妊活のためのBMIチェッカー

妊活に適正なBMI値と、結果に合わせた食生活、
運動についてのアドバイスをご紹介します。

BMI値が19~25の
「適正」のあなたは…

BMI値19~25は、まさに理想的な状態です。

排卵障害や月経周期など、婦人科疾患のリスクや体型別のリスクを考えても、まさに理想的な状態。現状値をキープすることが大切です。そのためには、加齢に伴う筋肉減少(=基礎代謝の低下)を考えなくてはいけません。また、BMIが適性でも体脂肪が低い/高いというケースがあり、中でも体脂肪が28%超えの「隠れ肥満」がこのタイプには潜んでいます。体脂肪も忘れずにチェックしましょう。

今からできる4つのこと

1.筋肉量をキープしよう

「加齢による筋断面積の低下」
船橋和男、福永行夫:運動実践の筋力に及ぼす効果筋骨格系の加齢変化とトレーナビッティーJJsprisscience,651.65,1955より阿部らの未発表資料

残念なことに、筋肉に「現状維持」という言葉はありません。
何も対策しなければ1年で1%ずつ落ちていってしまいます。
それに従い、知らず知らずに筋肉と体脂肪の面積が入れ違い、筋肉の減少からボディラインがたるみ、太った印象を与えやすくなります。
基礎代謝も低下しますので、最も落ちやすい太ももの筋肉(基礎代謝もここで決まります)を維持する努力をしましょう。
スクワットやサイクリング、水泳などがおすすめです。
尚、筋肉が落ちる原因は運動不足と「エネルギー(カロリー)不足」と心得て。アスリートは筋肉量を維持するために1日3,000~6,000kcalも摂取しています。3か月必要エネルギーが不足すると、なんと5歳分も筋肉が落ちてしまうことが筑波大学の研究によって報告されています。

2.和食を中心にバランス良く食べる

生活は和食を中心にバランス良く召し上がってください。私どもの研究結果では、卵巣年齢が良い方は魚介類・卵類・きのこ類・芋類を中心とする野菜類をバランス良く食べていました。魚介・卵類・きのこ類に共通している栄養素はビタミンDです。ビタミンDは近年、不妊症や卵巣年齢との相関が報告されており、妊活にとって注目のビタミンです。※1
尚、妊娠適齢期の女性が1日に必要とするエネルギー量は、デスクワーク中心の方は1日1,750kcal、立ち仕事の方は2,000kcal、運動習慣のある方は2,300kcalです。

3.晴れた日は適度に日光にあたる

ビタミンDは、別名を「日光のビタミン」といいます。由来は、ビタミンDは食事量以上に、肌が日光にさらされたときに皮膚上で活性化するビタミンだからです。活性化して初めて人間の健康に役立ちます。ビタミンDは妊活にとって良いだけでなく、①インフルエンザの発症リスクを低減する ②女性に多い乳がん・大腸がんのリスクを低減する ③骨の健康を高める ④子どものくる病を予防するなど、幅広い働きがあります。晴れた日は1日15~30分日光を浴びることでビタミンDがチャージされます。※2

4.海藻を週3回食べましょう

お米よりも小麦の消費が伸び、海藻を食べる機会が減っている現代ですが、海藻には体内の代謝速度を調整する〔甲状腺ホルモン〕の材料になるヨウ素という貴重なミネラルが含まれています。実は、甲状腺の健康は月経・妊娠・出産・産後に大きく関係しており、甲状腺疾患の患者さんの多くは月経周期の異常を抱えています。
また、流産や早産・妊娠中毒症のリスクが高く、産後うつなどになりやすいことも報告されていますが、甲状腺ホルモンの値は健康診断の血液検査の項目には入っていないため、早期発見が難しいことが特徴です。わかめや海苔、昆布は週3食べることをおすすめします。

  • ※ただし、昆布はヨウ素を大量に含むため、過剰症の面から週3以上はおすすめしません。

ポイント1
隠れ肥満の場合は、食べ物にも注意

BMIが理想数値の方は、筋肉減少に対する対策+体脂肪チェックを忘れないようにしましょう。
もし、BMIは正常でも体脂肪が28%を超えている「隠れ肥満」の場合、甘いものやアルコール、精白炭水化物(白米や食パン)と太りやすい脂質(お肉の脂身や生クリームなど)を取り過ぎていないか振り返り、白いものは茶色いものに(うどん→蕎麦、白米→発芽米、食パン→胚芽パン)に変えましょう。
身体に悪い脂質は排卵性不妊のリスクを高めることが報告されていますので、マーガリンやショートニング(菓子パンや焼き菓子)、揚げ物を控えめにし、卵子の質を高めるオメガ3脂肪酸(魚脂、亜麻仁油、紫蘇油など)を意識して摂取しましょう。※3

ポイント2
隠れ貧血のリスクが高まります。

出典:妊婦の鉄摂取量と鉄栄養状態の横断的検討
渡辺優菜 善方裕美 石田裕美 上西一弘
女子栄養大学栄養生理学研究室 よしたか産婦人科 女子栄養大学給食・栄養管理研究室

女性は毎月月経によって22.5ccの出血があり、1回の月経で鉄分も10.5mgほど失っています。
それに加え、毎日の発汗、尿、便を通じて1mgの鉄を失っているため、食事から の補給を意識しないとあっという間に不足してしまいます。
「健康診断で貧血と言われたことがないから大丈夫」と思われるかもしれませんが、体内の鉄分は60~70%がヘモグロビンとして存在していますが、20~30%はフェリチン(貯蔵鉄)という形でストックされています。実は、妊娠をすると、体内で鉄分の需要が急激に高まり、体内のフェリチン(貯蔵鉄)が大幅に減少します。
妊娠中・産後の貧血を避けるためには、妊娠前に50ng/mLをキープしたいところですが、平成24年度の国民健康・栄養調査では妊娠適齢期世代の3人に1人が12ng/mL以下であり、病院に行くと鉄剤処方が必要になってしまう「隠れ貧血」 に該当しています。
また、ハーバード大学の研究では、サプリメントで鉄分を補っていた女性が不妊になるリスクは40%も低く、食事からの鉄も妊娠率に影響することを報告しています。※4
意識しなければ満たすことが難しいミネラルと心得て、しっかり摂りましょう。
ブライダルチェックなどでフェリチン(貯蔵鉄)の事前チェックもおすすめします。

<ご注意>
各アドバイス内容は、あくまで妊活中の女性のためのものです。
  • ※1順天堂大学・ロート製薬株式会社・産科婦人科館出張佐藤病院・一般社団法人ラブテリによる共同研究
  • ※2Urashima M, Segawa T, Okazaki M, et al. Randomized trial of vitamin D supplementation to prevent seasonal influenza A in schoolchildren. Am J Clin Nutr 2010;91:1255-60.
  • ※3・4「妊娠しやすい食生活」(日本経済新聞出版社)ジョージ・E・チャヴァロ、 ウォルター・C・ウェレット、パトリック・J・スケレット、志馬千佳

イラスト:吉野伶奈

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細川モモ
Momo Hosokawa

予防医療コンサルタント。両親のガン闘病をきっかけに予防医療を普及させるべく、米国で栄養学を学ぶ。医療と食の専門家による予防医療プロジェクト「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を日本とNYに発足。2011~2015 ミス・ユニバース・ジャパン ビューティーキャンプ講師を努める傍ら、卵巣年齢共同研究PJ・妊婦栄養研究PJといった共同研究を進める。2014年に「まるのうち保健室」を三菱地所とともに立ち上げ、日本初となる「働き女子1,000名白書」を発表。1児の母として、日経DUAL,Pre-moにて子育てレシピエッセイを連載中。ミキハウスとコラボした離乳食レシピ動画も公表配信中。

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