妊娠中期・後期での発症率は約85%※1にも上る、という報告もあるほどプレママ&ママにとって「痔」は悩ましい問題です。便秘などが原因でもともと軽い痔の症状を持っていた女性が妊娠・出産を機に悪化することも珍しくないといいます。
そこで本記事では、そもそもの痔の予防方法についてフォーカスし、まとめます。お話いただくのは前編記事に続き、「痔にはボラギノール®」でおなじみの天藤製薬の寺田晴奈さんです。
無理なダイエットは痔の原因にもなります
――前編記事では、多くの日本人が痔を患っていること、しかしながらそれを自覚している人が少ないことなどをご指摘いただきました。
天藤製薬・寺田さん(以下、寺田):はい。たとえばトイレで排便時に少し肛門が痛むとか、もしくは肛門を拭いたトイレットペーパーに少し血がつく程のご経験は、多くの方がされていると思います。
――その経験、自分もあります…(小さな声で)。
寺田:実は、それらは痔の症状の1つなんです。肛門のちょっとした違和感を、痔の症状だと捉えられている方は非常に少ないんです。産前産後で痔になった女性も、妊娠前から痔の症状があり、妊娠や出産をきっかけに気付いたり、悪化させているケースもあります。
――そういう意味では早期発見、早期解決がいいのはもちろんのこと、そもそも痔にならない方法について知りたくなります。
寺田:予防法はいくつかありますが、便秘による硬い便は、肛門を傷つけますし、下痢も肛門を刺激し、細菌感染を起こしやすくしたりしますので、慢性的な便秘や下痢に悩まされているのであれば腸内環境を改善すること。食生活を見直して、乳酸菌などの善玉菌や、善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維をしっかり取るなどして、お通じをよくすることがまず挙げられると思います。また、辛い食べもの、アルコールなどは腸を刺激するため、下痢で悩まれているなら日頃から控えた方がいいでしょう。
――状態のいい便、スムーズな排便が大切なんですね。そのために食生活もしっかり整える必要があると。
寺田:特に女性の場合は、短期間で痩せようと極端に食事の量を減らす無理のあるダイエットをされる方もいらっしゃると思います。極端な食事制限をすると、便の量も減り、便意をもよおしづらくなり、便秘になりやすくなるんです。ですので無理なダイエットをしないことも大切かと思います。
――過度なダイエットが痔の遠因になるとは盲点でした。そうそう便秘対策として一般的なものには十分な水分摂取などもありますよね?
寺田:そのとおりです。水分が不足すると便が硬くなってしまいますから、成人で1日約2Lの水分を取るのがよいとされています。また適度な運動も腸の動きを活性化させますので、運動不足の方は軽いウォーキング程度でよいので、日常的に運動されることをおすすめします。あとは睡眠不足やストレスも消化管の働きに悪影響を及ぼしますので、しっかり寝て、ストレスのない生活を心がけることも大切です。