2014年5月、日本を代表するオフィス街・丸の内に「丸の内イクメン部」が誕生しました。その名のとおり、丸の内を中心に働くお父さんたちによるイクメン活動を推進する“部活”です。発足から一周年を迎えた今年、果たしてイクメン部のパパたちは、一体どのようなイクメンになったのでしょうか!? ママたちも気になる「丸の内イクメン部」の活動を取材しました。
丸の内で忙しく働くビジネスマンこそ「イクメンになりたい」 と思っていた!?
丸の内に本社を置く、明治安田生命保険相互会社・企画部の呼びかけによって昨年発足した「丸の内イクメン部」。オフィス街のイメージの“丸の内”と“イクメン”という言葉がひとつに組み合わさったこの試みは、発足当初から多くの注目を集めました。
企画部主席スタッフであり、発起人のひとりでもある村上治也さんに「丸の内イクメン部」スタートのきっかけを聞いてみると、「実は、群馬県の前橋市で始まった部活動の“前橋◯◯部”に着想を得てのことなんです」との答えが。
前橋◯◯部は、前橋朝活部、前橋拉麺部、前橋ランチ部など前橋を活動拠点とする部活動。年齢も職業も関係なく、◯◯部のテーマに興味がある人々が集まり活動を行っていますが、小さな集まりやイベントを通して地域での交流が生まれ、人と人とが結びつき、ローカルコミュニケーションの活性化に効果が期待できると注目を集めています。そんな前橋◯◯部に着想を得て、村上さんが「丸の内にイクメン部があってもいいのでは?」と考え、まずは社内に声をかけてみたところ、予想をはるかに超える大勢の手があがったのが昨年5月。
「丸の内イクメン部」発起人のひとりの村上治也さん。女の子と男の子の2児のパパ
ちなみに、村上さんが言うところの“イクメン”は、女性誌に登場するような家事も育児も完璧で、料理もプロ並みの腕を持つスーパーマンのようなイクメンではなく、お母さんのように要領よくはこなせないけれど、育児や家事を楽しんでやろうという気持ちで取り組む、「いつかイクメンになりたいな、なれればいいな」という願望を持っているパパのことを指すのだとか。もちろん村上さんも少しでもイクメンに近づければ……と願うパパのひとりです。
「イクメン部を掲げていると、まるで僕らが仕事も家事もパーフェクトにこなせるスーパーお父さんみたいに思われる方もいらっしゃるみたいで……。そんなイメージを持たれると困ります(笑)。“イクメンに興味がある”というお父さんたちの集まりという感じです」と、村上さん。
実はイクメン部の発足には、前橋◯◯部だけでなく、村上さん自身のある体験も影響しているのだとか。
「4年ほど前から、毎年“母の日”には、会社の同期数人でそれぞれの子どもたちを連れて公園に集まり、1日子どもたちの面倒を見ることを続けていました。子どもたちを遊ばせている間、ママにはショッピングを楽しんでもらおうという趣旨で。お父さんにとっても、ひとりで子どもの面倒を見るより、何人かで集まれば子どもは子ども同士で遊んでくれるし楽ですよね。そんな軽い気持ちでやっていたところ、自分たちのママはもちろんのこと、他のお母さんたちからも想像以上に好評で。『うちのパパも参加させたい』という声も多く、こんなちょっとしたことでママたちが喜ぶことに驚きました。それなら周りのお父さんたちにも教えてあげたいし、これはきっとニーズがあるはずだと」(村上さん)
実際、社内で「イクメン部」発足のアナウンスをしてみると、すぐに50人を超える入部希望者が。小さな子どもがいる人はもちろん、これから子どもが生まれてパパになる人や、なかにはすでに思春期を迎えるお子さんがいてコミュニケーションに困っているという管理職の方も。社内で「イクメン部」を立ち上げてから、社外へ声をかけてみると丸の内界隈の約30社から100人ほどが集まりました。
昨年8月に実施した「丸の内イクメン部」結成パーティーのチラシ
昨年8月に行った「丸の内イクメン部」結成パーティーは、参加企業の協力により趣向の凝った演出でおおいに盛り上がりました。音楽関係会社によるオペラ風にアレンジした乾杯にはじまり、オムツメーカーによるオムツ講座の開催や、丸の内界隈を彩るアパレルメーカーのカリスマバイヤーを招いての最新イクメンファッションショーなどが実施され、“イクメン”という共通の目標を持つ参加者同士、すぐに打ち解けたと言います。