妊産婦のおしりの悩み 
「痔」にならない生活習慣と予防法(後編) 

ミキハウス編集部

温水洗浄機能の使いすぎにもご注意を

温水洗浄機能の使いすぎにもご注意を

――慢性的な便秘や下痢にならない食習慣を身に付け、加えて睡眠をしっかり取り、ストレスもなるべく感じない「健康的な生活」が重要だということは理解できました。その他に注意すべきことはありますか?

寺田:肛門まわりの血液循環が悪いことも痔の原因になります。お仕事でずっと座ったままだったり、逆に立ち続けたりすることもあるかと思いますが、同じ姿勢を続けていると肛門がうっ血してしまいがちになります。適宜、からだを動かすようにすることも痔の予防になります。

あとはお風呂ですね。お風呂は湯船にゆっくりつかることで、肛門のうっ血も改善されることが期待できるので、シャワーではなく湯船に入ることを習慣化するとよいと思います。

シャワーではなく湯船に入ることを習慣化するとよいと思います

――排便時にいきみすぎるのもよくないと聞いたことがあります。いきまないといけないくらい便通が悪くなっていることの方が問題かもしれませんが…。

寺田:そうですね。なんとか出そうとトイレで粘るのはよくないです。トイレ時間は3~5分を目安として、出ないときは無理せず切り上げるようにしてください。時間をかけて出し切ろうとすれば、肛門に負担がかかり、うっ血や出血につながる可能性があります。排便は、無理なく、を基本としてください。

――肛門を清潔にするために使用する温水洗浄機能付きのトイレがありますよね。痔を予防するのにも役立ちそうなイメージがあるのですが、実際はどうなんでしょうか?

温水洗浄機能付きのトイレ

寺田:温水洗浄機能は使い方次第だと思います。おしりを清潔に保つことは重要ですが、おしりの皮膚は大変デリケートですので、強い水圧で汚れを落とそうとしたり、洗いすぎると皮膚炎を起こしてしまうこともあるんです。

――そうなんですか。本来おしりにいいはずの機能も、使い方を間違ってしまったら肛門を傷つけることにもなってしまうというわけですね。

寺田:もちろん肛門を清潔にはした方がいいんですよ。いいんですが、やりすぎには注意が必要ということです。たとえば温水を長時間、肛門に当てると、どうしても皮脂膜が取れて皮膚の乾燥に繋がってしまいます。その上でトイレットペーパーでごしごし強く拭くと皮膚が傷ついてしまい、荒れに繋がることもあります。お伝えしたいのは、肛門の皮膚は思ったよりもデリケートだということなんです。

――なるほど。もう答えはなんとなく想像がつくのですが、温水洗浄機能を水圧最強にして浣腸的に使うことで、排便を促すようなことをしている方もいると思うのですが…これは肛門にとってはNG行為になりますよね??

温水洗浄便座症候群

寺田:そうですね。おしりの皮膚にダメージを与えてしまうこともそうですが、日常的にそういった使い方をしていると、だんだん刺激がないと便が出にくくなったりする「温水洗浄便座症候群」になる可能性もあります。実際、最近は温水洗浄便座じゃないとなかなか排便できないという方も増えているんです。ですので、水圧は弱く、使用時間は短く、水温もぬるま湯や常温に設定いただくのがよいでしょう。

――冬場はあたたかいお湯を当てるだけで気持ちよくて、ついつい長く洗ってしまいがちですが注意しなければいけませんね。あと拭くときもやさしくが基本なわけですよね。

寺田:そうですね。ゴシゴシこするのではなく、赤ちゃんの肌と一緒でやさしく押し当てるように水気をとるのが望ましいです。清潔にした後に、さらに専用のクリームやバームなどで皮膚の表面を覆って油の膜を作って、皮膚を保護してあげれば、痔の予防効果もより高いと思われます。

――妊産婦になると、どうしても痔を発症しやすかったり、症状が悪化してしまいがち。悪化すると本当につらい状態になるので、妊娠前から日々の習慣でケアすることが大切だということを学びました。また、痔の症状があらわれても、軽い段階からお薬を使用したり、専門医に診てもらうことも大切ですよね。今回は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

 

痔を予防するために気をつけるべきこと

痔を予防するために気をつけるべきこと

 

寺田晴奈さん
天藤製薬株式会社 マーケティング部 ブランドコミュニケーショングループ所属。大学時代は薬学部にて免疫学・ウイルス学を専攻。天藤製薬に入社後はオウンドメディアにおける痔や痔の予防に関する記事コンテンツ、ドクターインタビュー記事、TVCM・Web・新聞など幅広い媒体における広告物の制作を担当。

<参考>
天藤製薬 HP
日常でできる痔の予防

  • ※1Gojnic, M. et al.: Clinical Experimental Obstetrics and Gynecology, 32: 183, 2005.(海外データ)

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