――妊娠中に痔が発覚したら、どのようにすればいいのでしょうか?
寺田:寺田 やはり産婦人科の先生に相談されるのがいいかと思います。また軽い症状であれば、市販薬を使用するのもいいでしょう。痔の薬には、肛門内側や外側の患部に直接使用する「外用薬」と、飲む「内服薬」がありますが、外用薬を使用することが多いかと思います。
痔の外用薬には、肛門に入れる「坐剤」、塗るタイプの「軟膏」、軟膏を肛門内に注入することができる2wayタイプの「注入軟膏」があります。
――妊婦さんの場合、使用する薬の成分を気にされる方もいるのかなと思うのですが、市販薬を選ぶ時に注意すべきことはありますでしょうか?
寺田:痔の外用薬の成分で言うと、妊婦さんが気にされるのはステロイド成分ではないかと思います。使用に不安がある方は、ステロイド成分が配合されていないものを選ばれるのがよろしいかと思います。
もっとも、仮に妊婦さんがステロイド成分配合の痔の薬を使用しても、塗り薬で短期間であれば通常問題はないと言われています。ステロイド成分配合の薬は急性期に使うことがあり、必要性があれば産婦人科でもステロイド成分が配合されている外用薬を出されることもあります。
大切なのは、用法・用量を守って使用すること。ステロイドの長期使用を控えるのは、妊婦さんに限ったことではありません。市販薬を使用する際は、添付文書をきちんと読み、適切に使用していただきたいです。
なお当社商品では、「ボラギノール®M軟膏」はステロイド成分を配合しておらず、妊娠中もご使用いただけます。その他、ステロイド成分を配合している「ボラギノール®A」シリーズ、また、「ボラギノール®M坐剤」については、ステロイド成分は配合しておりませんが、肛門内の粘膜部分に作用するため、ご使用前に医師、薬剤師または登録販売者にご相談いただくようお願いしております。
――単純に「ステロイド配合=妊婦にNG」というわけではない、ということですね。
寺田:そうですね。何よりも痔の市販薬を選ぶときに一番注意していただきたいのは、痔の発生箇所や種類に応じて適切な薬の形を選ぶこと。自分では見えない部分なので判断が難しいとは思いますが、市販薬を使用しても良くならない場合、間違った使い方をされていることも多々あります。そういった場合には、専門医の受診をおすすめします。
――よく理解できました。痔は疾患を自覚されている方が少なく、軽い症状で放置されている方がほとんどという現実。また痔はどこか中年以降の男性がなるもの、というイメージを持たれている方も多いけれど、痔は性別や年齢によらず、誰でもなりうる疾患だということ。さらに、もともと痔のあった女性が気づかないまま放置して、妊娠・出産を機に悪化することも珍しくないこと…等々、いろいろ学べました。とにかくおしりに違和感を感じたら、早めに医師に相談するのがよさそうですね。
いかがでしたでしょうか。「プレママ&ママの『痔』 原因と予防」後編記事は、日常生活に潜む痔のリスクについてお聞きし、痔にならないためにできることを学びたいと思います!
- 寺田晴奈さん
- 天藤製薬株式会社 マーケティング部 ブランドコミュニケーショングループ所属。大学時代は薬学部にて免疫学・ウイルス学を専攻。天藤製薬に入社後はオウンドメディアにおける痔や痔の予防に関する記事コンテンツ、ドクターインタビュー記事、TVCM・Web・新聞など幅広い媒体における広告物の制作を担当。
<参考>
天藤製薬 HP
「痔かもしれないとお悩みのあなたへ痔って一体どんなもの!?」
「男と女の痔の違い!? こんな人が痔になりやすい」
- ※1Gojnic, M. et al.: Clinical Experimental Obstetrics and Gynecology, 32: 183, 2005.(海外データ)
- ※2Poskus, T. et al: BJOG, 13: 1666, 2014.(海外データ)
- ※3松田直樹: 外科治療, 89: 630, 2003.