10人に1人といわれる「産後うつ」 
その特徴と対策 Vol.1

ミキハウス編集部

妊娠中に「産後うつ」という言葉を耳にし、不安になったことがある人は多いかもしれません。実際に出産して、待ちに待った赤ちゃんのはずなのに、幸せな気持ちになれない……と感じたことがある人もいるのでは? 産後うつとは、出産をきっかけに発症するうつの一つ。「マタニティブルーズ」と混同しがちなこの症状について、産婦人科医でメンタルヘルスの専門家の宗田聡(そうだ・さとし)さんに話をうかがいました。

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「産後うつ」の具体的な症状とは

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産後うつについて、宗田先生は「絶対的な定義があるわけではありません」と前置きしつつ、次のように説明します。「通常、お産が終わった後1年以内に発症するうつを指します。一般のうつよりも、早く見つけて早く対応すれば治りも早いというのが特徴で、早期にきちんとケアすればその8割は薬の投与なしに完治します」。女性の身体と心をサポートする宗田先生のクリニックでは、妊娠・出産、婦人科系疾患はもちろん、メンタル面でのサポートを求めて通う女性も多く、実際多くの産後うつの患者さんを見てこられたそうです。

宗田先生の言葉を借りれば、身体的にも精神的にも女性にとって一大事であるお産の後、いっぺんに起こる環境やホルモンの変化に対応できなくなる状態、これが産後うつとのこと。では、この病にはどのような症状があるのか、見ていきましょう。

●赤ちゃんや子育てに対して興味がわかない、やる気がおきない

「やる気がおきない」を通り越し、「かわいいという愛情を持てない」というところまでいくと注意が必要です。そうなると、お母さんは自分を激しく責めるようになり、さらにうつうつとした気分に……という悪循環に。一般的なうつ症状とも共通していますが、音楽を聞いたり、本を読んだりといった、趣味を楽しむ気持ちが消えてしまうこともあります。

●食事の支度ができなくなる

うつかどうかの症状を計るバロメーターとしてわかりやすのが、食事の支度。ご飯を炊いて、メインのおかずと副菜のメニューに加え、お味噌汁の具を決め、準備から調理までそれらの作業を同時にこなさなければならない食事の準備は、意外と頭を使うもの。うつ状態にある人は考えることができないので、今までなんなくこなせていた食卓を整えることが、非常に困難になります。

●常に寝不足で、体力的・精神的にも限界を感じる

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産後は、授乳をはじめとした赤ちゃんの世話で、お母さんは毎日大忙し。常に寝不足で、体力的にも精神的にも疲れるのは当然なので、なかなか産後うつ状態にあることに気づかないことも。さらに、「疲れがたまってイライラする」と周囲に告げたところで、「そんなのは当たり前!」と一蹴されてしまうケースが多く、すでにいっぱいいっぱいまで頑張っているママがさらに頑張ることを強要され、結果として本格的なうつの発症につながってしまうケースも増えています。

上記の3つの症状がそろったら、産後うつが発症している可能性が高いことを覚えておきましょう。

次のページ 産後ママの精神的ケアを担う場所がない……

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