特集「赤ちゃんのいる寝室」第2回 
たまにはママにも自由な睡眠を!赤ちゃんもママ・パパも“幸せになれる寝室”とは

2018.08.30

ミキハウス編集部

赤ちゃんのいる家庭では、「赤ちゃんのお世話が先になって、夫婦同士の会話やふれあいはいつも後回しになってしまう」というのはよくある話。もちろん赤ちゃんのお世話は大切なことだけれど、お互いに大好きで家族になったママとパパの間に、待望の赤ちゃんが生まれたとたんに“距離”ができてしまうなんて、悲しい気もしますね。そこで「寝室」のあり方を工夫することで、赤ちゃんのお世話と夫婦の時間を両立させることはできないのでしょうか。

シリーズ「赤ちゃんと寝室」。2回目は「赤ちゃんもママ・パパも幸せな“寝室”に」をテーマに、筑波技術大学の梅本舞子先生の研究(※1)から、日本の子育て世代の「寝室」の現状と問題点について考えてみましょう。

 

子育て世帯の「寝室」は半世紀前からあまり変わらないようです

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教育学博士・篠田有子さんは20年の歳月をかけて日本の家族の寝かたと子どもの成長や情緒関係などのかかわりを研究し、著書「家族の構造と心―就寝形態論」(世織書房 2004年 ※2)にまとめています。

同書のなかで篠田さんは「日本の夫婦の意識は(中略)子ども優先で展開しており、お互いの情緒的関係を育み豊かにしていこうという方向に向いてはいない」と指摘。これについて住環境の観点からも研究しようと考えた梅本先生は「夫婦の就寝形態の実態と希望を捉(とら)える調査」(2005~2006年)を行いました。

調査対象となったのは、北は北海道から南は大分県まで全国9地域の郊外の一戸建て住宅に住む337の核家族。その結果、0歳~2歳の子どもがいる家庭では、スペースや部屋数は足りているにもかかわらず、約8割は家族全員が同じ部屋で就寝し、2割がパパだけ別室という就寝形態がとられていることが分かりました。

「つまり、2歳までの子どもはほぼ100%がママと同じ部屋で寝ています。その後未就学児で7割、小学校中学年で半数、中学校入学前後でも1割見られます。そしてどの段階にも、パパは別室という例が2割程度あります。3歳までに子どもが夫婦とは別の部屋で寝るようになると言われるアメリカとは対照的で、日本の子育ての『母子密着』の特徴が表れています」(梅本先生)

この数値は、1970年代に行われた調査(※3)とほぼ同じ。また今から約50年前には、アメリカの学者によって(※4)「日本では就寝時にも夫婦関係より親子関係が優先される」と指摘されています。この半世紀で日本の住まいは大きく変わったように見えますが、子育て世代の寝室の風景はそれほど変化していないようです。

「最新の調査によると、就寝時の母子密着は、ますます長期化する傾向にあるようです。女性の社会進出が進んだ結果なのでしょうか。日中、子どもと一緒にいる時間が少ないママは、寝る時間ぐらい一緒にいたいと思うのかもしれませんね」(梅本先生)

日本のママ・パパが赤ちゃん(や小さな子ども)と同じ部屋で眠るのは、「世話をするのに合理的だから」という理由ばかりでなく、第1回目の岡本先生のお話にもあったように「寝室は親子のコミュニケーションの場として欠かせないもの」 ということを、ママ・パパ自身が実感しているからとも言えそうです。

次のページ 赤ちゃんの成長とともに変化、移動するママとパパの寝室

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