非認知能力を育むために やってしまいがちな親の“NG行為”とは!?

2023.06.08

ミキハウス編集部

乳幼児期に、読み書きや計算のスキル(≒認知能力)ではなく、共感力、好奇心、集中力、忍耐力などの感情や心の働きに関する「非認知能力」を伸ばすことこそが、その人の人生を充実させ、豊かにするという研究結果があるそうです。

乳幼児期に育つ能力の育て方について、お茶の水女子大学人間発達教育科学研究所の浜口順子教授に【乳幼児期における「学び」で特に大切なことはなにか】をテーマに伺います。

(※本記事は2021年9月2日公開記事を一部修正した“再掲版”となります)

浜口 順子(はまぐち・じゅんこ)先生のプロフィール

お茶の水女子大学家政学部児童学科卒 お茶の水女子大学大学院 家政学研究科修了 博士(人文科学)。研究キーワードは乳幼児期、保育、子ども観、倉橋惣三。雑誌「幼児の教育」(フルーベル館)編集主幹。お茶の水女子大学 基幹研究院(保育・児童学)教授。3児の母。

 

 

「非認知能力を育てないと!」と前のめりになることには違和感

「非認知能力を育てないと!」と前のめりになることには違和感

――前編では、「非認知能力」として注目されている共感力、好奇心、集中力、忍耐力などは、乳児期からのママ・パパとの触れ合いをベースに育つことを教えていただきました。そこで後編では、わが子の「非認知能力」を育てるためにママ・パパが心がけるべきことについて伺いたいと思います。

浜口先生(以下 浜口):そうですね…。親御さんがそういうことを知りたいだろう、だからこそのご質問だとは思いますが、個人的にはわが子の「非認知能力」を育てるために心がけるべきことは何かと考えること自体、ちょっと違和感があります。

――と、おっしゃいますと?

浜口:感情や心の働きに関する「非認知能力」は日常生活の中でゆっくりと育っていくもので、大人が成果を期待して取り組むものではありません。そのため「どうしたら伸びるか」と結果を見越して子どもに接した時点で、塾や習い事に連れていくのと同じことになってしまうのではないかなと思うんです。

――それは確かにそうですね。

浜口:ですから「なにかをしてあげなきゃ」とか「親としてこういう態度で子どもに接したほうがいい」みたいな話ではないんですね。ただ一緒に買い物に行ったり、子どもが思い切り遊ぶ姿を見てほほえましく思ったり、一緒に部屋の中でゴロゴロしたり…そんな何気ない時間が親子の絆を育むんです。

非認知能力を育むために やってしまいがちな親の“NG行為”とは!?

浜口:ですから「子どもと一緒にいるといやされるなあ」とか「子どもってよくわからないけど面白いよな」と親が心に余裕をもって子どもとすごすことが大切。はじめは肩に力を入れて「一緒に遊ぶことで非認知能力が育つんだ。がんばって遊ばなきゃ」というような気持ちだったとしても、いつの間にか親のほうがリラックスして子どもよりも夢中になって遊んでいたりするような、そういう自然な流れがあるといいと思います。

――特別なことなんて必要ないと。

浜口:そう思います。お母さん・お父さんと一緒にすごすゆったりとした時間の中で、子どもは信頼感や共感力を身につけていくし、お母さん・お父さんはわが子がどんな子どもか、わかってきて、気持ちを汲み取ることができるようになっていきます。「できるかできないか」とか「普通か特殊か」という見方をしてしまうのは、他の子どもと比較する目線です。それは一人ひとりがその子らしさを持っていて、しかも今を健気に生きていることを見えにくくしています。

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