赤ちゃんの頃からパパが子どもと遊んで、子どもとかかわることの大切さは、3つあると思います。
ひとつは、子育てするママの気持ちが安定すること。2つ目は、パパの役割がママの“ご機嫌うかがい”にならずにすむこと。3つ目は、ママとは違う価値観を子どもに見せることができるということです。
この3つはどれも相互に作用しあっているのですが、パパが子どもと仲良く遊ぶことができたら、ママのイライラは格段に減ります。ママの気持ちが安定したら、パパがママの顔色をうかがうこともなくなり、ママのイライラが子どもに向かって行くこともありません。夫婦の気持ちが安定していたら、そんなに手をかけなくても子どもは育つと思うのです。
“ご機嫌うかがい”というのは、「これをやったらママの地雷を踏んでしまうんじゃないか」とパパがハラハラしている状態です。これでは父親として子どもとかかわるというよりも、「ママの手伝い」の枠を出ず、ママとまったく同じやり方で子どもの面倒をみたり、家事をやったりということになりかねません。家庭にママが二人いても仕方がないのです。パパはパパのやり方で子どもと接し、子どもに違う価値観を見せてあげることも大事な役目。そうやって父子の関係を築かなくてはいけないと思います。
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「パパちから応援隊」のセミナーを受講したパパに感想を聞いてみると、「抱っこしても泣かなくなったのは自信がついた」「遊び方がわかったので遊ぶ時間が増えた」と、パパ自身の気持ちが変化し、子どもとの関係に変化が生じたという声がたくさん聞かれました。また「妻に協調できるようになった」「ママも余裕ができたように思う」「ママがほめてくれるようになった」と、夫婦関係がよい方向へ変化したことを報告してくれたパパもいました。
セミナーに一緒に参加したママからは、「パパが体を使った遊びをしてくれると、子どもが丈夫に育ちそうでうれしい」「これまでは“私のやり方じゃないとダメ”とダメ出しばかりしていましたが、それがいけなかったと反省しました」「パパに任せなかったから、パパがやる気にならなかったことに気づきました。今はどんどん赤ちゃんのお世話を任せています」といった声が聞かれました。
このように、パパが子育てに関心を持ち、積極的にかかわったら、ママにとっても赤ちゃんにとってもいいことばかり。パパが赤ちゃんと積極的に遊べば、その分ママにも余裕が生まれます。そのことが夫婦関係を良くし、ひいてはママが社会で活躍する幅も広がる――。つまりは、世の中が変わるきっかけになるといっても、過言ではないのかもしれませんね。
【プロフィール】
赤松邦子(あかまつ・くにこ)
NPO法人「パパちから応援隊」理事長、元幼稚園教諭
1959年生まれ。1998年より子育て支援グループを結成し、地域の母親と子どものための活動を始める。2009年に、パパちから応援隊を結成し、本格的に父親の子育て参加を促す活動に着手。昨年より同団体をNPO法人とし、奈良県全域で毎週のようにセミナーを開いている。2010年、母子保健の発展と向上に活躍した個人をたたえる「第32回母子保健奨励賞 毎日新聞社賞」を受賞するなど、その功績が広く認められている。
パパちから応援隊 公式サイト http://papachikara.jimdo.com/
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