
「祖父母手帳」にはもう一つの狙いがあると、前出・小池さんは言います。それはシニア世代による、地域の子育てへの貢献。祖父母世代の孫育ては、数年で終わるものですが、一度孫育てを経験した祖父母世代なら、地域の子育ての担い手として、近くに住む子どもたちの成長を見守る活動ができるのではないか、というのです。
さいたま市には、市から委託を受けたNPO法人が運営する「さいたまファミリーサポートセンター」があり、保育園や幼稚園、習い事への送迎や一時預かりなど、子育てを手伝ってほしい人(依頼会員)と手伝いたい人(提供会員)の仲介をしています。
「『祖父母手帳』や『孫育て講座』で、最近の子育て情報を多くの祖父母世代に発信すれば、地域の子育てを手伝いたいという提供会員を増やすことにもつながるかもしれない。そうすれば、このサービスを必要とするママやパパが、もっと利用しやすくなる。祖父母世代が地域にコミットし、地域の子育てをサポートすることで、この地域がよりよいものになっていくものだと思っています」(小池さん)
子育て世代にとっては、地域に住むイクジイ・イクバアにサポートを受けられ、一方でシニア世代は地域の子どもを育てることで深く地域に関わることができる。3世代育児は、家族の枠を超えて、地域全体を活性化させることにもつながっていく可能性を秘めているのかもしれませんね。
大人たちが連携して地域の子どもたちみんなを見守る街。日本の未来を創る子どもたちをそんな街で育てるために、シニア世代のパワーを存分に発揮してもらいたいものです。
《※参考資料》
「家族と地域における子育てに関する意識調査報告書(平成25年度版)」
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h25/ishiki/pdf/2-1.pdf