妊産婦のメンタルヘルス 
不安定化する要因&必要なサポートとは? (前編)

妊娠中の女性はなにかと体調が変わりやすく、さまざまな症状に悩まされることもあります。なかでも妊娠期に不眠でつらい思いをされる方も少なくありません。そこで本記事では、妊娠時期別に不眠の原因をまとめつつ、対処法についてもご紹介したいと思います。解説・監修は慶應義塾大学名誉教授で産婦人科医の吉村泰典先生です。

 

メンタルの不調 悪化する前にお医者さんに相談しましょう

メンタルの不調 悪化する前にお医者さんに相談しましょう

――まずは産後うつの傾向、他者にもわかるような“サイン”があれば教えてください。

吉村先生: 「会話をしていてもどこか上の空でぼんやりしている。なにかあったわけではないのに涙ぐんでいる。目を合わせない。おざなりな返答をする。そういう典型的なおかしい態度は注意が必要です。また『何となくいつもと様子が違うな』くらいであっても、産後だから仕方ないと思わず、メンタルヘルスの不調を疑った方がいいと思います」

――産後のメンタルヘルスの不調は、本人もさることながら、子どもへの影響も心配です。

吉村先生: 「育児ストレスから虐待につながるケースは本当に多いんです。実際、厚生労働省が発表している児童相談所での児童虐待相談対応件数は年々増加しています。虐待が子どもの脳に及ぼす影響も指摘されています。児童虐待を防ぐには、社会として産後ケアのサポート体制を整えないといけません。母親たちが追い込まれる前に、早期介入・早期支援が重要です」

――治療が遅れるとどうなりますか?

吉村先生: 「症状が進行してくると産後精神病になることもあります。幻覚や幻聴、異常行動などを起こすこともあるため子育てはもちろんのこと、日常生活にも大きな影響を与えるようにもなる。夫婦関係も悪化することになりかねませんし、最悪の場合は自らで命を絶つことだってあります。ですので、まずは一番近い人が異変に気づいてあげて、早い段階で産婦人科医に診せるようにしてください」

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