少子化が進む日本。その理由の一つに、「子どもを育てる環境が整っていない」ことを挙げる人も多いでしょう。しかし、日本人だけの視点では客観的に評価できない部分があるかもしれません。そこで、今回は日本在住のニュージーランド、スウェーデン、ロシア、中国出身のママたちに、母国の子育て支援の状況や、実際に日本で子どもを産み、育てるなかで感じたことをうかがいました。
座談会の終盤となるpart3では、それぞれの国の保育園、幼稚園事情とともに、グローバルな視点をもった4人のママが感じる「日本の子育てのいいところ」について話を聞きました。
part1、part2も合わせてご覧ください!
スウェーデンの保育園は疲れる!?
――みなさんの国の保育園・幼稚園事情について教えてください。
ウルリカさん:日本では、生後8週間から保育園に入れて、幼稚園もあるのに対し、スウェーデンは1歳から6歳まで入れる保育園しかありません。私の一番下の娘は、生後3か月から保育園に入れたのですが、スウェーデンの友達には「かわいそう!」と言われました。でも、私はそうは思いません。日本の保育園の方が、子ども1人あたりの先生の数が多くて、気配りが行き届いています。また、遊びやお昼寝などカリキュラムがバランスよく組まれています。スウェーデンの保育園に通う子どもたちは、すごく疲れて帰ってくることがあるから、あまり長い時間、子どもを預けておきたくないという声も聞きます。私はずっと働いてきたということもあり、日本の保育園にはすごく助けられました。
エレナさん:ロシアにも保育園しかありませんが、運動も勉強もお昼寝もしっかりあって、日本と似ています。ただ、ロシアでは保育園の入園は1歳半からという部分が違いますね。その代わりに安く、質の高いベビーシッターを頼むことができます。あとは、日本の先生たちの方が優しいかな(笑)。
蘭華さん:中国には幼稚園しかありませんが、日本は預かってくれる時間が短いと感じます。中国では、小学6年生までは子どもは皆、基本的にお昼を自宅に戻って食べます。幼稚園でも途中、お昼を食べに戻って、また18時頃まで幼稚園にいます。ただ、エレナさんもおっしゃったように、保育園でも幼稚園でも日本の先生はすごく優しいと感じますね。
ジェシカさん:ニュージーランドには、保育園と3歳から入れる幼稚園があります。ただ、保育園に関して言うと、先ほどお話しした週20時間分の保育料手当を使っても、国民の保育費の負担は高いと感じます。日本は年収によって保育料を明確に分けていたりしていて、比較的安いと感じますね。
ウルリカさん:ほかに日本の子育て支援でいいなと思うのは、一般財団法人「女性労働協会」が、地域の子育てと仕事や介護の両立を応援するために組織した「ファミリーサポートセンター」という取り組み。1時間700円ほどで子どもを預かってもらったり、子どもの送り迎えを手伝ってもらえたりします。日本は、国全体としての制度は北欧より遅れているかもしれませんが、質の高い保育園やこうした組織がそれをフォローしているのかもしれません。