なかまほいくの特色として、“同じ地域に住む親子によるサークル活動”ということが挙げられます。同じ地域だと、どこに子どもを遊ばせるスペースがあるか、どこの病院が使いやすいか、どこにどんな子育て支援サービスがあるのかなど情報交換もできるし、なかまほいく終了後も幼稚園や小学校に上がる時に一緒になるなど、自然と繋がっていくことができます。
「なかまほいくのプログラムは10回で終了しますが、みなさん自発的にまた同じメンバーで集まったりしていますね。私たちはそれを“アフター”と呼んでいます。もちろん、気があったお母さんたちは個人的に連絡先を交換し、同じ地域に住むママ友として付き合っていったりもしています」(晴山さん)
なかまほいくが終了した後も、ママ同士の関係性が継続しやすい点について、代表理事を務める坂本純子さんはこう分析します。
「なかまほいくでは、親子一緒にみんなと過ごす時間に加えて、子どもを預けてお母さんたちだけで過ごす時間があります。子どもが一緒にいるとどうしても会話は子ども中心になってしまいますが、お母さんたちだけだと◯◯ちゃんのお母さんいう立場を離れてみんなご本人のことを話すようになるんですね。ある一定の期間、毎週同じメンバーで顔を合わせるので、自然と一歩踏み込んだ会話が生まれ、結果、短期間にも関わらず距離感がぐっと近くなるのだと思います」
確かに、普段子どもと一緒だとなかなかママたちが子ども以外のテーマでじっくり話をする機会もありません。自分の時間を持てることが、ママにとってどれだけ貴重なことなのかがわかります。
もうひとつ、なかまほいくの特色としては、地域に同じように子育てをする知り合いや友達ができるということに加え、ママが子育て全般に自信を持つ点も挙げられます。
「最初はよその子どもを預かることに消極的だったお母さんたちですが、なかまほいくで子どもを預かる時の大切なポイントを学び、体験することで、本人の子育てに対する自信も育ちます。一度におよそ12組の、年齢はもちろんそれぞれ性格や成長度合いも違う子どもたちと接する機会を持てるのは、お母さんたちにとってとてもよい経験になります。なかまほいく終了後は、自発的に自分で近所の人たちを巻き込んで子どもの預け合いを広めるお母さんも少なくありません」(坂本さん)
なかまほいくの活動は、ママたちの中に眠っている“子育ての力”を刺激し、発揮の場を与えることで成功体験へと導くというもの。育児に自信を持ったママは気持ちがぐんと楽になるので、行動力もアップします。そういうお母さんがひとり、またひとりと増えていくことで地域全体のコミュニティ力が高まり、子育てのしやすい環境作りにも繋がっていく――。なかまほいくの提案が、実に理想的かつ現実的だということがわかります。