わが子への最初のプレゼント、それは「名前」です。一生を共にするたったひとつの贈り物だからこそ、多くのママ・パパが悩み、考え、特別な想いを込めています。では、令和の時代を生きるママやパパは、どのように大切な名前を決めているのでしょうか?
この記事では、2017年以来、継続的に実施されている「ミキハウス名づけ調査」の最新データと過去の推移を基に、現代のママ・パパが名前を選ぶプロセスや価値観のトレンドを解き明かします。
調査からは、字画や姓名判断といった昔からずっと大切にされてきた価値観を重視しながらも、ジェンダー観の変化といった新しい考え方を柔軟に取り入れる、現代ならではの名づけ事情が見えてきました。それでは「令和の名づけ 2025年版」のリアルな姿を、データと共に解説していきます!

どうやって決めている?イマドキの名づけプロセス
現代のママ・パパは、具体的にどのようなステップで名前を決めているのでしょうか。調査データから、3つの特徴的なプロセスが見えてきました。
名付けの主導権はややママに? 6年前と比べて関与率が6.4%上昇

名づけの中心にいるのは誰か、という調査の結果では、名づけに主体的に関わったのはママが85.5%でトップ、次いでパパが72.1%でした。ママの関与が最も高いものの、パパも7割以上が関わる「夫婦の共同作業」が主流であることに変わりはありません。しかし、過去のデータと比較すると、そのバランスには明らかな変化が生じています。
2018年の調査では、ママ(74.7%)とパパ(74.5%)の関与率はほぼ同率で、名づけはまさに「五分五分」の共同作業でした。ところが、2019年の調査(ママ79.1%、パパ74.8%)でその差が開き始め、今回の2025年版ではママとパパの差が13.4ポイントにまで拡大しています。
この6〜7年の推移を見ると、パパの関与率が70%台前半で横ばいなのに対し、ママの関与率は約10ポイント上昇しています。「パパも関わるけれど、最終的な決定や提案のイニシアチブはママが握る」というスタイルが、令和の名づけのスタンダードになりつつあるのかもしれません。
重視するのは何?「伝統」と「現代的価値観」のバランス

名前を決めるうえで何を重視するかという質問からは、非常に興味深い結果が浮かび上がりました。
伝統的要素 「昔ながら」の根強さ
姓名判断/字画のよさ (53.2%) と漢字の意味や由来 (48.9%) がトップ2を占めました。古くから伝わる慣習や、漢字一文字一文字に込められた意味を大切にする文化が、今もなお名づけの基盤となっていることがわかります。
現代的な配慮、意識もより明確になってきました
一方で、キラキラネームを避ける (36.9%) や 読みやすい漢字を使う (36.5%) といった、社会的な視点や実用性を意識する傾向も強く見られます。さらに、ジェンダーレスな名前にする (11.2%) といった、多様性を尊重する新しい価値観も、確かな選択肢として存在感を示しています。
「女性らしさ、男性らしさを意識した名前にする」という回答も減少傾向にあります。2017年の調査では23.2%あったこの項目は、2025年版では12.8%まで低下。性別での「らしさ」は重視されなくなってきていることがデータからはっきりとわかります。
古くからの慣習に敬意を払いながらも、社会との関わりや未来の価値観を冷静に見据える。この2つの軸を両立させる「ハイブリッドな思考」が、令和の名づけのベースにあるのかもしれません。
頼りになるのは?WEBサイトとアプリが必須ツールに

では、これらの情報をどこから得ているのでしょうか。参考にしたサービスについての調査では、デジタルツールへの強い依存が明らかになりました。
姓名判断・占いのサイトやアプリ (53.0%)
字画の良し悪しを、手軽なデジタルツールで確認するのが主流です。
名づけ情報サイト (WEB) (51.7%)
名前の候補や意味、トレンドなどを総合的に調べるために活用されています。
名づけ関連の書籍 (33.2%)
デジタルと並行して、体系的にまとめられた書籍も依然として頼りにされています。
ここに見て取れるのは、最も重視される「姓名判断」という昔ながらの慣習でさえ、その手段はWEBサイトやアプリに移っているという事実です。伝統的な価値観を、現代のテクノロジーを駆使して満たすって、なんだか面白いですよね。
プロセスが見えたところで、次はママ・パパたちの「価値観」そのものに迫ります。今、最も大きなトレンドとなっているのは、一体どのような考え方なのでしょうか?
最大のトレンド 「らしさ」から「自由」へ、ジェンダー観の変化

今回の調査で最も顕著だったのは、ジェンダーに対する意識の変化です。「男の子らしさ」「女の子らしさ」という固定観念から、子どもの可能性を広げる「自由」な名づけへと、親の意識が大きくシフトしていることがデータから読み取れます。
7割が実感、名づけに影響する「ジェンダーフリー」の考え方
「ジェンダーフリーの考え方が名づけに影響を及ぼしていると思うか?」という質問に対し、「とても思う」(24.4%) と「やや思う」(44.7%) を合計した69.1%もの人が、その影響を実感していると回答しました。多様性を尊重する社会全体の意識変化が、子どもの名前を考えるという非常にパーソナルな領域にまで浸透していることが伺えます。
実際、「ジェンダーレスな名前にする」ことを重視する割合は、2017年の調査ではわずか2.7%に過ぎませんでした。それが2022年には10.7%、そして今回の2025年版では11.2%へと、8年間で約4倍に急増しています。これは一時的な流行ではなく、確実な価値観の定着を示しています。
「ジェンダーレスな名前」については過半数が好意的という結果に

では、男女どちらにも使える「ジェンダーレスな名前」そのものについては、どう受け止められているのでしょうか。調査によると、「とても好意的」(33.3%) と「やや好意的」(20.5%) を合わせた53.8%が好意的な意見を持っており、過半数を占めました。
とくにどちらの意見でもないという回答者も40.7%を占める一方、批判的な意見は合計で5.4%に留まっています。ジェンダーレスな名前が社会に広く、そしてポジティブに受け入れられている傾向が明らかになっているといえそうです。
なぜ選ばれる?名前に込める「縛られず、自由に生きてほしい」という願い

なぜ、これほどまでにジェンダーレスな名前が支持されるのでしょうか。その背景には、わが子の未来を深く思う親の愛情がありました。
子どもの自由な成長のため
回答者からは、「名前から女の子らしさや男の子らしさを感じさせないことで、子どもが自由に成長できると思う」「名前に縛られることなく自由に生きられる名前をつけたかった」といった声が寄せられています。性別の枠にとらわれず、子どもが自分自身の人生を歩んでほしいという強い願いが伝わってきます。
将来の性自認への配慮
一方で、「性別に違和感が出たとしても、どちらでもいい名前ならずっと使ってもらえる」といった意見も。子どもが将来どのような性自認を持つことになっても、親から贈られた名前を愛し続けてほしい、という未来を見据えた深い配慮もうかがえます。子どもの将来の可能性を狭めないように、という親の深い愛情が、ジェンダーレスという新しい名前のトレンドを後押ししているようです。
このジェンダー観の変化は最大の潮流ですが、ほかにも見逃せないいくつかのトレンドが浮かび上がっています。
最近の名づけには、こんな傾向もあるようです

ジェンダー観の変化以外にも、現代の名づけにはいくつかの興味深い傾向が見られます。
生まれる前から愛情を育む「胎児ネーム」はもはや定番化しつつある?
妊娠中におなかの赤ちゃんにニックネームをつける「胎児ネーム」。ミキハウスでは数年にわたりこの傾向を調査していますが、もはやこれは新しい流行ではなく、妊娠期のコミュニケーションとして完全に定着したといえそうです。
今回の調査でも実に 87.0%が胎児ネームを「知っていた」と回答。また55.4%が「つけていた/つけている」と回答し、過半数を占めています。2018年時点で実施率は約6割、2019年でも半数以上が実施しており、大雑把に半分以上のママ・パパが胎児ネームをつけている実態が見えてきます。
「キラキラネーム」への意識は軟化傾向に
一時期、社会的な関心を集めた「キラキラネーム」。しかし、これに対する意識は軟化傾向にあります。今回の調査で「キラキラネームを避ける」と回答した方は36.9%でした。2019年の調査では51.4%と過半数が「避ける」と回答していましたが、そこから約15ポイントも減少し、はじめて4割を切りました。
これは「個性的であること」への許容度が社会全体で高まり、「避けるべきもの」というネガティブな意識が薄れてきていると捉えられます。この傾向は、「ジェンダーレスな名前」への受容の高まり同様、画一的な価値観ではなく、子ども個人の「らしさ」を多角的に尊重しようとする現代の親の姿勢を浮き彫りにしているのかもしれません。
インスピレーションは「自分たちの中から」が主流
名前を考える際、誰か特定の人物を参考にしたかという質問で、特に注目すべきは「参考にした人はいない」という回答が60.3%と他の項目と比べて突出していた点です。
著名人やスポーツ選手、あるいは祖父母など、特定の誰かを模倣するのではなく、多くの親が「わが子のためだけ」のオリジナルの名前を、自分たちの想いの中から紡ぎ出していることがわかります。かつては多かった「親(特にパパ)の名前から1文字をもらう」という習慣も、2017年の15.5%から年々減少傾向にあります(2025年は11.8%)。「継承」よりも「その子自身の個性」を尊重したいという、親心の表れかもしれません。
伝統と愛情を胸に、わが子だけの名前を

総じて、今回の調査は現代の名づけが「姓名判断」や「漢字の意味」といった伝統を尊重する心と、「ジェンダーの自由」や「個性」といった新しい価値観を取り入れる柔軟性をあわせ持った、非常にバランスの取れたものであるという姿を描き出しました。
時代がどのように変わろうとも、名づけの根底にあるのは、いつの時代も変わらない「わが子の幸せを願う親の深い愛情」です。これから名前を考えるみなさんも、いろいろ悩まれることでしょう。しかし、最終的にどんな名前を選んだとしても、その一つひとつが、わが子への想いが詰まった、世界でたったひとつのかけがえのないプレゼントだという事実は変わりません。









