妊活のためのBMIチェッカー

妊活に適正なBMI値と、結果に合わせた食生活、
運動についてのアドバイスをご紹介します。

BMI値が19未満の
「痩せすぎ」のあなたは…

BMI18.5以下の痩せは、
栄養失調の可能性が高いので、
適切な食事と運動で、
妊娠に適した身体づくりをはじめましょう。

妊娠適齢期の女性が痩せ細ることは、妊娠・出産・産後においてデメリットが大きすぎることを覚えておきましょう。BMIは卵巣年齢(AMH)、排卵性不妊、骨密度などと相関することが国内外の研究より報告されています。

4つのデメリット

1.妊娠時、適切な体重増加ができない

国内の妊婦2,500名を対象としたBMIと妊娠中の体重増加の調査報告により、妊娠前に痩せ型だった妊婦さんは、妊娠時に体重が順調に増加しても、必ずしも赤ちゃんの体重増加に繋がらないことがあり、低出生体重児を産むリスクが高まることが報告されています。※1

2.骨密度も低い傾向にある

BMIが低い女性は骨密度も低い傾向にあることが国内の研究結果から報告されています。
寝たきり患者に女性の方が多いのは、女性が骨折しやすいことが関係しています。若いときに痩せ過ぎて骨密度を落とすことは将来の寝たきりリスクを高めてしまう可能性があるため、注意しましょう。※2

3.子宮内膜症の発症リスクが高まる

婦人科疾患においては、BMI18.5以下の女性は子宮内膜症の発症リスクが高いことが報告されています。※3

4.妊娠までの期間がかかってしまう

妊娠前のBMIが低いと、妊娠までの期間が正常体型の女性に比べ、約4倍ほど期間がかかってしまうことが報告されています。※4

5.隠れ貧血のリスクが高まる

出典:妊婦の鉄摂取量と鉄栄養状態の横断的検討
渡辺優菜 善方裕美 石田裕美 上西一弘
女子栄養大学栄養生理学研究室 よしたか産婦人科 女子栄養大学給食・栄養管理研究室

女性は毎月月経によって22.5ccの出血があり、1回の月経で鉄分も10.5mgほど失っています。
それに加え、毎日の発汗、尿、便を通じて1mgの鉄を失っているため、食事からの補給を意識しないとあっという間に不足してしまいます。
とくに、痩せ型の女性は1日の必要エネルギーが不足している可能性があり、様々な栄養の不足が懸念されます。「健康診断で貧血と言われたこと がないから大丈夫」と思われるかもしれませんが、体内の鉄分は60~70%がヘモグロビンとして存在していますが、20~30%はフェリチン(貯蔵鉄)という形でストックされています。実は、妊娠をすると、体内で鉄分の需要が急激に高まり、体内のフェリチン(貯蔵鉄)が大幅に減少します。
妊娠中・産後の貧血を避けるためには、妊娠前に50ng/mLをキープしたいところですが、平成24年度の国民健康・栄養調査では妊娠適齢期世代の3人に1人が12ng/mL以下であり、病院に行くと鉄剤処方が必要になってしまう「隠れ貧血」に該当しています。
また、ハーバード大学の研究では、サプリメントで鉄分を補っていた女性が不妊になるリスクは40%も低く、食事からの鉄も妊娠率に影響することを報告しています。※5
意識しなければ満たすことが難しいミネラルと心得て、しっかり摂りましょう。
ブライダルチェックなどでフェリチン(貯蔵鉄)の事前チェックもおすすめします。

以上の理由から、最も排卵性不妊のリスクが少なく、
妊娠時の体重増加が順調になるBMI19~24内を目指すことが妊活において重要なポイントといえます。

ポイント1
まずは体重を増やすことをおすすめします。

※同じ重さの脂肪(左)と筋肉(右)

痩せ型の人はまずは体重を増やすことをオススメします。
服が主役のモデルさんの多くはBMIが18.5未満ですが、存在感を放つ女優さんの多くはBMI19~20が多く、決して適正値=太っているではありません。

また、BMIを上げるために体重を増やす場合、体脂肪より1.2倍重たい筋肉をメインに増やすと見た目は引き締まりながら、体重を増やすことができます。(もちろん食事量は消費量より多めに)下肢筋肉量が多い女性は卵巣機能が高いことも報告されています。※6

ポイント2
体脂肪が低いと、様々なリスクがあります。

また、BMIと同時に体脂肪も低い(17%以下)場合は、月経不順・無月経・排卵障害のリスクが高まることも覚えておきましょう。
さらに、20代において低体脂肪の女性は、卵巣年齢(AMH 抗ミュラー管ホルモン)が高齢化している傾向にあることが私どもの研究によってわかっています。
卵巣年齢(AMH)とは、卵巣の中にある卵子の残り数であって、質ではありません。
卵子は毎月の排卵とともに加齢に伴って減少していきますので、卵巣年齢のアンチエイジングはできません。

ポイント3
和食を中心にした食生活をおすすめします。

妊娠を望んだときに、できやすい身体にしておくためには、BMI・体脂肪ともに適性な値を目指しましょう。
また、卵巣年齢が良い方は魚介類・卵類・きのこ類・芋類を中心とする野菜類をバランス良く食べていました。
和食を中心にした食生活も妊活の一環としておすすめします。和食の基礎であるかつお節には食べ過ぎを防ぐダイエット効果があるだけでなく、精神的なイライラ、怒り、抑うつ、疲労を緩和し、活力をもたらす効果があることが報告されています。
つまり、和食はメンタルにも良いということ。※7
毎日をハッピーで過ごすためにも、和食は一押しです。

<ご注意>
各アドバイス内容は、あくまで妊活中の女性のためのものです。
  • ※1産科婦人科館出張佐藤病院調べ
  • ※2Fertil Steril 2013; 100: 631
  • ※3Hum Reprod 2013; 28: 1783
  • ※4Fertil Steril 2013; 100: 631 1
  • ※5「妊娠しやすい食生活」(日本経済新聞出版社)ジョージ・E・チャヴァロ、ウォルター・C・ウェレット、パトリック・J・スケレット、志馬千佳
  • ※6タニタ体重科学研究所調べ
  • ※7「鰹だし継続摂取が中高年の気分・感情状態、特に疲労感に及ぼす影響」発表者 味の素(株)加工食品開発・工業化センター 黒田素央

イラスト:吉野伶奈

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細川モモ
Momo Hosokawa

予防医療コンサルタント。両親のガン闘病をきっかけに予防医療を普及させるべく、米国で栄養学を学ぶ。医療と食の専門家による予防医療プロジェクト「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を日本とNYに発足。2011~2015 ミス・ユニバース・ジャパン ビューティーキャンプ講師を努める傍ら、卵巣年齢共同研究PJ・妊婦栄養研究PJといった共同研究を進める。2014年に「まるのうち保健室」を三菱地所とともに立ち上げ、日本初となる「働き女子1,000名白書」を発表。1児の母として、日経DUAL,Pre-moにて子育てレシピエッセイを連載中。ミキハウスとコラボした離乳食レシピ動画も公表配信中。

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