赤ちゃんのお口にちょこんと白い歯がのぞくようになると、パパ、ママはわが子が幼児へと成長していくことを実感してうれしくなることでしょう。
赤ちゃんが健やかに成長していくには、早期からの口腔ケアが重要です。乳歯は永久歯の土台となるため、乳歯の特徴や正しい歯みがききの方法を知ることも大切。そこで本記事では、乳児の口腔ケアについてまとめます。 是非毎日の歯みがきの参考になさってください。
乳歯の特徴と永久歯との関係性
赤ちゃんの歯が生えはじめるのは、生後3~9か月ごろ。6か月ごろから下の前歯から生えてくる子が多いようです。
その後、上の前歯(生後8~12か月)→ 側面の歯(生後9~16か月)→奥歯(第一乳臼歯:生後13~19か月)→犬歯(生後16~22か月)→最後の奥歯(第二乳臼歯:生後25~33か月)という順で、3歳ぐらいで20本の乳歯が生えそろうのが一般的です。ただし、生える時期や生え方の順番は個人差が大きいので、あくまで目安としてお考えください。
この乳歯が生える期間中、赤ちゃんは歯が生えることによる不快感や痛みを感じることがあります。これは歯が歯茎を突き破ってくるためで、よだれが多く出たり、かみたがる行動が見られたりすることがあります。
乳歯は、赤ちゃんの咀嚼や発話のサポートをする役割があります。そのため、乳歯が生え始める初期段階からの適切な口腔ケアが、赤ちゃんの健やかな成長のためには重要といえます。
なお乳歯は永久歯に比べてエナメル質(歯の最外層)が薄く、虫歯になりやすい傾向があります。3歳前後で生えそろった乳歯は、6歳前後で永久歯に生え変わっていきますが、乳歯が虫歯になると永久歯にも影響を与えるので、大人になっても丈夫な歯ですごすためにも、小さいころから歯のケアは大切です。
正しい歯みがきの方法とは
まずは“ガーゼみがき”から
授乳が終わった後、「歯みがきガーゼ」をママやパパの人差し指に巻いて水で濡らし、横抱きにしてやさしく口の中をぬぐいます。赤ちゃんはお口にモノが入る感覚に慣れていき、また顔や頬、舌などお口周辺に優しく触れる経験をたくさんすることで、歯ブラシを使うようになっても抵抗なく、スムーズに始めることができます。さらにママ、パパも赤ちゃんのお口の様子がわかって怖さがなくなりますよ。
歯みがき用のガーゼは、ベビー用が薬局で売られています。もちろん、普通のガーゼを適当な大きさに切って使っても問題ありません。清潔さが第一ですから、どちらも使い捨てにします。ガーゼを使うときは、赤ちゃんがガーゼを飲みこまないようしっかりと端を握り、指をのどの奥まで入れないように気をつけましょう。
乳歯が生えてきたら歯ブラシを
いよいよ歯ブラシでのお手入れ。パパ、ママの膝の上に赤ちゃんを寝かせて片手を大人のわきの下にはさみ、「あーん、できるね、すごいね」「いい子だね、上手だね」などとほめながら、まずは歯ブラシをお口に入れることに慣れてもらいましょう。
赤ちゃんが歯ブラシに慣れてきたら、ママ、パパは鉛筆を持つように歯ブラシを握り、赤ちゃんの小さな歯によく当たるように先端だけを細かく震わせるように動かします。痛くないようにそっとやさしくみがいてあげましょう。あくまで「軽く」が基本です。
乳歯で虫歯になりやすい場所は、「上の前歯」、「歯と歯の間」、「奥歯のみぞ」の3か所です。ここを優先的にみがくといいでしょう。なお、上の歯をみがく時は、上唇小帯(上唇の裏側と歯ぐきの間にあるスジ)に歯ブラシを当てないようにしてください。ここを刺激すると、痛くて歯みがきが嫌いになってしまうかもしれません。
歯みがきが終わったらガーゼみがき同様に、濡れたガーゼで歯の表面や歯ぐきなど、口内全体を優しく拭き取ってあげましょう。
この時期の歯みがきは、ちょっとでも嫌がるなら無理は禁物です。もし歯ブラシを嫌うようであったら、歯みがき用ガーゼや太めの綿棒でさっと拭いてあげるだけでもいいですよ。
歯みがき粉はどんなものを?
歯みがき粉は特に必要ありません。フルーツの味や香りがついている赤ちゃん用、小児用の歯みがき粉もありますので、赤ちゃん本人が喜んでいるようであれば使ってもいいでしょう。
おすすめは、赤ちゃん用・小児用のジェルタイプ。フッ素入りのものも、虫歯予防に効果があります。ただし、赤ちゃんが自分ですすぎができるようになってから使うことをおすすめします。大人用のものには発泡剤や研磨剤が入っていますから、使用は控えましょう。
赤ちゃんのお口の中は、日中は盛んに分泌される唾液の自浄作用で虫歯になりにくい環境ではありますが、眠っている間は唾液が少なく、虫歯菌が活動しやすくなります。歯みがきのタイミングは夜寝る前やお昼寝前がおすすめです。
どうやったら歯みがきを習慣化できる?
ほとんどの赤ちゃんはお口の中を触られるとイヤイヤとなりがち。そんなときに、「お口をちゃんと開けて!」「じっとしてなさい!」なんて叱ってしまうと、歯みがきが嫌いになってしまうかもしれません。
乳幼児の頃から、歯みがきが楽しいものだと思わせて、遊びの延長として歯みがきを上手に習慣化したいものですよね。
例えば、歯みがき中に歌を歌ったり、キャラクターのものまねをしたりするのはいかがでしょうか。とにかく“楽しい時間”だということを教えてあげてください。親子にとって大事なコミュニケーションの時間でもあるので、会話や子どもの反応を楽しみながら、ママもパパも笑顔でみがいてあげてください。
それでも嫌がるときは、無理強いすると逆効果なので、やめてOKです。とにかく機嫌の良いときに行うことを心掛けましょう。
そして、歯みがきがうまくできたら、たくさん褒めてあげることが重要です。「こんなにできるなんてすごいね」、「あー、すごくきれいになったよ!」「がんばったね、えらいね!」と全力で褒めてあげてくださいね。
また、歯みがきのあとにはキシリトールのタブレットなど“ご褒美”を用意してあげるのもおすすめです。「歯みがきをすればいいことがある」と思ってもらえると、自然と子どもが歯みがきに興味をもってくれるようになります。
キシリトールタブレットは、さまざまな味のものが各メーカーから販売されています。歯の再石灰化も促してくるので、歯みがき後に舐めると、健康な歯を保つ働きが期待できます。
習慣化のためには、時間帯を決めることも重要です。ご飯を食べたあと、寝る前、朝起きてすぐ…いつも同じ時間帯に歯みがきをすることで、子ども自身が「そろそろ歯みがきをしないと」と、自主的に歯みがきをしてくれるようになりますよ。
ガーゼみがきからははじめる赤ちゃんの口腔ケア。最初な赤ちゃんもママ・パパも慣れずに、うまくいかないことが多いと思いますが、毎日少しずつ続けていれば「お互い」に慣れてくるものですよ。
習慣化のポイントは、赤ちゃんもママ・パパも「楽しむ」こと。お子さまと一緒に楽しい歯みがきを心がけてくださいね。