最近増えている妊婦のための「マタニティタクシー」とは?

最近増えている妊婦のための「マタニティタクシー」とは?

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妊娠した女性は、いろいろなことに不安を抱くもの。出産間際に訪れる「陣痛」もそのひとつではないでしょうか。陣痛がきてから病院に移動しなければならないとき、妊婦の強い味方になってくれるサービスがあります。それが「マタニティタクシー」。使い方をお知らせするとともに、都内で初めてこのサービスをスタートさせた、大手タクシー会社社長のお話もご紹介します。


陣痛タクシーってどんなふうに利用できるの?

「陣痛タクシー」「マタニティタクシー」などの名称で、現在全国に広がっているこのサービス。まずは、そのシステムをご紹介しましょう。

タクシー大手「日本交通」(東京都北区)では、東京23区、三鷹市、武蔵野市で「陣痛タクシー」を提供していますが、利用の手順は次のようなものです。

(1)事前登録
まずは、出産する本人の名前、電話番号、夫など本人以外の緊急連絡先、出産予定日、自宅などの迎え先、出産予定の病院といった情報をサイトまたは電話で、登録します。

(2)出産当日
いよいよ陣痛がきて、出産のため病院へ移動しなければならないときがきたら、事前登録しておいた電話で日本交通配車センターに連絡。

(3)配車センターと運転手
連絡の入った配車センターでは、モニターに「陣痛」の文字とともに、自動的に出産する病院の電話番号が表示されます。そして、実際に妊婦さんを迎えにいく運転手の車のナビゲーションに、ピックアップ先から病院へのルートが出て、目的地まで送り届けます。

こちらの会社では、配車センターのオペレーターは24時間365日対応。基本的に、通常のメーター料金と迎え料金(410円)のみで利用できます。また、妊娠中の定期健診などで病院に行く際も、利用可能です。

 

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日本交通のホームページより

妊婦とその家族の心強いサポート役

もしも、自宅に一人でいるときに陣痛がやってきても、迎えにきてくれる人がいれば、気持ちに余裕がうまれそう。たとえ、あわててしまっても、送り先や緊急連絡先は事前に登録してあるので安心です。

タクシーに乗っている間に、万が一破水するなどで車のシートを汚してしまっても、同社ではクリーニング代を請求するようなことはないとのこと。その他のタクシー会社でも、防水シートが装備されているなど対策がなされているそうです。

自ら発案し、2012年5月から都内で初めて「陣痛タクシー」のサービスを開始した、日本交通の川鍋一朗社長にお話をうかがいました。

 

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日本交通 川鍋一朗社長

「利用したお客さまからお手紙をいただいたり、喜んでもらっていることを実感しています。陣痛がくると予想以上にあわててしまうもの。実は、私自身も昨年7月に娘が誕生した際に利用しました。タクシーが迎えにきてくれたときは本当にホッとしました。

陣痛で苦しんでいる妊婦さんをタクシーに乗せるのは、安全面でリスクがあり、進んで受け入れる態勢はできていなかったんですね。けれど、妊婦さんからは毎日のように要請がある。それなら、安心して乗っていただけるように態勢を整えたほうがいいだろうと思い、オペレーションシステムをつくり、乗務員への教育を行い、2012年5月の母の日にサービスを始動させました。今では、毎日約55件のご登録、約20件の出動要請がきています。

乗務員全員が助産師さんのレクチャーを受け、妊婦さんを送迎するときの注意事項を確認。また、車内に緊急対応マニュアルを常備しています。

陣痛タクシーに乗務した運転手は、ドキドキしながらも、人の役に立ったということに喜びを感じています。社員のやる気向上という副次的効果もありました」

実際に妊婦さんを乗せた運転手さんにお話を聞いてみました。

「普通の妊婦さんを乗せるだけでも、『赤ちゃんの命も預かっている』という気持ちになりますが、それがお産間近の妊婦さんだと余計に責任を感じます。緊張しますが、私たちは運転のプロ。無事に病院まで届けたときは、なんともいえない満足感があります」

同社では大雪の日なども、優先的に陣痛タクシーに台数を割くようにしているとのことです。

ここで「車内で本当に生まれてしまったらどうするのか?」と疑問に思った人もいるかもしれません。日本交通の広報担当者に聞くと、車内で生まれてしまったケースは今まで1件だけあったそうです。そのときは、一緒に乗っていた夫が病院と連絡を取り、指示を仰ぎながら、病院に向かったとのこと。病院の前で医師や看護師が待ち構えていたので、生まれた子どももお母さんも問題なかったそうです。

乗務員は、医療行為を行うことはできませんが、配車担当のオペレーターが病院とのやりとりをし、それを乗務員に伝えるシステムになっているそうです。たとえ、本当に車内で生まれてしまっても、その後の処置がスムーズにいくように、病院側との連携が行われるようになっているんですね。

妊娠、出産は病気ではないため、産院へ移動するときに救急車を呼ばないように妊婦は指導されますが、陣痛タクシーがあるなら不安も解消できます。

東京・成城の産婦人科「成城木下病院」の木下二宣院長は、このシステムは病院側にとっても心強いサポートだといいます。「陣痛タクシーサービスは、事前に登録することで、出産の不安を抱えている妊婦さんが“一人ではない安心感”を得られると思います」と推奨しています。

退院時に利用したい便利な「キッズタクシー」

なお、同社の場合、退院時の送迎には陣痛タクシーは使用できず、代わりに「キッズタクシー」を利用することになるそうです。チャイルドシートが完備され、赤ちゃんを正しくシートに乗せるのも、乗務員がやってくれます。また、ワゴンタイプのタクシーなので、いただいたお祝いやその他荷物が多くても、きちんと運ぶことができます。

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こちらは、1時間の時間制で4650円+チャージ620円=5270円。乳幼児と家族の送迎だけでなく、たとえば、小学生を学校からお稽古事の会場まで連れていったり、家に送り届けたりする場合にも利用でき、より長い期間、子どものいる家庭をサポートしてくれるサービスだといえるでしょう。

キッズタクシーの乗務員は、すべて希望者。決められた場所に送り届けたときに、保護者に無事届けた旨のメールを送ったり、車内で子どもと話した内容を保護者に伝えたり、利用者が安心できる工夫がなされています。

より親密な人間関係が築けるので、子どもたちがキッズタクシーから卒業する日がくると、泣いてしまう運転手さんもいるそうです。もちろん子どものほうも、感謝の手紙を送るなどして別れを惜しむとか。強力なサポート役として、このような大人たちが子どものまわりにいてくれることは、親にとってはとてもありがたいことですね。

妊娠がわかり、出産する病院が決まったら、ぜひ、自分の住んでいる地域で陣痛タクシー、マタニティタクシーが運行しているか、調べてみてはいかがでしょうか? 「陣痛タクシー」「マタニティタクシー」+「ご自身の住んでいる地域」(例:陣痛タクシー 大阪)で検索すると、該当エリアでサービスを提供しているタクシー会社を見つけることができます。

 

【関連リンク】
日本交通株式会社 陣痛タクシー
http://www.nihon-kotsu.co.jp/taxi/use/jintsu.html
日本交通配車センター
03-5755-2151

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