妊娠、出産にまつわるデータ集:第4回 流産

妊娠、出産にまつわるデータ集:第4回 
流産

妊娠・出産インフォ

<今回の掲載データ>
■流産の頻度に関する調査結果
■不育症の原因とその割合

流産とは、妊娠したにもかかわらず、早い時期に赤ちゃんが亡くなってしまうこと。日本産科婦人科学会の定義によると、妊娠22週(赤ちゃんがお母さんのお腹の中でしか生きられない週数)未満に、妊娠が終わることを指します。一般的な流産率は、15%とされており、実は妊娠した女性にとって決して少なくない症例です。

35歳以上の妊娠経験者のうち40%以上が流産を経験

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厚生労働省研究班がまとめた流産に関する実態調査においては、さらに高い割合での流産率も報告されています。これは、名古屋市立大の杉浦真弓教授と鈴木貞夫講師らの名古屋市立大の研究チームが、2007年2月からの1年間に、愛知県岡崎市で健康診断を受診した35~79歳の女性2733人を対象にしたアンケート(図1)をもとに算出されました。

同調査によると、対象者のうち妊娠経験がある2503人中、流産したことがあったのが953 人(38%)、2回以上流産の経験があったのが105人(4%)、3回以上流産経験があったのが22人(1%)という結果となりました。

流産の8割が妊娠12週未満に発生

日本産科婦人科学会によると、流産が起きる時期は妊娠12週未満と初期の場合が多く、全流産数のうち約8割を占めます。この時期に起こる流産を「早期流産」と呼びます。妊娠12~22週に起きる流産は「後期流産」と呼び、区別しています。

早期流産の原因のなかで最も多いのが赤ちゃん自身の染色体の異常です。つまり、受精時においてすでに流産することが決まっていたということ。妊娠初期に流産した場合、妊婦さんが自分の行動に無理があったのではないかと自身を責めてしまうことがあるかもしれませんが、よほどのことでない限り、それが原因であるということは少ないといえそうです。

最近、尿を用いて妊娠反応は出たものの、超音波で妊娠が確認できる前に流産してしまった状態である<化学的流産>というものがクローズアップされるようになりました。これは、妊娠検査薬が一般的になる以前には、あるいは検査薬を使用しなかった人には、生理だと思われ見すごされてきた事例です。

また <切迫流産>という症状がありますが、これは流産ではなく、その直前の状態になることを指します。妊娠初期の4~12週に起きやすい症例で、出血や腹痛を伴うことも。ただ、妊娠12週までの切迫流産に有効な薬剤はないため、ママとお腹の赤ちゃんの体の状況に応じて、外来通院や治療室での治療などで対処していくことになります。

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一方、後期流産の原因は早期流産と比較すると、甲状腺の機能不全や妊娠高血圧症候群(*1)などの母体側の病気やトラブルが主な原因となる傾向があります。これについては、もともとのママが抱えている持病への対応や、妊娠以後の生活の管理の徹底が重要になってきます。

ほかに注意したいのが、細菌などによる感染を伴った流産である<感染流産>です。母体死亡のリスクが上昇するために、慎重な対処が望まれるからです。私たちの体には本来「常在菌」と呼ばれる菌が多数存在しており、健康なときには大きな影響はありませんが、体力や免疫力が落ちたときに悪さを始めることがあります。そのため、妊娠12週以降は、とりわけ日々の生活を健康的かつ安静に過ごす必要があるといえるでしょう。

(*1)妊娠中期以後に、妊婦が血圧、蛋白尿、浮腫(むくみや1週間に500g以上の体重増加)のいずれか一つ、あるいは2つ以上が現れる症例を以前は「妊娠中毒症」と呼称していた。そのなかでも直接的に母体や胎児に影響する高血圧に焦点を絞った病名として、2005年4月から日本産科婦人科学会によって、正式に病名が制定された。

不育症でも85%は出産可能

妊娠しても流産、死産や新生児死亡などを繰り返すことを「不育症」(*2)といいますが、2007年の全体人口統計と比例させると、不育症の女性は全国で140万人いると推定されています。
しかし、その後の継続調査の結果、不育症患者105人のうち約9割の94人は、最終的には無事に出産し、育児を経験しているということが明らかに。かつては、3回以上流産したら妊娠の可能性は極めて低いと言われることもありましたが、杉浦教授によって、「不育症でも85%は出産可能だ」というコメントも発表されました。

(*2)「習慣(反復)流産」とほぼ同意語であるが、妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生児死亡は含まれない。

 

不育症の半分は胎児の染色体異常が原因と推定

また杉浦教授らが、2007(平成19)年までの約20年間に名古屋市立大病院を受診した不育症の夫婦1676組に調査を実施しました。そこで不育症の原因を分析しているのですが、(図2)、不育症の原因のうち51%が、確率的要因で発生してしまう赤ちゃんの染色体異常であると推定されました。

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厚生労働省研究班によると、全流産数のうち赤ちゃんの染色体異常が原因の割合は約8割だとされていますが、3回流産を繰り返した場合、「0.8×0.8×0.8=0.512」となり、全流産数のうちの51%を占めることになります。つまり、不育症全体のうち約半数は偶発的な原因によるものであり、その場合とくに治療をしなくても、次の妊娠で成功する確率は決して低くないといえそうです。
流産を繰り返すことは、ママにとっても、その家族にとっても、非常につらいこと。妊娠、出産に対して消極的な気持ちになってしまうこともあるでしょうが、あきらめる前に専門の医療機関に相談してみるとよいのではないでしょうか。

「妊娠したら出産する」ということは 実は“当たり前”のことではなく、さまざまな障害やリスクを乗り越えたうえで成立するのですね。もしものときのトラブルについて事前に把握しておくことも大切です。

 

【引用元】
・習慣流産・不育症グループ(習慣流産・不育症のみなさんへ)-名古屋市立大学大学院医学研究科 産科婦人科学
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/obgyne.dir/group_huiku.html#report1

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