冬が来る前に知っておきたい! 妊婦のための冬の感染症対策

冬が来る前に知っておきたい!
妊婦のための冬の感染症対策

妊娠・出産インフォ

誰もが体調を崩しやすく、冷えや乾燥も気になる冬。お腹に赤ちゃんのいる妊婦さんはどのようなことに気をつけて、毎日をすごせばいいのでしょうか。専門家にお話を聞いてみました。
(※本コンテンツは2017年1月に配信した記事を再編集したものになります)

 

産婦人科の権威が真っ先にあげたのは「感染症」対策

それではまず、冬の妊婦さんがいちばん気をつけたいことについて、産婦人科医で慶應義塾大学名誉教授の吉村泰典先生にお話をうかがいました。

「やはり冬はインフルエンザ対策です。妊婦さんには必ず抗インフルエンザワクチンを接種してもらいたいです。ワクチンと聞くと、怖いと感じる妊婦さんも多いでしょうが、不活化ワクチンである抗インフルエンザワクチンは打っても大丈夫。子ども、高齢者、妊婦さんはインフルエンザにかかると重症化してしまう“三大弱者”ですから、早めに接種することが望ましい。できれば例年流行が始まるちょっと前に打つのがいいですね」(吉村先生)

ワクチンには「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類があります。生ワクチンは生きた細菌やウィルスを繰り返し培養して、病原性が弱くなったものから選んで作ったもので、不活化ワクチンは、細菌やウィルスをホルマリン処理するなどして毒性を弱めたもの。妊娠中に生ワクチンを打つことはできませんが、不活化ワクチンなら大丈夫。“有益性投与”と言って、ワクチンを打つことで高い効果が得られるときは、投与すべきという考え方が医学の世界では一般的なのだそうです。

ちなみに、予防接種をまだ打っておらず、万が一インフルエンザにかかってしまったらどうすればいいのでしょうか?

「その場合はタミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬を処方してもらってください。妊婦さんがこれらの薬をのんでも問題ありません。また、家族がインフルエンザにかかった、インフルエンザの人と接触してしまったなどという場合にも、予防的処置として抗インフルエンザ薬をのむことを推奨しています」(吉村先生)

なるほど、インフルエンザはお薬で対処することができるのですね。ちなみに風邪などインフルエンザ以外の症状があらわれたとき、妊婦さんはどうすればいいのでしょうか。

「基本的に妊娠中は、お薬はのまないほうがいいと言われていますが、咳止め、鼻水止め、抗生剤などいわゆる風邪薬は、基本的にはのんでもかまわないものです。ただ、中枢神経系のてんかんの薬や抗うつ剤などは、胎児へ影響を与えることが非常に大きいので注意が必要です」(吉村先生)

吉村先生は、妊婦さんが薬をのむときは、産婦人科医のところへ薬を持っていき、ひとつひとつ確認してもらうのが望ましいと言います。また、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」に相談するのもいいとのこと。

【参考】妊娠と薬情報センター:授乳とお薬について
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html

栄養のプロは日光浴に重要さを指摘

予防医療コンサルタントで、2016年9月に第一子の女の子を出産した細川モモさんは、ご自身が冬に妊娠初期をすごした経験を振り返り、「私がいちばん気をつけていたのも、感染症にかからないことでした」と話してくれました。とにかく風邪などの病気にかからないように細心の注意を払い、食事でケアをしていたそうです。

「たとえば鍋料理なら、薬味でニンニクやしょうがをとるようにしたり、炒め物などにもニンニクを入れたりして、免疫系の強化を心がけていました」(細川さん)

感染症の予防効果があるといわれている栄養素「ビタミンD」。骨を強くするためにもしっかりとりたい栄養素ですが、「ビタミンDはインフルエンザの発症リスクを50%も低減するとして、世界的に注目を集めているビタミンです」と解説。その栄養素を体に取りこむ方法は、「含まれる食品が限られるので、それらをしっかり食べることと、食事に加えてとくに冬は意識的に日光を浴びるようにすることが大切です。ビタミンDは日光を浴びることで活性化させる必要があるビタミンなのです」と細川さん。

ビタミンDが体内で作られるために必要な日光量は場所や季節で変わりますが、国内で行われた研究によると、真冬なら沖縄県で17分、茨城県で22分、北海道なら76分ほど。夏はその半分〜1/3でいいそうです。(※1)

「寒さをしのぐために、マフラーをぐるぐる巻きにしたり、帽子をかぶったりしていると、せっかく外出しても日光を直接肌に浴びなければ、ビタミンDは体内で生成されないので、病気のリスクが上がってしまいます。また日光浴は授乳で低下してしまう骨密度の回復を助けますし、生まれてくる赤ちゃんの骨も強くなるので、一石三鳥くらいの効果があると思います」(細川さん)

真冬であっても女性ならUVケアを欠かさないという人も多いと思いますが、「ビタミンDのことを考えると紫外線を完全カットするという考え方は危ない」とも。顔のシミやそばかすが気になるようなら、顔だけUVケアをして、手など皮膚のどこかを露出させて、30分程度、天気のいい日に散歩などをしてみてください。

また、ビタミンDを食事からとるには、魚、卵、きのこなどをこまめに食べることが大切だといいます。

「ビタミンDの血中濃度がより高まるのは魚なので、DHAを摂るという意味でも魚を食べたほうがいいです。鮭やたらなどスーパーで売っているものでかまいません。海鮮鍋なら冬の献立に向いていますね」(細川さん)

 

――――――――――――――――――

感染症はしっかり予防しておくことが大事。インフルエンザのワクチン接種は早めが基本です。そしてもしインフルエンザに感染した場合でも、病院に行き、抗インフルエンザ薬を処方してもらってください。また、なにより免疫力を落とさないように、日々の食事も栄養のバランスを意識して、しっかり食べるということが大切です。ビタミンDを体内で生成するためにも十分な日光浴も忘れないでくださいね。

※1 出典:Miyauchi, M., C. Hirai, and H. Nakajima, The solar exposure time required for vitamin D3 synthesis in the human body estimated by numerical simulation and observation in Japan, Journal of Nutritional Science and Vitaminology, 59, 257-263, 2013.

 

【プロフィール】
■吉村泰典(よしむら・やすのり)
1949年生まれ。産婦人科医、慶應義塾大学医学部教授。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。第2次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。

■細川モモ(ほそかわ・もも)
予防医療コンサルタント。社団法人Luvtelli (ラブテリ)東京&NewYork代表理事。2009年の春にPublic Healthを活動目的とする「Luvtelli Tokyo&NewYork」を発足、女性と次世代の健康に関する数多くの活動・研究を展開する。14年に三菱地所株式会社 とともに働く女性の健康支援を目的とした「まるのうち保健室」をオープンし、日本初の働く女性の健康課題を明らかにした「働き女子1,000名白書」を発表するなど多方面で活躍中。

妊娠・出産インフォ トップに戻る