――妊娠中期までは40%が逆子で、そこから徐々に自然と「頭位」になっていくものなのですね。ちなみに、5%の赤ちゃんが最後まで逆子のままというのはどうしてなのですか?
吉村先生:その原因は分かっていません。ただ筋腫などがあって子宮が変形していたりとか、前置胎盤、多胎妊娠、胎児の発育遅延、水頭症などがあると、逆子のリスクが高くなると言われています。
――原因にはなりうるが、こうした疾患があってもイコール逆子になる、というわけではないわけですよね?
吉村先生:そのとおりです。
――ちなみに逆子を治すために出産までに妊婦さんができることはありますでしょうか?
吉村先生:一番のおすすめだと言われているのは妊婦体操です。うつ伏せになって胸と膝を近づけ、お尻を上げる胸膝位という姿勢をとって赤ちゃんの向きを変えようという方法です。ただ、効果について科学的にエビデンスはないし、結構つらい体勢をしなければいけないので妊婦さんの負担も大きい。効果があるとおっしゃる方々も多くいますが、僕は医師としてそこまでおすすめできるものではないと思っています。
――ちなみに外科的な施術で治すこともできると聞いたことがあります。
吉村先生:外回転術ですね。妊婦さんのおなかの中の赤ちゃんを持ち上げて回すというものです。通常、妊娠36週すぎに行います。それより前だと赤ちゃんが動いてまた逆子になってしまう可能性もありますので。
こちらは有効な手段であると言われていますが、大きな力を加えて赤ちゃんの姿勢を変えてしまうということですから、ごくまれに、早産を誘発したり、胎盤早期剥離が起きるリスクが伴うことも知っておいたほうがいいでしょう。それでも希望するなら、万が一の時にすぐに帝王切開ができる体制が整っている病院でやってもらった方がいいでしょうね。