いくつになっても健康な赤ちゃんを産むために… 
「アンチエイジング」の大切さ 
細川モモさんインタビュー(後編)

ミキハウス編集部

2009年に厚生労働省が発表した「人口動態統計」によれば、35歳以上で子どもを産んだ「高齢出産」の割合は22.5%。女性の社会進出が進み、キャリアデザインに大きな変化が見られています。妊娠、出産を果たすために、今の日本人女性が考えておかなくてはいけないことは何でしょうか? 予防医療コンサルタント、栄養コンサルタントとして、女性の体について研究、発表するチーム「ラブテリ 東京&NY」を主宰する細川モモさんに話を聞きました。

 

アンチエイジングは妊活にも重要

- 妊娠するためには、適正量の体脂肪と筋肉、そしてバランスのとれた栄養が大事だと伺いました(※関連リンク)。さらにもう一つ、日本人女性にアドバイスをするとしたら、モモさんは何を挙げますか?

これだけ高齢出産が増えている状況を考えると、やっぱり日頃から「アンチエイジング」を心がけることが大事だと思います。これは、男性についてもいえることです。「まだ20代だからアンチエイジングなんて…」と思うのではなく、20歳を過ぎたら、誰もが老化のプロセスにいると考えましょう。そして、食生活を見直し、整えることでアンチエイジングすることをおすすめします。

人間が老化する原因は3つあります。一つ目は「酸化」。簡単に言えば、細胞がさびることで、呼吸するだけで起きるものです。さらに、タバコや紫外線、運動などによって促進させてしまいます。

二つ目は「糖化」。食事から摂取した糖分が私たちの体内のたんぱく質と結びついて焦げてしまうことを意味します。焦げたたんぱく質が最終的に「AGEs」という物質になってしまうと、もう人間の力では除去できません。化粧品にも糖化を予防する働きをうたうものがあったり、毛髪も糖化によってハリやコシを失うため、抗糖化シャンプーなどが販売されるなど、近年いろいろと研究が進んでいる分野です。

最後は、「炎症」です。これは、体の中に入ってきた異物をはじき返す際に起こる、排除反応のこと。くしゃみ、咳、鼻水、涙、アレルギー症状やにきび、口内炎など、これらすべてが炎症反応です。近年では、炎症(inflammation)と老化(aging)から作った「インフラメイジング」(inflamm-aging)という造語ができるほど、炎症は老化に深く関わっていると考えられています。

現代人の老化を推し進めてしまう最大の要因は、「ストレス」です。男性は、「ストレスが多い」「喫煙する」という条件によって活性酸素が増え、体の酸化が進み、自分の精子を傷つけています。そうすると数も減少し、運動率が下がります(ただし、適度な量の活性酸素であれば精子を増やす働きも※1)。女性は喫煙によって、卵巣年齢を示すAMH(抗ミュラー管ホルモン)が低下し、卵子の老化が進みます。AMHはこれから育っていく卵胞から分泌されるものなので、この値が低いと早めの妊娠や体外受精が推奨されます。男性は何歳になっても、精子を作り変えることができますが、女性の卵巣年齢を若返らせる方法は現段階では見つかっていません。卵巣年齢のことを考えたら、自分が喫煙しないのはもちろんのこと、まわりの喫煙者にも注意したほうがいいですね。

※1 京都大学大学院医学研究科の篠原隆司教授らの共同研究グループ(京都府立医科大学、近畿大学)による研究報告

次のページ 酸化防止には食卓を「5色以上」にすること

この記事をシェアする

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

おすすめの記事を見る

記事を探す

カテゴリから探す

キーワードから探す

妊娠期/月齢・年齢から探す