小児科あるいは小児科なら基本的にはワクチンの接種を実施していると思いますが、まずは電話などで問い合わせてください」と多屋先生。

なお2018年12月13日、厚生労働省は新たな風しん対策として、抗体保有率が低く、感染の拡大の一因とされている39~56歳の男性の抗体検査とワクチン接種を原則無料とすることを決めました。

対象となるのは、1962年4月2日から1979年4月1日の間に生まれた男性。期間は2019年から21年度末までの約3年間で、まずは抗体検査を受けてもらい、陰性の場合は接種を受けることになります。働く世代が多いことに配慮して、企業の定期健診などの機会を利用した抗体検査や、夜間・休日に予防接種を受けられる体制を整備することなどが検討されています。

(出典:第25回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 資料

ワクチン接種や抗体を持つことの重要性が社会全体に広がって、風しんを日本から排除できれば、おなかの赤ちゃんの「先天性風疹症候群」を心配するプレママ・プレパパはいなくなるでしょう。それはママ・パパだけではく、現代社会で暮らす一人ひとりが、自分の抗体の有無やワクチン接種について、調べてみることから始まるのですね。

プレママが「風しんにかかったかも」と思ったら

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“抗体がなければいつかかってもおかしくない感染症”という風しん。何年かに一度、大規模な流行を繰り返していて、来年も流行が心配されているそうです。

では、プレママが風しんにかかったかもと思ったら、どうしたらよいのでしょうか? まずやるべきことは、かかりつけの産婦人科医の先生への電話相談です。

「知っておいていただきたいのは、妊婦さんが風しんウイルスに感染したからと言って、赤ちゃんに100%影響が出るわけではないということです。確かに妊娠1か月の時に感染すると、赤ちゃんへの影響は50%以上と頻度が高い。そして妊娠2か月なら35%程度。ただ、100%ではありません。心配なのはよくわかりますが、悩んでいないで少しでも早く相談していただきたいと思います」(多屋先生)

妊娠中に風しんウイルスに感染した場合は、「風しんり患妊婦2次相談窓口」に相談することを多屋先生はすすめてくださいます。2次相談窓口は全国18か所に設置されています。プレママが直接行くのではなく、必ずかかりつけの産科の先生を通じて相談しましょう。

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さて、最後にインフルエンザのお話も。今年もインフルエンザのワクチン不足がニュースになっています。インフルエンザの予防接種は風しんと違って、基本的には「かかっても重症化しない」ために受けるものです。接種したからといってかからないわけではないですが、高熱が出るインフルエンザは、とても辛い病気ですから、かかった場合は少しでも症状を軽くしたいものです。

2009年のインフルエンザの大流行を契機に、それまでは奨励されていなかったプレママもインフルエンザの予防接種を受けることが奨められるようになりました。それ以来、プレママの接種率は上がっているそうです。

「ワクチン接種を受けられない生後6か月までの赤ちゃんでも、プレママが受けた予防接種の効果で、抗体をもらって生まれてくることができます。その抗体は赤ちゃんも一緒に守ってくれます」と多屋先生。できるものなら冬生まれの赤ちゃんには、おなかの中にいるうちにプレママの抗体をあげておくことができると安心ですね。

発症1週間前から感染力を持つ風しんと比べて、インフルエンザは潜伏期間が短く、発症1日前に感染力があらわれるそうです。

「インフルエンザは風しんと同じ飛沫感染なので、感染した人がマスクをすれば、飛沫が飛びにくくなるという効果はあると思います。でもマスクにはすき間がありますから、感染防止にマスクをしても、その効果は限定的なものとなるでしょう」(多屋先生)

風しんもインフルエンザも人から人へと移る感染症です。かからないように、また重症にならないようにワクチン接種などで予防するのはもちろん、かかったかなと思ったら、自分の症状がそれほど重くなくても外出を控えるなど、周囲への気配りも忘れずに。

子どもたちの健やかな成長を支え、安全で暮らしやすい社会を作っていくためにも、風しんやインフルエンザなどの予防接種は積極的に受けたいものですね。

 

【プロフィール】
多屋 馨子(たや けいこ)

国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室 室長、医学博士。高知医科大学(現 高知大学)医学部医学科卒。大阪大学医学部小児科学講座、同 微生物学講座を経て、2001年より国立感染症研究所、2013年から同研究所 感染症疫学センター室長。専門は臨床ウイルス学、小児感染症学。現在の研究課題は予防接種、ワクチン、麻しん、風しん、水痘、急性脳炎、急性弛緩性麻痺など。研究者として勤務しながら、2人の子どもを育てた先輩ママ。

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