佐藤真海さん×吉村やすのり先生 出産直前対談!(前編) 「妊娠中も運動を続けたことで、体重は目標範囲内に収まりそう」

佐藤真海さん×吉村やすのり先生 
出産直前対談!(前編) 
「妊娠中も運動を続けたことで、体重は目標範囲内に収まりそう」

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2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致委員会プレゼンターとして、世界中の人々の心を動かした女子走り幅跳び選手の佐藤真海さん。昨年9月に結婚され、間もなく第1子が産まれます。「もう、明日にでも産んでいい状態」という佐藤さんと、産婦人科医の吉村先生の対談が急きょ実現。出産を控えた佐藤さんが知りたいこと、また子どもを産んだ直後のことで聞きたいことなどを吉村先生にぶつけていただきました!

(対談実施日:2015年4月22日)

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吉村:妊娠、おめでとうございます。予定日はいつですか? 

佐藤:5月10日です。もう間もなくです。

吉村:どういう産院で産むのですか? 

佐藤:病院よりもアットホームな雰囲気がよかったので、助産院のようなクリニックにしました。分娩台がないフリースタイルでの出産なんです。自分がもっともふんばりやすい体勢で出産に臨めますし、赤ちゃんが産まれてくる力を感じながら自然体でその時を迎えられるのがいいなと。また、マタニティヨガやビクスなど、産前産後のプログラムも充実しているのも魅力で。検診も助産師さんが丁寧に時間を取ってくださるので、何でも聞きやすい雰囲気です。私のお腹の中の赤ちゃん、推定体重もずっと大きめで。私が食べすぎて、大きくなりすぎちゃったかなと(笑)。

吉村:いやいや、それは関係ないから心配しなくて大丈夫です。3,000gちょっとですよね?

佐藤:臨月に入ってすぐで推定3,000gでした。

吉村:ちょうどいいくらいじゃないですか。予定日までに3,200gぐらいになるかな。佐藤さんご自身はどれくらいで産まれました?

佐藤:私は3,100gでした。

吉村:ちょうどいいですね。僕の娘は3,500gありましたから。妻のお腹から自分で取り上げました。今、考えれば、妻はよく許したなと。そのとき私は医者になって3年目。娘は4月に産まれたから2年しか経験がない。そんな初心者にはふつうだったら任せませんよね。

佐藤:そんなことないですよ! 旦那さんが産科医だったら、私も取り上げてもらいたいと思います。吉村先生は、今でも現場に出ていらっしゃるのですか?

吉村:3年前まではね。今はもう管理職になったので現場には立ちませんが、これまでに5,000人近い赤ちゃんを取り上げてきました。

佐藤:5,000人! でも5,000通りの生まれ方があるわけですよね?

吉村:そう。毎回違います。当然、ご主人は立ち会いますか? 絶対立ち会ったほうがいいですよ。お産直後の女性は本当に美しいですから。

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佐藤:私は、醜態をさらしてしまうのではないかと不安です。

吉村:醜態をさらしたって、何したっていいんです。涙を流したっていいし、叫んだっていい。髪の毛を振り乱してもいい。だけど、美しいんです。産み終えたばかりの赤ちゃんを見るときの佐藤さんの顔を見て、ご主人がいちばんそう思うはず。

佐藤:夫は、そのときは赤ちゃんに目がいっていると思います(笑)。

吉村:お産は女性にしかできないですからね。僕は生まれ変わってもう一度医者になるとしたら、やっぱり産婦人科医になると思います。お産には感動があるし、人によってすべてパターンが違いますから。涙を流し、痛みに耐えながらの人もいれば、ギャーギャー大騒ぎする人もいるし、まったく痛がらないでポン!と産んでしまう人もいる。

佐藤:痛がらない人もいるんですか? 無痛分娩という選択肢を選ぶ方もいらっしゃいますよね。

吉村:痛がらないでじっと我慢する人もいますね。一方、痛みに対して極端に弱い人もいるから無痛分娩を選ぶ人もいる。この痛みは、男には耐えられない痛みです。男だったら死んでしまうと思います。我慢できない。でも、不快な痛みではないんですね。たとえば、病気の痛みは持続的に続くけど、お産は病気じゃないから痛みがガーッと上がってくるけど、産まれた瞬間にサーと引いて、ものすごくいい感じに痛みを忘れてしまう。恍惚感というかね。それがあるから耐えられるし、もし、あの痛みだけを思い出したら、2人目は絶対に産まなくなる(笑)。

ところで、今33歳ですよね。僕はもう1人、できればもう2人産んでほしいと思っているのですがいかがですか?

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佐藤:幸いつわりも軽くて、けっこうアクティブに生活できたので、確かにこれなら大丈夫かなぁと。もし、これでしんどかったら考えると思うのですが。

吉村:でも、おどすわけではないですが、妊娠・出産は毎回違いますからね。1回目が楽でも、2回目が楽とは限らないし、1回目がつらかったからといって、2回目はすごく楽なこともある。いろいろなケースがありますから。でも、産むなら早いほうがいいから、33歳で第1子をお産みになるのはいいタイミングです。今の出産平均年齢がだいたい31歳。平均初婚年齢が29歳。やはり35歳過ぎると妊娠もしにくくなるし、40歳以上になったら10人に1人しか産まれません。45歳になると100人に1人になってしまいます。体外受精してもそれくらいの確率ですからね。

佐藤:私は結婚してすぐに妊娠がわかったので、結婚生活と同時に妊婦になった感じでした。

吉村:妊娠3か月くらいまでは、運動はセーブしたのですか? 

佐藤:ちょうど3か月くらいが、つわりがあった時期で、午前中起きてから、お昼くらいまでがつらくて。午後から軽く汗を流す程度に動いたほうが、私の場合はつわりが軽くなりました。

吉村:どういう運動をしていましたか?

佐藤:ゆっくりのジョギングやエアロバイクをこいだりなどです。

吉村:それが一番いいですね。走り幅跳びはやめたほうがいいけど(笑)。

佐藤:妊娠してからは跳んでないので大丈夫です(笑)。

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吉村:体重はどのくらい増えましたか?

佐藤:いま、8.5kg増えました。

吉村:ちょうどいいくらいじゃないかなぁ。

佐藤:そうですか?

吉村:もう少し増えてもいいとは思うのですが、今の若い女性はなかなか体重が増えない。増やさないように努力しているということもありますが、5~6kgしか増えない人が多いですね。

佐藤:私の場合、それは無理ですね。よく食べるので。

吉村:普通は10~11kg増えるのがベストだと言われています。

佐藤:出産直前までに、またぐっと増えるのかなぁと。できれば10kg以内に収めたいと思っていました。

吉村:今、産まれてくる赤ちゃんがどんどん小さくなっているんですね。そもそもお母さんが5kgぐらいしか太らないでしょ? 

佐藤:羊水や胎盤、子宮、血液などの重さを考えると、5kgしか太らないというのは……。

吉村:今から20年前と比べると200gくらい赤ちゃんの体重が軽い。出生時の赤ちゃんの平均体重が約2800gくらいです。当然未熟児の割合が多くなります。「成人病胎児期起源説」のBarker(バーカー)仮説って聞いたことありますか? Barkerとはイギリスの大学の教授の名前なのですが。

佐藤:いえ、ないです。

吉村:赤ちゃんのときに小さいと、生活習慣病になりやすいというデータがあるんです。低出生体重児は、栄養のある環境にいると肥満になり、糖尿病や高血圧になりやすくなると言われています。妊娠中に栄養を摂取できないと、胎児期から飢餓状態に備えて栄養をためる遺伝子が発現し、生後の過剰摂取につながるんですね。そういう意味では、適度に運動して、適度に体重を増やしたほうがいい。僕が医者になったころは「太るな、太るな」と言いました。「塩分を控えて、太らないように」と30年前くらいは、いつもそういうことを言っていました。でも、今の妊婦さんには「できる限りたくさん食べて、ある程度体重を増やしてくださいね」とお願いするんです。現代の女性はどうしてもやせ願望が強いですから。

佐藤:そもそも10kg太るということが、人生の中でそうそうあることではないじゃないですか。体重管理がストレスになる人もいると聞きますし、精神的にどうしても不安定になってしまいがちですよね。

吉村:だいたい標準体重だと11kg増加するのがふつうです。でも、今はそれだけ増える人はほとんどいません。ほかにも、何か心配なことはありませんか。血圧が高くなったりとか?

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佐藤:妊娠がわかってから今日まで、本当に順調にきました。妊娠後期の検査結果も出て、それも正常値でした。

吉村:それはやはりね、30代の前半だからですね。これが40歳になってくると、妊娠すると血圧も高くなるし、手足のむくみも出てくる。タンパク尿も出るし。だから30代の前半で産むのはちょうどいいのです。

佐藤:私の場合、ストレスなく食べて、適度に動いて、臨月を迎えることができました。妊娠中も運動を続けられたので体重増も目標範囲内に収まりそうですし、もりもり食べているので妊娠後期に起こりがちな貧血にもならなくてすみました。何よりも、マタニティライフにストレスを感じていないのが幸せです。

(後編に続く)

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【プロフィール】
佐藤真海(さとう・まみ)

1982年、宮城県気仙沼市生まれ。2000年、早稲田大学商学部入学。在学中に骨肉腫を発症し、義足となる。リハビリとともに陸上競技を始める。2004年、早稲田大学商学部卒業後、サントリーに入社。2004年アテネパラリンピックから、2008年北京、2012年ロンドンと3大会連続でパラリンピックに走り幅跳びの選手として出場。2013年9月、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会プレゼンターを務めた。

サントリーホールディングス株式会社では、CSR推進部で次世代育成プログラムの運営に取り組むほか、パラリンピックのすばらしさを広めるために講演やイベント出演もおこなっている。

 

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