【座談会】日本に住む外国人パパに聞きました!日本の“イクメン事情”どう思う?

【座談会】日本に住む外国人パパに聞きました!
日本の“イクメン事情”どう思う?

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最近、「イクメン」という言葉をよく耳にします。 “子育てに積極的に関わろうとしている男性”を意味する言葉ですが、では実際に日本人男性の子育てへの関わり方は今、世界的にどれくらいの水準に達しているのでしょうか? 今回は日本で子育てする韓国・フランス・アメリカ・中国出身のイクメンパパたちに、それぞれの国の育児をめぐる状況や、日本で子育てするなかでの経験をうかがってみました。果たして日本のイクメン事情は、グローバルな視点からはどのように映っているのでしょうか?

【座談会メンバー】

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金在光(キム・ジェクワン)さん/36歳

金在光(キム・ジェクワン)さん/36歳、韓国出身。日本に来て4年。医療機器メーカーで海外営業として勤務。日本人で専業主婦の妻と、5歳と1歳の男の子の4人家族。

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Benjamin ROCHET(ベンジャミン・ロシェ)さん/33歳

Benjamin ROCHET(ベンジャミン・ロシェ)さん/33歳、フランス出身。日本に来て7年。語学学校でフランス語教師として勤務。日本人で外資系企業勤務(現在、産休中)の妻と生後3ヶ月の女の子の3人家族。

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Christopher MERCER(クリストファー・マーサー)さん/30歳

Christopher MERCER(クリストファー・マーサー)さん/30歳、アメリカ出身。日本に来て4年。英会話講師。日本人で専業主婦の妻と3歳の男の子の3人家族。もうすぐ、第2子となる男の子が誕生する

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盛忠堯(セイ・チュウヨウ)さん/34歳

盛忠堯(セイ・チュウヨウ)さん/34歳、中国出身。日本に来て11年。電機メーカーでエンジニアとして勤務。中国人で専業主婦の妻と、6歳の女の子と4歳の男の子の4人家族。

■子育ては義務ではなく、むしろ進んでやりたいこと

――今日は4か国のパパたちにお集りいただきました。みなさん30代、お仕事も大変忙しいなか、日本で仕事と子育ての両立を実践されていらっしゃいます。まずは、普段の生活のなかでお子さんとの関わり方についてお聞きしたいと思います。また、奥さんとの役割分担についても教えてください。

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金在光さん(以下、金さん):仕事から早く帰ることができたら、お風呂は必ず私が一緒に入るようにしています。また、韓国語も習得してほしいと思っているので、韓国語で話しかけたりするのも私の担当ですね。幼稚園の送り迎えは、時間的な問題からすべて妻です。その代わり、週末や休日はできるだけ子どもと遊ぶようにしています。つい最近は、代休をとれるタイミングがあったので、会社を休んで家族で七五三の写真を撮りにいきました。

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ベンジャミン・ロシェさん(以下、ベンさん):私の家は、子どもがまだ3ヶ月の赤ちゃんなので、母乳をあげることなど、妻に負担が多くかかってしまっています。少しでも妻が休めるように、赤ちゃんをお風呂に入れたり、オムツを替えたり、家の中を掃除したりなど家事も含めできることは手伝っています。それらはけして嫌々やっているわけではなく、かわいい子どもと触れ合う時間でもあるので、まったく苦じゃありません。また、子どもにとって私は“おもちゃ”みたいで、娘は私の顔を見て喜びますね(笑)。アンパンマンだと思っているのかもしれません。

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クリストファー・マーサーさん(以下、クリスさん):仕事は、だいたい夜の10時に終わって、家に帰るのは11時ぐらいです。そのため、妻と息子は寝ていて、一緒に時間を過ごせないことも多いです。でも時間のある朝は、朝食を作ったり、息子を公園に連れて行ったり、できる限りのことをしています。また、料理が好きなので、「僕が料理を作るから、リラックスしていて」と伝えることも多いですね。とにかく、僕が家にいるときは「妻にリラックスして」とよく声をかけます。僕がなにかできるかとしたら、家にいるときだけなので。

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盛忠堯さん(以下、盛さん):平日は早めに帰って、子どもと一緒に本を読んだり、週末は朝早く起きて娘の自転車の練習に付き添ったりしています。私はエンジニアなので単にテレビを一緒に見たり、ゲームをするだけではなく、子どもと一緒にロボットを作ったり、ものづくりの展示会を見に行ったりもします。そうすることで、職場だけだと狭まりがちな視野が広がり、自分にとっても刺激になります。家事については、役割分担というのは特にはありません。食事の準備については妻に任せていますが、それ以外の家事はふたりのチームワークでやっています。

――みなさん、忙しいなかでも自分の得意分野を活かしながら、奥さんと協力して子育てしているようですね。一方で、「男性は外で働き、女性は家にいて子育てをする」というような性別によって役割を分担するという考え方もありますが、みなさんの国ではいかがですか? 特に、日本も含めたアジアにその傾向が強いのではないかと思うのですが。

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金さん:かつては、韓国でもそういう考えがあったと思います。しかし、私と同世代の30代以降は共働き世帯が多いので、男女で分担して子育てをすることが徐々に浸透してきました。今、韓国の若い夫婦の共働き率は高いですから。

盛さん:中国でも、私の両親ぐらいの世代から共働きが一般的で、子育ても男女協力してやることが普通になってきています。私もその姿を見て育ったので、それに対し違和感はありませんでしたね。

――フランスやアメリカはいかがですか?

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ベンさん:北欧には及びませんが、フランスも男女平等の意識の高い国です。私の家庭では、父は積極的に料理をしていましたし、母は里親になって他の子どもを預かったり、里親を支援したりする仕事をしていたので、家で仕事をしている姿を見せてくれました。ですので「男性が外で仕事をする、女性は家で家事・子育てをする」とかを性別で決めるのではなく、個人の特性によって役割を与えればいいのではないでしょうか? 男の人でも家事や育児が得意な人もいますから。

クリスさん:アメリカも男女平等の意識は高く、子育てをシェアすることは当たり前です。私もよく父が家で料理をしているところを見てきました。私が料理するのが好きなのもそのせいかもしれません。

■育児をがんばりたいという気持ちはどの国でも同じ

――ご両親の育児への向き合い方に影響を受けて、子育てへの意識が高まった方も多いようですね。現在、日本で生活しながら子育てされているみなさんは、自国のパパと比べても、子育てに積極的だと思いますか? それぞれの国と日本とでの働き方の違いや、企業が「仕事と子育ての両立」に理解があるかないかなどでも違ってくると思うのですが。

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金さん:私は、自国のパパたちと比べて育児に積極的な方だと思います。先ほどもお話したように、韓国でも男性の子育て参加の意識は高まっています。ですが、女性の育児休暇が3ヶ月しかもらえないなど、産前産後の労働環境が整っていないため、出産したら仕事を辞める女性もいまだに多いです。そのため、経済的な負担が増えて仕事が忙しくなった男性が、子育てに関わりたくても関われない状況にあります。

――日本においても同じような側面があるかもしれませんね。ちなみに女性の産休制度を各国で見てみると、日本は産休14週間・産休中の手当は給料の67%ですが、フランスは16週間で、手当は給与の100%となっています。アメリカは12週間と日本よりも少なめで、産休中の手当は州により異なるようです。

ベンさん:フランスでは、子育ては“社会でするもの”です。男性も育児休暇をとることが社会のなかで一般的になりつつありますし、高校卒業まで学費も無料なので、物理的にも経済的にも余裕をもって子育てできる環境があります。日本にいる外国人としては頑張っている方だと思いますが、フランス人の子育てと比べると、私はまだまだだと思います。

クリスさん:子育てに積極的になろうと意識するまでもなく、アメリカでは男性が育児に参加することは当たり前のことです。私の妻の友人の日本人たちは、私が子育てをよくやっていると褒めてくれますが、アメリカのパパたちと比較すると平均的なレベルです。自分ではもっと手伝うことができると考えています。

盛さん:私は積極的な方だと思いますね。中国は共働きの夫婦が多いため、双方の両親が子どもの面倒をみてくれることが多いです。子どもにとっては、祖父母と仲良くなれるのが良い点ですが、甘やかされてしまうという困った問題もあります。外国の地で大変ですが、私は日本で、自分たちの力で子育てすることを選択しました。中国は競争が激しく、ストレスも多いため、子育てはさらに困難のようです。私の日本での子育ての様子を、中国人の友達にうらやましがられるときもあります。

■「仕事よりも子どもが大事」と言い切れないのは文化の問題?

――どの国の人も、子育てをできることなら頑張りたいという思いは共通しているみたいですね。日本でも「イクメン」という言葉が使われるようになり、子育てにもっと関わりたいという男性の声が少しずつ大きくなってきています。みなさんからみて、日本人男性の子育てへの関わり方はどのように映りますか?

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盛さん:同僚の日本人を見ていると、子どもと一緒にサッカーをしたり、子どもを連れて公園に行ったり、積極的な人も結構多いという印象です。ただ、あくまで仕事が一番で、二番目に子どもという感じではないでしょうか? たしかに、生活のために仕事をしてお給料はもらうことは大事ですが、子どもと過ごす時間はお金で買えない、かけがえのないものだと思います。私は「仕事と子ども、どちらが大事?」と聞かれたら、自信をもって「子ども」と答えます。

ベンさん:子育てをやりたいと思っても、その環境が整っていないと、それはきれいごとで終わってしまいますよね。フランスでは、社会が子育てを応援しようという空気が強いですが、まだまだ日本ではそれが弱いかもしれません。だから、日本人の男の人は、ちょっとかわいそう。

クリスさん:日本人の男性だって子どもが好きだし、もっと子どもと一緒に時間を過ごしたいと考えていると思います。ただ、実際に日本でそれを実現するのは難しいのではないでしょうか? みんな、キャリアや出世に集中しすぎているから。上司に誘われて飲みに行ったり、残業ばかりしたりしていたら、会社でエネルギーを使い果たしてしまって、子どもと十分に触れ合うことはできませんよね。

――なるほど、たしかに日本人の男性は、ときには家庭も顧みずに仕事に全力投球してしまっているかもしれません。家庭に持ちかえるエネルギーを残して仕事をする――そんな働き方ができる社会に変わっていかなければ「仕事と子育て」の両立はきれいごとになってしまいますね。

■日本人男性の働き方は「効率が悪い」?

――日本人男性が子育てをしたくても思うようにできないでいる背景には、個人の意志の問題というより、社会の問題もあるかもしれません。そもそも、みなさんの国で「イクメン」にあたるような考え方、言葉はあるのでしょうか?

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クリスさん:アメリカにはそのような言葉はありませんね。“子育てに積極的に関わろうとする男性”は当たり前の存在なので、あえて「イクメン」という言葉は必要ありません。日本でここ数年よく使われているのは、まだ当たり前の存在になっていないからですよね。ただ、アメリカでは、母親が家計を支える大黒柱になっている家庭も増えてきていて、その場合は、夫が専業主夫になるケースも珍しくなくなってきています。そんな旦那さんのことを「トロフィー・ハズバンド」といったりします。この“trophy husbands”とは「料理や洗濯などの家事一切を引き受け、妻の弁当を用意して、子どもと遊んであげて、さらにジムで身体を鍛えるなど健康意識の高い夫」を指すのですが「イクメン」よりだいぶ先をいっていますね(笑)。

ベンさん:フランスでは、最近「新しいパパ」という表現がでてきました。お母さんの役目もするお父さんといったニュアンスの言葉ですが、「お父さんはお父さんらしくしなければならない」という批判と男女平等の観点から、この言葉の是非が議論されています。「イクメン」にしろ「新しいパパ」にしろ、古い価値観にとらわれず、新しい父親像をこれからつくっていくべきなのでしょう。

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――新しい父親像をつくっていくために、職場環境はとても重要なものになると思います。みなさんは、日本企業がどのように変われば、日本人男性がもっと子育てに参加できるようになると思いますか?

盛さん:もっとみんな「効率」を重視して働くべきだと思いますね。どうすれば効率よく仕事をすることができるかを考えて、より積極的に子どもと一緒に過ごす時間を確保すべきです。私の上司は、働く時間の長さで仕事を評価しません。時間内に効率よく仕事をして結果をだす、そのことを評価してくれるのがとてもありがたいです。

ベンさん:確かに「効率」は大事ですね。日本はクライアントを納得させるために、必要以上の人員を割いたり、礼儀を重んじ過ぎたりして余計な時間を使いすぎているように感じます。本来は、ちゃんといい仕事をしていたらそれで問題ないはずなのですが、体裁を重んじるというか…。

金さん:そのためには、数値等の客観的な評価基準も必要ですね。日本で最初に入った会社は、それがなかったため、上司の属人的評価で長い時間働いている人が評価される傾向にありました。つまり、残業している人の方が偉い(笑)。今の会社は数値で評価してくれるためそれに応えていれば、子どもの世話などで休みが必要になっても温かく送り出してくれます。

■「イクメン」になれば自分の可能性が広がる!?

――みなさんはこれまで日本で子育てしてきて、苦労もあったと思いますが、子育てにおける夫婦間のルールや約束事がありましたら教えていただけますか?

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金さん:特にルールは決めていないのですが、飲み会は減らしました(笑)。子どもが幼い間は、二次会まで参加することはないと思います。一次会が終わると、帰って子どもをお風呂に入れます。まあ、職場の人も、子どものためならしょうがないと帰してくれますが、僕はお酒が好きなので、ちょっとだけ複雑(苦笑)。

ベンさん:私は子育てするうえで、自分と妻でなるべく同じことを共有するようにしています。顔を洗ったり、鼻を拭いたり、子どもが嫌がりそうな世話をどちらかに押しつけたり、子どもと遊ぶような楽しいことを自分が独占したりしないように気をつけています。

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クリスさん:私と妻は2人でチームだと考えています。だから、子育てについての選択も、2人で決定するようにしています。ただ、男性の育休取得については日本ではごく一部の会社のみで、実際に取得するのは難しい状況です。私も仕事を続けなければならなかったので、妻は第一子を出産するときは、秋田の実家に戻りました。そのとき離れて生活しなければならなかったのはとても辛い経験でした。もうすぐ生まれる次男については、出産から積極的に関わっていきたいと思っています。

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盛さん:私たち夫婦は、子どもには中国人や日本人というカテゴリーにとらわれない、グローバルな人間に育ってほしいと考えています。そういう意味で、日本は子育てするにはいい国で、子どもにはできるだけインターナショナルな経験をさせてあげたいと思っています。ですのでホームステイのプロジェクトに参加するなど、海外との接点を持ちながら一緒に子育てをしてくれています。

――みなさんそれぞれにパートナーである奥さんとしっかりタッグを組んで、子育てに臨んでいることが伝わってきました。それでは最後に、これから積極的に子育てに関わっていきたいという日本人男性に向けて“子育ての先輩”としてアドバイスやメッセージをお願いします。

ベンさん:子育てを積極的に手伝うのは褒められたいからではありません。なによりかわいい子どもとのコミュニケーションのきっかけだと思って、感謝してやっています。おそらく私は“親バカ”です。でも、子どもが幼い間はそれぐらいの方がいいと思っています。ですので、みなさんもぜひ“親バカ”になってください。

クリスさん:子育てをしていると時間がなくなるのは確かです。私も以前やっていたフットサルやサッカーのチームを辞めました。その代わり、新しい趣味としてジョギングを始めました。ジョギングなら、一人で時間が空いたときにいつでも楽しめますから。そのように新しい状況に合わせて、自分も柔軟に変化していくのが大事だと思います。それは結構楽しいことでもあるので、みなさんもぜひ子育てをエンジョイしてほしいです。

金さん:子育てはどちらか1人だけの影響ではなく、パパとママの2人で一緒に良い影響を与えるのが大事だと思います。そういう意味でも、パートナーと2人で協力して子育てしていかなければいけませんよね。つまり、男性ががんばる必要があります。なので私もこれからがんばりたいと思います。

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盛さん:育児をするなかで気づかされることは本当に多く、職場にばかりいると鈍くなりがちな感性が研ぎ澄まされて視野を広げてくれますし、ビジネスにもきっと役立つと思います。一方で、私は子どもと仕事、どちらを取るかとなったら、間違いなく「子ども」を取ります。子育てを両立させてもらえないような職場だったら、仕事を変えます。仕事や職場はいくらでも変えられますが、子どもとの時間は取り戻せません。それぐらいのマインドで働けば“子育て仕事の両立”はけっして難しくはありませんよ。

2013年12月都内にて実施

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