妊活のためのBMIチェッカー

妊活に適正なBMI値と、結果に合わせた食生活、
運動についてのアドバイスをご紹介します。

BMI値が25以上の
「肥満タイプ」のあなたは…

BMI値25以上は、妊娠そのものや、
妊娠中のリスクが高くなります。
食事と運動で妊娠適性体型を目指しましょう。

排卵障害や月経周期など、婦人科疾患のリスクや体型別のリスクを考えたとき、痩せすぎも問題ですが、太り過ぎもハイリスクといえます。妊娠そのものの確率が下がるだけでなく、40週の間も妊娠糖尿病などのリスクを伴い、陣痛を感じにくいことや帝王切開が大変になるなど、出生時まで心配が尽きませんので、ぜひ、妊活で妊娠適性体型を目指しましょう!

4つのデメリット

1.卵巣年齢の高齢化

妊娠前のBMIが高い人は、卵巣年齢(AMH 抗ミュラー管ホルモン)が高齢化してしまう傾向にあります。
卵巣年齢とは、卵巣の中にある卵子の残り数を示す値であって、質ではありません。
卵子は毎月の排卵とともに加齢に伴って減少していきますので、卵巣年齢のアンチエイジングはできません。
高過ぎるBMIは排卵性不妊のリスクを高めてしまうことを覚えておきましょう。※1

2.PCOSの可能性

BMIとともに体脂肪が高い女性は、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の可能性があります。
毎月排卵されるはずの卵子が排卵されず、卵子の中にネックレス状に溜まってしまう排卵障害であり、放っておくと不妊症のリスクが高まってしまうため、BMIも体脂肪も高いという女性は、基礎体温チェックを欠かさず行なうようにしましょう。排卵の有無を確認できます。
PCOSは血糖値が急上昇しやすい高GI食と、座り姿勢が長いことが影響することが報告されています。※2 ※3
とくにデスクワークの方は、おやつやランチで血糖値が急上昇しやすい高GI食を控えましょう。
血糖値を下げるホルモンであるインスリンには、もうひとつ「脂肪を溜め込む」働きがあり、高GI食は肥満を招きます。
また、血糖値が高い状態がずっと続くとインスリンへの反応が鈍い体質(インスリン抵抗性)になり、食後の血糖値を下げるために、いつも以上の大量のインスリンを必要としてしまいます。それでも鈍い状態が続いてしまうと血糖値が下がらなくなり、2型糖尿病を発症してしまいます。PCOSの患者さんは、インスリン抵抗性が多く見られることが報告されていますので、座り仕事が多く、BMI・体脂肪が高くなってきた女性は適度な運動を意識するか、低GI食を心がけ、PSOSを予防しましょう。

3.流産率の上昇

BMIが25以上、30未満の女性は、25未満の女性と比べ、流産率が1.24倍まで上がってしまうことが報告されています。※4

4.妊娠までにかかる期間が長くなる

BMIが高いと妊娠までにかかる期間が2倍になってしまうことが報告されています※5

ポイント1
男性も適正BMI・体脂肪を保ちましょう。

BMIが高い女性は、妊娠率低下、流産率増加、妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)増加、妊娠糖尿病増加、死産増加、先天異常増加が多くなりますが、実は、男性も同様の傾向があります。
男性の不妊患者の調査報告によると、BMIの値が高くなるほど(メタボに近づくほど)精子の運動率・濃度・精液量と負の相関があったことが報告されています。※6

順調な妊娠・出産を望まれるのであれば、夫婦は男女ともに「適性BMI」「適性体脂肪」を保つことをおすすめします。人間の身体が無理なく脂肪を落とせるのは1ヶ月に2kg程ですので、このペースでの無理のない減量計画を立ててみましょう。また、その期間も基礎体温のチェックはお忘れなく!

ポイント2
食生活も排卵に影響をあたえます。

正常な排卵周期の場合、基礎体温表に「低温期」と「高温期」が現れます。最低でも3ヶ月は記録をつけ、基礎体温グラフに波が起こらないようでしたら、急いで産婦人科を訪れましょう。不妊症を防ぐためにも、早期に適切な治療を受けることが大切です。
また、食生活も排卵障害のリスクをより高めてしまう因子であることを覚えておきましょう。
甘いものやアルコール、精白炭水化物(白米や食パン)と太りやすい脂質(お肉の脂身や生クリームなど)を取り過ぎていないかを振り返り、白いものは茶色いものに(うどん→蕎麦、白米→発芽米、食パン→胚芽パン)に変えましょう。身体に悪い脂質は不妊性不妊のリスクを高めることが報告されていますので、マーガリンやショートニング(菓子パンや焼き菓子)、揚げ物を控えめにし、卵子の質を高めるオメガ3脂肪酸(魚脂、亜麻仁油、紫蘇油など)を意識して摂取しましょう。
卵巣年齢が良好な方が食べていた、魚介類・きのこ類・卵類は、妊活で注目を集めているビタミンDを豊富に含み、卵子の質を高めるオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)やダイエタリーファイバー(食物繊維)も豊富に含んでいます。※7
お刺身定食や鮭のホイル焼きなどは妊活レシピとしておすすめです。

ポイント3
食事に加えて、運動も行いましょう。

運動は卵巣機能と基礎代謝を高めるためにも、下肢筋肉量アップにこだわり、まずは膝に負担のかからない水泳などから始めましょう。
食事+運動で妊娠しやすい身体を目指してください!

<ご注意>
各アドバイス内容は、あくまで妊活中の女性のためのものです。
  • ※1「妊娠しやすい食生活」(日本経済新聞出版社)ジョージ・E・チャヴァロ、 ウォルター・C・ウェレット、パトリック・J・スケレット、志馬千佳
  • ※2Fertil Steril 2013; 100: 1081
  • ※3Fertil Steril 2014; 101: 1123
  • ※4RBMOnline 2011; 23: 421
  • ※5Fertil Steril 2013; 100: 631 1
  • ※6Hum Reprod 2012; 27: 2365
  • ※7順天堂大学・ロート製薬株式会社・産科婦人科館出張佐藤病院・一般社団法人ラブテリによる共同研究

イラスト:吉野伶奈

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細川モモ
Momo Hosokawa

予防医療コンサルタント。両親のガン闘病をきっかけに予防医療を普及させるべく、米国で栄養学を学ぶ。医療と食の専門家による予防医療プロジェクト「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を日本とNYに発足。2011~2015 ミス・ユニバース・ジャパン ビューティーキャンプ講師を努める傍ら、卵巣年齢共同研究PJ・妊婦栄養研究PJといった共同研究を進める。2014年に「まるのうち保健室」を三菱地所とともに立ち上げ、日本初となる「働き女子1,000名白書」を発表。1児の母として、日経DUAL,Pre-moにて子育てレシピエッセイを連載中。ミキハウスとコラボした離乳食レシピ動画も公表配信中。

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