【専門医監修】 妊娠後期 症状・すごし方 |ミキハウス 妊娠・出産・子育てマガジン

産婦人科医 / 吉村泰典先生

妊娠28週(妊娠8か月)をすぎる頃には、ママのおなかは随分と大きく膨らんできます。
赤ちゃんももぞもぞ動いたり、回転したり、足や手でグーッとおなかを押してきたり、びっくりするくらい強くキックしたり、小刻みにしゃっくりをしたり……。日に日に成長を感じ、赤ちゃんに会える日が待ちきれませんね。

そんな妊娠後期について知っておきたいことをまとめました。監修は慶應義塾大学名誉教授で産婦人科医の吉村泰典先生です。

妊娠後期はいつからいつまで?

妊娠後期はいつからいつまで?

妊娠後期とは、妊娠28週以降の3か月間を指します。

ママのおなかはさらに大きくなり、おなかの張りを感じたり、日常生活が送りづらくなったり、からだ全体の疲れを感じやすくもなります。

基本的に出産予定日は妊娠40週0日。つまり、最終月経開始日を0週0日として40週0日=280日目が出産予定日とされています。ただしこれは前後することが当たり前で、出産予定日に生まれる確率は5%程度。

妊娠37週0日から妊娠41週6日までの期間に出産することを「正期産」と呼びます。ほとんどの赤ちゃんはこの時期に産まれてきます。妊娠37週を超えると、いつ産まれてもおかしくない状態とも言えます。


出産予定日をすぎても産まれる様子がないと少し不安になるかもしれませんが、心配しすぎることはありません。家の中で適度にからだを動かしながら、自然に陣痛を起こすような生活を心がけていればよいでしょう。

なお、妊娠42週をすぎての出産は、胎盤や羊水の機能が低下するなど母子ともに危険にさらされる可能性が高くなるため、妊娠41週目に入ると陣痛を人工的に誘発して分娩するのが一般的です。妊娠42週以降の分娩は、帝王切開分娩になるケースも多くなります。

 

妊娠後期の赤ちゃんの様子や大きさは?

妊娠後期の赤ちゃんの様子や大きさは?

妊娠後期は赤ちゃんのからだが一気に大きく成長するので、ママの体重も増えやすい時期です。赤ちゃんのために必要な栄養・エネルギーは当然摂取するべきですが、太りすぎてしまうと「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」などの妊娠合併症のリスクも高まりますので、体重の管理は最後まで怠らないようにしてくださいね。

妊娠8か月

【妊娠28週】 しゃっくり? 小刻みな胎動を感じるように。

体重は約1,200g(※1)。心臓の働きがほぼ整います。この時期になるとピクピクと小刻みな胎動を感じることがありますが、これは赤ちゃんの横隔膜が痙攣(けいれん)して起きる「しゃっくり」のようなもの。羊水から飛び出して空気に触れたときから始まる呼吸――その準備をしているんです。

【妊娠28週】 しゃっくり? 小刻みな胎動を感じるように。

【妊娠29週】 腸内でうんちがつくられます。

赤ちゃんのからだの主な部位や器官のほとんどがすでに形成されています。また胃や腸がほぼ完成し、胎便が作られるようになります。おなかにいる間、赤ちゃんは肛門括約筋(こうもんかつやくきん)をしっかり閉じて胎便が羊水にもれないようにしています。なお胎便は生まれた後に排泄されます。

【妊娠29週】 腸内でうんちがつくられます。

【妊娠30週】  頭位の姿勢になります。

体重は約1,500g(※1)にまで成長しています。この頃になると頭を下にした「頭位」の姿勢になります。おしりを下にした「骨盤位(さかご)」だった赤ちゃんも、動きが活発なこの時期に自分で回転して頭位になることが多いようです。

【妊娠30週】  頭位の姿勢になります。

【妊娠31週目】 ふっくらとしたからだつきに。

皮下脂肪がついてふっくらとしたからだつきになってきます。おなかを蹴る回数も増えるなど活動も活発化し、狭い子宮の中で何度も寝返りを打つように。また脳も急激に発達していき、体温調整ができるようにもなります。羊水に頼らなくても生きていけるように準備を整えているのです。

【妊娠31週目】 ふっくらとしたからだつきに。

 

妊娠9か月

【妊娠32週】 赤ちゃんの動きが鈍くなったように感じるかも。

体重は約1,800g(※1)ほどに。皮膚にも張りが出てきて、外見的には生後すぐの赤ちゃんの姿にかなり近づいてきます。赤ちゃんにとって子宮はだいぶ狭くなってきているため、赤ちゃんも動きづらくなっています。そのため動きが急に鈍くなったように感じるかもしれません。

【妊娠32週】 赤ちゃんの動きが鈍くなったように感じるかも。

【妊娠33週】 五感で感じられるようになります。

視覚、触感、聴覚、味覚、嗅覚など五感が機能するように。ママのおなかの外の世界の音が聞こえたり、明るい暗いの区別がつくようにもなります。また、ママの声を聴くと安心して心拍がゆっくりになったりもします。

【妊娠33週】 五感で感じられるようになります。

【妊娠34週】 肺機能が完成、外界でも自力で呼吸できるほどに。

体重約2,200g(※1)にまで成長。肺の機能が完成し、人間が呼吸をするために必要な肺サーファクタントという物質の分泌量が急増します。肺サーファクタント量が増えると、赤ちゃんは外界でスムーズに肺呼吸できるようになります。妊娠34週以降の出産であれば、赤ちゃんは人工呼吸器に頼らず、自力で呼吸できると言われています。

【妊娠34週】 肺機能が完成、外界でも自力で呼吸できるほどに。

【妊娠35週】 全身に生えていた産毛がなくなってきます。

妊娠9か月目の最終週の赤ちゃんは皮下脂肪や筋肉もついてきてからだつきも変化、発育の個人差も大きくなってきます。皮膚もピンク色ですべすべした状態に。赤ちゃんの全身を覆っていた産毛もなくなっていきます。

【妊娠35週】 全身に生えていた産毛がなくなってきます。

 

妊娠10か月

【妊娠36週】 手足の形がわかるほどおなかを押してくることも。

体重は約2,500g(※1)を越えてきます。2500gは成熟児ラインとされており、まさに生まれてくる準備が整ったことを意味します。ママのおなかが窮屈(きゅうくつ)になってくるので、からだを動かすと、手足やひじ、ひざの形が分かるほどママのおなかが盛り上がることもあります。

【妊娠36週】 手足の形がわかるほどおなかを押してくることも。

【妊娠37週】 いつ生まれてもOKです!

心臓や肺の機能ばかりでなく、体温調整機能も成熟、いつ生まれてもOKの状態です。
なお出産予定日2週間前の37週0日から2週間後の41週6日までを「正産期」といいます。つまり妊娠37週からいつ生まれても大丈夫なんです。37週0日だと少し早いけど、発育上の問題はありませんよ。

【妊娠37週】 いつ生まれてもOKです!

【妊娠38週】 エコーでへその緒がはっきり確認できます。

この頃になると、体重は3,000g前後(※1)まで成長してきます。腎臓や肝臓の機能も完成。全身に付着していた白いクリーム状の胎脂も落ちていきます。エコーでへその緒の状態もしっかり確認できます。「骨盤位(さかご)」の場合は、その姿勢が戻る可能性はほぼありません。

【妊娠38週】 エコーでへその緒がはっきり確認できます。

【妊娠39週】 からだを丸くして誕生のときを待っています。

身長も伸び、頭と身長の比率が4分の1=4頭身になっています。そして、皮下脂肪もどんどんついてよりふっくらした顔つきに。胎盤の方に下がっていき、あごを胸に、ひざをおなかに近づけて、からだを丸くして誕生のときを待っています。

【妊娠39週】 からだを丸くして誕生のときを待っています。

 

妊娠後期のからだの変化、症状とは?

妊娠後期のからだの変化、症状とは?

ここでは妊娠後期のプレママのからだの変化と症状についてまとめます。


下半身の静脈がうっ滞して、膝の裏や太もも、ふくらはぎなどに血管が浮かび上がる「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」が見られる場合は、足を高くして休む、弾性靴下を履く、足を温めるなどの対策が有効です。

この他、妊娠後期には乳腺が発達して乳房も膨らみ、授乳の準備も整ってきます。乳頭陥没などで赤ちゃんが吸いにくそうな場合は、妊娠後期に入ってから乳頭マッサージを行い、形を整えておきましょう。乳頭への刺激は子宮収縮を引き起こすことがあるので、必ず医師や助産師さんの指導を受けて行いましょう。

また妊娠32週頃になると、みぞおちあたりまで子宮がひろがるため、胃が圧迫され、吐き気や胸やけといった症状が出る場合も。食事が進まなくなったりすることもあるので、その場合は一度に食べずに、何回かに分けて少しずつ食事をとるなどして、必要なエネルギー・栄養素を摂取してください。

さらにちょっとした運動で、動悸や息切れが激しくなる場合もあります。その他に足のつけ根がつる、頻尿になるなど、不快な症状も重なったりすることも。おなかの膨らみに伴い、いろいろとからだも不自由になってくるので、まわりのサポートに頼れるだけ頼ってくださいね。

 

そろそろ産まれる 3つの「出産のサイン」

そろそろ産まれる 3つの「出産のサイン」

いよいよ臨月です。臨月とは、出産予定日前の1か月の期間(妊娠36週0日~39週6日)のことで、「いつ陣痛がきてもおかしくない時期」とされています。出産が近づいていくると、おなかが頻繁に張る、食欲が出る、腰が痛む、股関節が痛む、尿がちかくなる、おりものが増える、胎動が少なくなる、といった症状が表れます。

そして、“その時”が近づくと、赤ちゃんはプレママに3つのサインを送ります。


なお陣痛の前に、「前駆陣痛」という陣痛に非常に似た子宮収縮が起こる人もいます(前駆陣痛のない人もいます)。前駆陣痛の場合、間隔や持続時間が不規則で、また陣痛のようにどんどん強まることはありません。陣痛来たかも! と思ってたら痛みが遠のいていった、というケースは前駆陣痛です。

おしるし、陣痛、破水。これらは「お産のはじまり」と言ってもいいので、いずれかの症状が始まったら、入院の目安です。落ち着いてかかりつけの医師や助産師に連絡をとり、指示を受けてください。

 

妊娠後期に気をつけるべきこと

家事はほどほどに

家事はほどほどに

おなかがさらに大きくなり、足元が見えにくくなります。お風呂場や階段など滑りやすい(転びやすい)場所でのお掃除などにはくれぐれくも注意が必要です。適度な運動は必要で、家事は適度な運動にもなりますが、転倒リスクのある作業はパートナーや家族などに任せましょう。

妊娠10か月以降は食べすぎにも注意

妊娠10か月以降は食べすぎにも注意

妊娠9か月ごろは子宮が胃を圧迫するため、食欲が減退することもありますが、妊娠10か月をすぎたあたりから赤ちゃんが少し下がってくるので、胃への圧迫もおさまり食欲が出てきます。このときに一気に食べてしまうと体重の増えすぎてしまいます。赤ちゃんの成長のために必要な栄養は摂取するとして、適量を食べるようにしましょう。

気分転換はとっても大切です

気分転換はとっても大切です

妊娠後期はからだの変化、またお産への不安により熟睡できないことが多くなることも珍しいことではありません。夜眠れなかったとしても、昼寝をしたり、日中も頻繁に横になるなどしてくださいね。出産は誰もが不安になるものです。決してひとりで悩んだりせず、パートナーや家族、友人・知人、先輩ママなどに相談するなど気分転換してください。

こまめにトイレに行きましょう

こまめにトイレに行きましょう

頻尿となります。おしっこを我慢すると膀胱炎 (ぼうこうえん)になることもあるため、トイレの回数を増やしましょう。妊娠後期は、便秘や痔も悩みの種に…。便通をよくするため食物繊維の多い野菜、果物、海藻や、乳製品などを積極的に摂りましょう。

おりものにも要注目!

おりものにも要注目!

おりものが多くなります。清潔にするように心がけつつ、においや色がいつもと違ったり、かゆみを伴う場合は、医療機関を受診してください。

正しい姿勢を心がけて

正しい姿勢を心がけて

おなかが大きくなるに伴い、姿勢が悪くなりがちです。妊娠中の腰痛に悩むプレママは少なくありません。悪化しないようにするには、適度な運動、ストレッチ、そしてなにより正しい姿勢を意識することです。

入院準備も少し早めに

入院準備も少し早めに

出産予定日が近くなったら、入院用品は1か所にまとめて、パートナーや家族にも分かるように準備をしておきましょう。予定日よりはやく産気づくことも十分にあり得るので、妊娠9か月(妊娠32週)を入ったあたりから準備をするのがいいのではないでしょうか。

産後の準備もやっておくと安心です

産後の準備もやっておくと安心です

ママは出産後1か月~2か月の間は買い物になかなか行けません。入院後からすぐ必要となる「出産準備リスト」は要チェックです! すぐに使う物を中心に最低限そろえておきましょう。


出産まであと少し。ちゃんと乗り越えられるんだろうか、と不安に感じられる方も多いでしょう。でも、わが子との対面はすべてを忘れさせてくれるもの。その瞬間の幸せ、そこから始まる、さらなる喜び。本当に素晴らしい体験です。ママになるあなたにしか訪れないその瞬間を、楽しみにしてください。そしてそれまで体調管理に気をつけて、元気にすごしてくださいね。

<参考資料>
【監修】吉村泰典(よしむら・やすのり)
慶應義塾大学名誉教授 産婦人科医

1949年生まれ。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。これまで2000人以上の不妊症、3000人以上の分娩など、数多くの患者の治療にあたる一方、第2次~第4次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。「一般社団法人 吉村やすのり 生命の環境研究所」を主宰。

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