“アクティブ妊婦”は危険? 
吉村先生に妊娠期のアクティビティの境界線を聞きました! 

お腹に赤ちゃんがいて、体の変化は感じるけれど、妊娠中も毎日の生活を楽しみたい、今だからできることをやっておきたいと思うプレママは多いでしょう。

最近は、“アクティブ妊婦”などという呼び名もあるようですが、ショッピングやその他の外出、時には旅行など、思うままに行動してもいいものなのでしょうか? 適度な運動はしたほうがいいと言われる妊婦さんですが、妊娠初期、中期、後期のそれぞれの時期で気をつけたいことは何でしょうか?

慶應義塾大学病院名誉教授で、長年産婦人科医として活躍している吉村泰典医師にお話を聞きました。

 

初期、中期、後期のアクティビティに関する基本の考え方

まずは、教えていただいた、妊娠時期による注意点をまとめました。

アクティブ妊婦

順調に妊婦生活を送っているプレママも、お腹の赤ちゃんが大きくなるにつれ、体は確実に変化しています。中期以後は、運動不足になるよりも適度な運動をしたほうがよいですが、何事もほどほどにすることを心がけて、出産の日に臨むことが大事なのですね。

 

私はアクティブすぎる? 経験者の4つのエピソードと疑問

では、どこからがリスクを伴う、過度な活動になってしまうのでしょうか? 現在妊娠中のプレママや出産後の元アクティブ妊婦のみなさんのアクティビティの経験談について、吉村先生はこう解説します。

1:「安定期の旅行は大丈夫? 国内ならいい?」/Aさん(35歳、現在妊娠9か月)

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「妊娠初期はおとなしくしていたのですが、安定期に入ってからは旅行に行きたいと思い、思い切って沖縄へ。海外は不安だけど、国内旅行だったら大丈夫かなと思って。妊娠6か月の時でしたが、子どもが産まれると夫婦ふたりで旅行に行く機会もなかなか持てないし、妊娠中に思い出も作りたかったので……」

35歳で初めての出産を控えているというAさんですが、今年の夏の終わり、妊娠6か月のときにご主人とふたりで沖縄に旅行したといいます。旅行中はさほどアクティブに動かず、リゾートホテルでのんびりと過ごされたとのこと。ちなみにその旅行があまりに楽しかったので、翌月も同じ沖縄に旅行したとか…。とくに体調に変化もなく予後も順調だそうですが、吉村先生、Aさんのアクティブ経験はいかがでしょうか?

<吉村先生の答え>
旅行だけならやめたほうがいい。交通手段の選び方も気をつけてほしい

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「お仕事なら仕方がないと思いますが、旅行だけならやめたほうがいいというのが僕の意見ですね。たしかに中期は安定期ですが、まずは医師に胎盤の位置と子宮の入り口が開いていないことを超音波で確認してもらうことが大切です。胎盤の位置が下がっていないこと、子宮頸(けい)管の長さが基準より短くないことを見てもらう必要があります。

沖縄なら飛行機ですよね。飛行機そのものが悪いというわけではありませんが、フライト時間が長い場所ヘは注意が必要です。そういう意味では海外旅行はおすすめしません。海外の場合はフライトが7、8時間、ヨーロッパなどでしたら10時間以上ということもありますよね。その間、降りることはできませんから、何かあった時に長い時間処置ができないということになってしまいます。

飛行機を降りた後も、言葉のハンデもあるし、病院を見つけるだけでも大変でしょう。これが日本国内なら、飛行機で緊急事態が起きても、1~2時間で救急搬送でき、救急外来で受け入れてもらえるでしょうが、海外ではそうはいきませんよね。

仕事以外でも、帰省や突然のお葬式などで遠方に出かけなくてはならないことがあると思います。そんなとき、私はいちばんいいのは電車ですよとお答えしています。その次が飛行機。いちばんおすすめしないのは、車です。シートベルトは必須ですが、事故率は一番高いですし、踏ん張ったりする姿勢が妊婦さんにはよくありません。渋滞に巻き込まれて長時間乗ることもよくないです。もちろん、普段の生活で使わざるをえない方は仕方がないですが、そうでなければ、運転することも乗ることも避けるに越したことはないと思います。

国内旅行は絶対ダメとはいいませんが、おすすめはしない。とはいえ、みなさん行かれるでしょうね」

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