やすのり先生のキーワード解説(4)
おしるし/破水/陣痛<後編>

赤ちゃんは産道で旋回している?

赤ちゃんをお腹の中から外の世界に出すためには、陣痛だけではダメです。「いきむ」ということが必要になります。少し難しい言葉でいうと「娩出(べんしゅつ)力」。腹圧をかけなくてはならないのです。

腹圧は、腹筋があるかどうかはあまり関係がありません。いきんで、顔だけ真っ赤になる人がいますが、お腹の下のほうにいきまなくては、赤ちゃんは生まれてこないんですね。英語ではいきむことを“プッシュ”といいますが、赤ちゃんを下へ押し出すという感じです。

赤ちゃんは産道を通って生まれてきます。産道には骨産道と軟産道というものがあって、骨産道は骨盤の内側の骨の部分のことで、軟産道は子宮下部・子宮頸部・腟・外陰部の一部のことを指します。骨盤の形は生まれつきのものですが、お産が軽いかどうかに影響を及ぼします。また、軟産道は赤ちゃんが通りやすいように、うまく伸展させられることが理想ですが、産婦が高齢になると筋肉が硬くなり、伸展しづらくなります。これによって難産が増えることもあるのです。

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人間は二足歩行になったことで、難産が起こるようになってしまいました。二足歩行するために骨盤が狭くなったことが原因です。

動物はみんな骨盤位、つまりお尻から生まれてきますよね。人間のように頭から生まれてくることはありません。これはなぜだかわかりますか? 人間の場合は頭がいちばん大きいからなのです。体のいちばん大きい部分を使って、お母さんの子宮をどんどん開いて出てきます。赤ちゃんは産道で体を旋回させて、誕生するのです。時にあごを引いたような状態に頭を下げたり、逆にあごを出して頭を上げたり。自然にそのような動きができるのが赤ちゃんなのです。おもしろいでしょ?

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