妊娠36週で95%は治るって本当?意外と知らない「逆子(さかご)」の話

産婦人科医 / 吉村泰典先生

妊婦の不安要素のひとつ「逆子(さかご)」。妊娠後期までおなかの赤ちゃんが逆子のままだと不安になりますよね。でも、実は今の日本で出産するのであれば逆子を心配する必要はなさそうです。慶應義塾大学名誉教授で産婦人科医の吉村先生が解説してくださいました。

 

妊娠中期まで、40%の赤ちゃんが「逆子」です

――今回のテーマは「逆子(さかご)」です。出産を控えているプレママにとって非常に気になることことだと思いますが、ずばり逆子とはどういう状態を言うのでしょう。

吉村先生:基本的に赤ちゃんは、子宮の中で頭を下にした姿勢で成長する子の方が多い。でも時には頭が上になっている赤ちゃんもいて、それを逆子と言います。医学的には頭を下にしている状態を「頭位」、頭が上になっていると「骨盤位」と呼ばれています。

逆子のイラスト

――「頭位」で育つのが一般的とのことですが、妊娠中にエコーで見ると「骨盤位」、つまり逆子の状態になっていることもよくあると聞きますが。

吉村先生:そうですね。妊娠中期ぐらいまでは赤ちゃんは子宮の中で自由に体を回したり、姿勢を変えたりしますから、超音波で見るとおよそ40%の赤ちゃんが逆子なんです。

――40%…妊娠中期までとはいえ思ったより多いですね。

吉村先生:ただ27、28週頃にからだが1kgを超えるほど大きくなってくると、出産に向けて頭位に固定される赤ちゃんが多くなります。30週で頭位になっているのはおよそ85%ですが、34週ごろになると90%以上になり、予定日間近の36週になると約95%という具合にほとんどの赤ちゃんが分娩前までに頭位になってくるんです。

――なるほど。中期までは40%が逆子(さかご)で、そこから徐々に自然と「頭位」になっていくものなのですね。ちなみに、5%の赤ちゃんが逆子のままというのはどうしてなのですか?

吉村先生:その原因は分かっていません。ただ筋腫などがあって子宮が変形していたりとか、前置胎盤、多胎妊娠、胎児の発育遅延、水頭症などがあると、逆子のリスクが高くなると言われています。

――原因にはなりうるが、こうした疾患があってもイコール逆子になる、というわけではないと。ちなみに逆子を治すために出産までにプレママができることはありますでしょうか?

吉村先生:一番のオススメだと言われているのは妊婦体操ですね。うつ伏せになって胸と膝を近づけ、お尻を上げる胸膝位という姿勢をとって赤ちゃんの向きを変えようという方法です。ただ、効果についての科学的にエビデンスはないし、結構つらい体勢をしなければいけないので妊婦さんの負担も大きい。効果があるとおっしゃる方々も多くいますが、僕は医師としてそこまでオススメできるものではないと思っています。

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