妊娠28週をすぎる頃には、プレママのおなかはグーンと前にせり出してきます。胎動を感じると、赤ちゃんに会える日が待ちきれませんね。
本記事では、妊娠後期をテーマに、日に日に成長するおなかの赤ちゃんの様子と出産を迎えるプレママ・プレパパが知っておきたいことについてまとめました。監修は慶應義塾大学名誉教授で産婦人科医の吉村泰典先生です。
からだの機能が完成し、外の世界で生活する準備が整います
妊娠後期になると、おなかの赤ちゃんの顔つきやからだの大きさなどにもはっきりとした個性がみられるようになります。
■妊娠8か月
【妊娠28週】
体重約1,200g(※1)。心臓の働きが整います。ピクピクと小刻みな胎動は、赤ちゃんの横隔膜が痙攣(けいれん)して起きるしゃっくりのようなものをプレママが感じているためです。
【妊娠29週】
胃や腸がほぼ完成し、胎便が作られるようになります。おなかにいる間、赤ちゃんは肛門括約筋(こうもんかつやくきん)をしっかり閉じて胎便が羊水にもれないようにしています。
【妊娠30週】
体重約1,500g(※1)。この頃になると頭を下にした「頭位」の姿勢になります。おしりを下にした「骨盤位(さかご)」も、羊水が多くて胎児の動きが活発なこの時期に自分で回転して頭位になることが多いようです。
【妊娠31週目】
皮下脂肪がついてふっくらとしたからだつきになってきます。
■妊娠9か月
【妊娠32週】
体重約1,800g(※1)。赤ちゃんは羊水を飲み込み、それに含まれるアミノ酸や脂肪などを肺や腸で吸収しています。羊水の量は妊娠32から36週の間がピークで約1リットルになります。
【妊娠33週】
視覚、触感、味覚、嗅覚が発達します。赤ちゃんはおなかの中でも光を感じています。
【妊娠34週】
体重約2,200g(※1)。肺の機能が完成し、人間が呼吸をするために必要な肺サーファクタントという物質が分泌されるようになります。
【妊娠35週】
赤ちゃんのからだには筋肉もついてきます。
■妊娠10か月
【妊娠36週】
体重約2,500g(※1)。そろそろママのおなかが窮屈(きゅうくつ)になってくる赤ちゃん。からだを動かすと、手足やひじ、ひざの形が分かるほどプレママのおなかが盛り上がることも。
【妊娠37週】
出産予定日2週間前の37週0日から2週間後の41週6日までを「正産期」といいます。心臓や肺の機能ばかりでなく、体温調整機能も発達してきます。
【妊娠38週】
体重3,000g前後(※1)。腎臓や肝臓の機能が完成し、肌の色は赤ちゃんらしいピンク色に。
【妊娠39週】
胎盤の方に下がってきた赤ちゃんは、あごを胸に、ひざをおなかに近づけて、からだを丸くして誕生の時を待っています。
妊娠後期のプレママのからだの変化について
ここからは、おなかがどんどん大きくなる妊娠後期のプレママのからだの変化と、出産のきざしについてまとめます。
下半身の静脈がうっ滞して、膝の裏や太もも、ふくらはぎなどに血管が浮かび上がる「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」が見られる場合は、足を高くして休む、弾性靴下を履く、足を温めるなどの対策が有効です。
この他、妊娠後期には乳腺が発達して乳房も膨らみ、授乳の準備も整ってきます。乳頭陥没などで赤ちゃんが吸いにくそうな場合は、妊娠後期に入ってから乳頭マッサージを行い、形を整えておきましょう。乳頭への刺激は子宮収縮を引き起こすことがあるので、必ず医師や助産師さんの指導を受けて行いましょう。
そろそろ産まれる? 3つの「出産のサイン」
臨月になると、おなかが頻繁に張る、食欲が出る、腰が痛む、股関節が痛むなどの症状が見られるプレママは多いようです。いよいよ出産が始まる時、赤ちゃんはプレママに3つのサインを送ります。
パパになる自覚を持つために心がけたい5つのこと
赤ちゃんを迎えるにあたって一番大切なことは、プレママ・プレパパの心の準備です。特にプレパパは、赤ちゃんの成長をからだで感じているプレママと違い、実感を持ちにくいとも言われています。これから始まる長い子育てをふたりで力を合わせて楽しむためにも、赤ちゃんが生まれる前からパパになる自覚を育んでいけるといいですね。
そこで、プレパパに知ってほしい5つの心がけをまとめました。
その3でご紹介したプレママ・プレパパセミナーは現在、リモートでも開催しているので安心してご参加いただけます。
赤ちゃんと新米ママのためのサポートサービスも
ママのからだは出産直後から、ホルモンバランスが急激に変化します。出産の疲れと慣れない赤ちゃんの世話も重なって、心のバランスもくずしがちな新米ママは少なくありません。自治体などが行っている産後ケア事業も調べておきましょう。
ママと赤ちゃんのショートステイ(宿泊)、デイケア(日帰り)、助産師による産後ケア訪問などの産後ケア事業(※2)は全国の940以上の市町村で導入されていますよ。
妊娠中はからだの変調に悩まされたし、これから経験する出産の大変さを想像して、ちょっと不安というプレママもいるでしょう。でもわが子との対面はすべてを忘れさせてくれる喜びがありそうです。残り少ない妊娠期、元気にすごしてくださいね。
1949年生まれ。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。これまで2000人以上の不妊症、3000人以上の分娩など、数多くの患者の治療にあたる一方、第2次~第4次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。「一般社団法人 吉村やすのり 生命の環境研究所」を主宰。