妊産婦さんは痔になりやすいと言われています。特に妊娠中期・後期での痔の発症率は高く、この時期に痔を発症する妊婦さんは85%(※1)にも上るという報告もあります。
痔の種類や程度により症状はさまざまですが、多くの妊産婦さんが痔に悩まされているという実態があるようです。そこで、本記事では「痔にはボラギノール®」でおなじみの天藤製薬の寺田晴奈さんに痔の原因から対処法、予防法などについてお聞きしました。
痔ってどんなもの?
――天藤製薬さんではHPなどで、わかりやすく痔について情報発信をされていますが、そこでは諸説あるとしながらも「日本人の半数以上が痔を患っている」と書かれていますね。そんなにも痔の方がいるのか、ということに驚きました。
天藤製薬・寺田さん(以下、寺田):調査方法で、割合は変わってくるとは思いますが日本ではかなり多くの方が痔の症状があると考えられます。しかし、多くの方はそれを自覚されていないのが実態です。以前、20~60代男女60,000人を対象に行った当社のスクリーニング調査では、痔の症状を有していた人の約7割が痔であることを自覚していませんでした。
――そんなに自覚している方が少ないのですね。痔になると「痛い」「出血する」というイメージがありますが、そんな状況であっても我慢しつつ「自分は痔ではない」と思っている人がそれだけいるということですか?
寺田:そうとは限りません。痔にはさまざまな症状があり、おっしゃるように痛みや出血を伴うものも当然ありますが、痛くない痔、血の出ない痔というものもあります。ゆえに自覚しない方も多いのかと思います。
――そうなのですね。そもそも痔について我々は知らないことが多いのかもしれません。痔とはどんな疾患なのでしょうか?
寺田:痔は大きく分けて「いぼ痔」「きれ痔」「痔ろう」の3種類があります。もっとも多いものが「いぼ痔」になり、「いぼ痔」は肛門内側にできる「内痔核(ないじかく)」と肛門外側にできる「外痔核(がいじかく)」に分けられます。
――その3種類は、それぞれ原因や症状が違うわけですよね?
寺田:はい。「いぼ痔」は、肛門にいぼ状の腫れができた状態です。主に排便時のいきみや便秘などによって、直腸肛門部の血液循環が悪くなり、はれ上がることで起こります。男女ともにもっとも多い痔となります。
「きれ痔」は、肛門の出口付近の皮膚が切れた状態で、強い痛みを伴い「さけ痔」とも呼ばれます。便秘による硬い便の通過で切れたり、下痢の場合も勢いよく出る下痢便が肛門を通過する際、その刺激で、肛門の出口付近が切れたりすることが原因になったりもします。
――便秘だけじゃなくて下痢でも痔になることがあるんですね…。
寺田:そうなんです。また、男性よりも女性のほうがなりやすいのが「きれ痔」の特徴です。
「痔ろう」は、直腸と肛門周囲の皮膚をつなぐトンネルができる痔のこと。肛門周囲に膿がたまる「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」が進み、慢性化すると「痔ろう」になります。こちらは女性よりも男性の方がなりやすいのが特徴です。