妊娠中のプレママの気がかりのひとつといえば「逆子(さかご)」。定期検診の超音波(エコー)検査で「逆子ですね」と言われると、お産が大変なのではないかと心配になってしまいますね。しかし日本は世界有数の“周産期医療先進国”とも言われています。この現代において、逆子はどれほどの心配が必要なものなのでしょうか。慶應義塾大学名誉教授で産婦人科医の吉村泰典先生に伺いました。
(※本記事は2020年4月24日公開記事を一部修正した“再掲版”となります)
妊娠中期まで、40%の赤ちゃんが「逆子」です
――今回のテーマは「逆子(さかご)」です。出産を控えている妊婦さんにとって非常に気になることだと思いますが、まず逆子とはどういう状態を指すのか改めて教えてください。
吉村先生:基本的に赤ちゃんは、子宮の中で頭を下にした姿勢で成長する子の方が多い。でも時には頭が上になっている赤ちゃんもいて、それを「逆子」と言います。医学的には頭を下にしている状態を「頭位」、頭が上になっていると「骨盤位」と呼ばれています。
――「頭位」で育つのが一般的とのことですが、妊娠中にエコーで見ると「骨盤位」、つまり逆子の状態になっていることもよくありますよね。
吉村先生:吉村先生:そうですね。妊娠中期ぐらいまでは赤ちゃんは子宮の中で自由にからだを回したり、姿勢を変えたりしますから、安定はしていません。その時期までですと、超音波で見るとおよそ40%の赤ちゃんが逆子ですよ。
――妊娠中期までとはいえ、40%とは思ったより多いですね。
吉村先生:ただ27、28週頃にからだが1kgを超えるほど大きくなってくると、出産に向けて頭位に固定される赤ちゃんが多くなります。30週で頭位になっているのはおよそ85%ですが、34週ごろになると90%以上になり、予定日間近の36週になると約95%という具合にほとんどの赤ちゃんが分娩前までに頭位になってくるんです。