日差しは「上手に付き合う」が吉!? 紫外線を正しく知りましょう

日差しは「上手に付き合う」が吉!?
紫外線を正しく知りましょう

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以前は「小麦色の肌」と言えば、ほどよく日焼けした健康的なイメージでした。でも最近は紫外線の浴びすぎから起こる健康被害を心配するママ・パパは少なくありません。

「紫外線の「適度」な取り入れ方とは」では、紫外線の基礎知識から赤ちゃんに与える影響について国立研究開発法人国立国際医療研究センター小児科診療科長の七野浩之先生にお話を伺いました。

こちらでは紫外線のプラス面にも着目し、赤ちゃんの健康を守るための「日差しとの付き合い方」について考えてみたいと思います。

 

骨の成長には紫外線が必要です

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日焼けやシミなどの原因となることから悪者扱いされがちな紫外線ですが、実は私たちのからだで大切な役割を果たしています。紫外線が当たった肌ではコレステロールが変化して体内にビタミンDをつくり出しているのです。

ビタミンDは血液中のカルシウム濃度を高め、腸からのカルシウムの吸収率を2~5倍にする大切な栄養素。ビタミンDが欠乏するとカルシウムが十分吸収されなくなり、血液中のカルシウム濃度が低下。そうなると、ひどい時にはけいれんなどを引き起こしてしまうため、からだは骨からカルシウムを溶かして供給するようになります。これが“くる病”の原因になるのです。

赤ちゃんがくる病になると、骨が曲がりやすくなって歩きはじめの時期に極端なO脚になったりすることがあります。同じように成人になってから、ビタミンD不足で骨が柔らかくもろくなってしまう病気を骨軟化症と言い、どちらも治療が大変難しい病気です」(七野先生)

乳幼児のビタミンD欠乏症は近年増加傾向にあります。その原因の一つは、母乳を与えるママが紫外線を避けすぎることにも関係があるのではないかと言われていることは知っておいていただきたいお話です。

「またビタミンDは最近では、がんや感染症などの予防にも効果があると言われるようにもなっています。紫外線に当たるだけで健康維持に役立つなら、日光浴は手軽な健康法とも言えますね」(七野先生)  

食物から摂れるビタミンDと日光浴

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七野先生によると「ビタミンDは魚やキノコ類には多く含有されているものの、他の食物にはほとんど含まれていないために食物として摂れる量は限られています」とのこと。

大人も子どももだいたい10~25マイクログラムが一日の必要量ですが、食物から摂れるのは5マイクログラム程度残りは紫外線に当たって作らなくてはならないんです。ただし水分と一緒に体外に排出される水溶性の栄養とは異なり、ビタミンDは脂溶性ですから、体の中で作られるとある程度留まっているという特性を持っているので、毎日必ず摂取しなくてはいけないと神経質になる必要はありません」(七野先生)

食品中のビタミンD含有量

上の表からも分かるようにビタミンDは魚類ときくらげに多いのですが、必要量を食品からだけ摂取するのは大変そうですね。やはり紫外線の力を借りてビタミンDを作ることが必要なようです。

日光浴の時間について環境省の「紫外線環境保健マニュアル」(※)では、「10マイクログラムのビタミンDを生産するのに必要な時間」として、標準的な肌タイプの日本人(日に焼けると赤くなるものの数日で小麦色に変わる)なら、東京都心の雲が少しある日の屋外という設定で、8月1日の昼ごろなら両腕と顔を露出した状態で日焼け止めをしていない場合は3分間1月1日の昼ごろなら顔と手を露出して日焼け止めをせずに50分と試算しています。

紫外線をカットする日焼け止めを使用していたり、顔や腕を衣服や帽子などで覆っている場合は、さらなる時間が必要ということになります。顔が焼けてしまうことに抵抗がある方は、手足だけちょっと長めに紫外線に当てるなど“工夫”をしてみてはいかがでしょうか。

赤ちゃんはどれくらい日光浴すればいい?

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それでは赤ちゃんの日光浴の目安はどうなるのでしょう。まず考えたいのは、赤ちゃんは体が小さく日に当たる面積が狭いので、同じ量のビタミンDを作るならこの2倍程度の時間が必要ということ。また前編記事でも取り上げたように住んでいる地域や季節によって紫外線量が違うので、紫外線の少ない北海道なら長い時間の日光浴が必要ですし、日差しの強い沖縄ならより短時間で十分でしょう。

「家の中でも日中照明をつけなくても明るい場所であれば、直射日光が差し込まなくても反射や散乱によって紫外線は届いています。肌は個人差が大きいので一概には言えませんが、赤ちゃんの日光浴のだいたいの目安は、“肌が赤くならない程度”と考えればいいでしょう」(七野先生)

また日焼け止めの使用について七野先生は「赤ちゃんに当たる紫外線量をコントロールするためには日焼け止めも有効ですが、肌で十分なビタミンDを作るためには、春や秋なら屋外ですごす時でも朝から塗っておくのではなく、午前10時ぐらいになってから塗るというように加減していただくといいのではないでしょうか」とアドバイスしてくださいました。なお日光浴や食物からの摂取が難しい場合には、ビタミンDのサプリメントも市販されているため、そうしたもので補うのもよいかと思います。

春のお散歩は気持ちのいいもの。赤ちゃんの肌をしっかりケアしつつ、紫外線の浴びすぎには注意しつつ、ほどよい日光浴を楽しんでくださいね。

 

〈参考資料〉
※「紫外線 環境保健マニュアル2015」(環境省/2015年3月改定)
http://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full/matsigaisen2015_full.pdf

 

dr

【プロフィール】
七野浩之(しちの ひろゆき)
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 小児科診療科長 小児科専門医 作家・森鴎外も医師として勤務したという150年の歴史を誇る国立国際医療研究センターで、日々病気の子どもたちと向き合っている。専門分野は小児血液腫瘍学、小児がんの子どもの長期フォローなど。

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