育児に積極的に関わっていく男性を「イクメン」と呼びますが、あなたのまわりにイクメンは多いでしょうか? パパ、プレパパの中には関わっていきたいという気持ちはあっても、「どうやったらいいのかわからない」「仕事が忙しくて時間がとれそうにない」という人もいるかもしれません。また、「うちのダンナは無理」とあきらめている女性もいるのでは? “元祖イクメン”と“現役イクメン”のお二人にお話をお聞きし、誰でもうまくいくイクメンになるためのちょっとしたコツを教えていただきました。
【元祖イクメン代表】
吉村泰典さん
1949年生まれ。産婦人科医、慶應義塾大学医学部教授。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。第2次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。長女が1歳のときからイクメンに。医師の妻とは32年間別居婚。
【現役イクメン代表】
伊集院弘和さん
1976年生まれ。ミキハウス社長室広報部勤務。2000年、ミキハウスに入社。入社2年目に広報部に異動し、主にミキハウスが支援するスポーツ選手たちのマネジメント業務と全ミキハウスブランドのプレスを担当している。同社の男性社員として初めて育児休暇を取得。妻、5歳の長女、3歳の長男との4人暮らし。趣味はテニス、サーフィン。
吉村:僕は「元祖イクメン」と今では言っているけれど、当時はそうせざるをえなくて育児をするようになったんです。妻とは学生結婚で、職業は二人とも同じ医師。子どもが生まれてから1歳になるまでは僕の両親が面倒をみていましたが、それから3人での生活になって、僕の育児が始まりました。
最初はミルクをつくるのも大変だったし、湯冷ましをどうやって飲ませるかもひと苦労。熱が出ると保育園には行かせられないので、入院させていましたね。見てくれる人が近くにいなかったから仕方なく。
伊集院:今まさに「イクメン中」ですが、保育園へ毎朝二人の子どもを送っています。妻も正社員だったので、出産を機にやめてしまうのはもったいないと思い、協力して育児をすることに。子育ては当然二人とも初めてなので、まずはやってみようかと。1年の産休、育休の後、妻が職場に復帰する最初の2週間に育休を僕が取って、そこからです。家事も一緒にやるようになりました。
子どもが病気のとき、僕たちは交代で休みますね。あとは、午前中は妻が会社に出て、僕は午後から出るとか。病気したときがいちばん大変ですね。
吉村:僕の時代はね、育児休暇をとる時代じゃなかった。だから、仕事と育児をどうやったら完璧に両立できるかを考えていました。今思えば、子どもには十分なことができていなかったかもしれないね。子どもを育てるということよりも、炊事、洗濯、掃除が最優先なんです。これがメインのテーマで、これをやらないと子育ても始まらない。
妻が仕事をやめるという選択もなかったわけじゃないと思いますよ。けれど、彼女の能力は仕事で発揮されると思ったんです。仕事を続けることがいちばん社会貢献につながると。彼女が家にいてくれれば楽だなと思ったことも正直ありましたが、彼女の特性を考えたら、僕らはこのやり方がいちばんよかった。
夜の飲み会をランチ会に変更…イクメンのコミュニケーション術
伊集院:先生と僕とでは状況が違いますね。広報の仕事をしているので、つき合いで飲みに行ったりすることも多かったのですが、子どもができてからは夜の飲み会に参加するのをやめたんです。それからは“飲みニュケーション”ではなく、ランチミーティングという形にして、取引先の人や職場の人とコミュニケーションをとるようにしています。夜遅くまでだらだら飲むこともなく、そこで出た提案などを午後にすぐ実行できるので、時間的にも金銭的にも仕事にとてもプラスになりました。
吉村:そう思うこと自体がえらいね。今の時代でも難しいと思うよ。なかなかできない。
伊集院:休日はなるべく二人の子どもを連れ出して遊びに出かけるようにしています。妻に一人の時間をつくってあげようと思って。
吉村:伊集院さんは新しいイクメンだね、理想ですよ。今僕がイクメンだったら、こういうふうにしたいですね。僕は女性から独立しようとばかり思っていましたから。育児は男が自立するためにはいいもの。男はふだん女性をあてにしていて頼っているけれど、育児をすると主体的に自立できるんです。