それでは赤ちゃんの日光浴の目安はどうなるのでしょう。まず考えたいのは、赤ちゃんは体が小さく日に当たる面積が狭いので、同じ量のビタミンDを作るならこの2倍程度の時間が必要ということ。また前編記事でも取り上げたように住んでいる地域や季節によって紫外線量が違うので、紫外線の少ない北海道なら長い時間の日光浴が必要ですし、日差しの強い沖縄ならより短時間で十分でしょう。
「家の中でも日中照明をつけなくても明るい場所であれば、直射日光が差し込まなくても反射や散乱によって紫外線は届いています。肌は個人差が大きいので一概には言えませんが、赤ちゃんの日光浴のだいたいの目安は、“肌が赤くならない程度”と考えればいいでしょう」(七野先生)
また日焼け止めの使用について七野先生は「赤ちゃんに当たる紫外線量をコントロールするためには日焼け止めも有効ですが、肌で十分なビタミンDを作るためには、春や秋なら屋外ですごす時でも朝から塗っておくのではなく、午前10時ぐらいになってから塗るというように加減していただくといいのではないでしょうか」とアドバイスしてくださいました。なお日光浴や食物からの摂取が難しい場合には、ビタミンDのサプリメントも市販されているため、そうしたもので補うのもよいかと思います。
春のお散歩は気持ちのいいもの。赤ちゃんの肌をしっかりケアしつつ、紫外線の浴びすぎには注意しつつ、ほどよい日光浴を楽しんでくださいね。
〈参考資料〉
※「紫外線 環境保健マニュアル2015」(環境省/2015年3月改定)
http://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full/matsigaisen2015_full.pdf
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 小児科診療科長 小児科専門医 作家・森鴎外も医師として勤務したという150年の歴史を誇る国立国際医療研究センターで、日々病気の子どもたちと向き合っている。専門分野は小児血液腫瘍学、小児がんの子どもの長期フォローなど。