わが子にどんな名前をつけようか。パートナーや家族と相談したり、はたまた自分自身に問いかけるときの、心踊るひとときですよね。
さて、ミキハウスでは2017年から2022年まで毎年「名づけ調査」を実施しています。名づけの傾向はその時々の流行り、時代的、社会的背景なども影響されるといわれますが、この6年でどのような変化があったのか、それともなかったのでしょうか。
特にこの6年の間に日本のみならず、世界中で様々な出来事が発生しています。世界中で政治的・社会的な分断が進み、気候変動の影響と見られる温暖化も加速し、集中豪雨による災害も頻発。一方で環境への意識は高まりSDGsという言葉も一般化していきました。もちろん忘れてはならないのが新型コロナウイルス感染症。コロナは私たちの生活様式を一変、価値観そのものさえ変えてしまいました。
そのほかにも東京五輪の延期と開催、me too運動、英国のEU離脱、ウクライナ侵攻…と、2017年以降に起きた出来事は、後々に歴史の教科書に記載されるようなものばかりだったのかもしれません。また、MLBの大谷翔平選手、テニスの大坂なおみ選手、ボクシングの井上尚弥選手らの世界的な活躍は、スポーツファンに限らず多くの人々に喜びと勇気を与えてくれたように思います。
本記事ではそんな激動の6年の名づけの変遷を見ていきたいと思います。
「誰」が名前をつけた? 名づけ主体の変化は?
最初の設問は名づけの主体者について。子どもの名前を誰が主体となってつけたのかをお聞きしています。ママもパパも主体者だよ、という場合はそのように答えていただいており、ママやパパに加えて、おばあちゃんも主体者の場合も同様にチェックいただいています。
2022年調査ではパパが主体者だと回答したのが71.9%、ママは79.9%と、ほとんどのご家庭ではママとパパが名づけをしていることがうかがえます。これは過去6年で共通した傾向で、その数字も大きく変化はありません。一方でその「割合」を見ると、この6年でママが主体者となっているご家庭が約10%もアップしているのは興味深い点と言えます。つい「新型コロナが影響しているの?」と思ってしまいますが、コロナ前の2019年の段階で上がっているので別の要因があるのかもしれません。
ジェンダーレスな名前をつける傾向が高まっています
続いては名づけをしたときに意識したこと、気をつけたことについて。「読みやすい漢字を使う」、「キラキラネームを避ける」、「姓名判断/字画の良さ」、「音の響きの良さ」など様々な選択項目から複数チェックしてもらっています。この6年での変遷を見てみて、特徴的なのは「ジェンダーレスな名前にする(男女ともどちらにも使えそうな名前をつける)」という項目を選んでいる方が増えていることです。
たとえば2017年は2.7%、2018年は3.9%しかいなかったのが、2022年には10.7%まで増えています。
名づけにおいて「パパの影響力」 どうなった?
名づけする際、たとえばパパやママから一文字を取って名前をつけることはよくあります。本項目では名づけの際に参考にした人についてお聞きしています。たとえば同じ字をもらう、同じ名前にする、など。こちらも過去6年を見比べると、ある「事実」が浮かび上がってきました。それはパパの名前を参考にしているご家庭が減っているということです。
2017年から5年間微減していたなかで、2022年は一気に3.2%ダウンした結果となります。ちなみにママの名前を参考にしたは2022年が10.2%、2021年は11.6%、2020年は11.5%、2019年は12.6%、2018年は12.8%、2017年は11.7%となっており、この1年で1.4%ダウンしているものの、パパほどではありません。
コロナ禍の名づけ3年の振り返り
この3年、新型コロナウイルス感染症が私たちの生活に与えたインパクトは今さら言うまでもありませんが、それが名づけに影響したかというと、その実態はなかなか見えてきません。本調査では3年前から、ずばり「新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う社会の変化や意識の変化は、名づけになんらかの影響を及ぼしましたか」と聞いています。その回答は以下の通りとなっています。
ほとんどの回答者は「影響を及ぼしてない」としており、その割合は2022年が92.4%、2021年は90.2%、2020年は86.7%となっています。こちらの数字でも年々、「及ぼしていない」という回答者が増えていますが、今思うと、3年前の“コロナ初年度”がもっともコロナの影響を受けて名づけをしたという方が多かったことが伺えます。
胎児ネームの認知度は高まったけど、つける人は減っている?
妊娠中、おなかにいる胎児につけるニックネーム=胎児ネーム。こちらの認識度についても毎年お聞きしています。2022年度は81.2%が知っている、残りの18.8%が知らなかったと回答していますが、こちらも過去6年間分のデータを振りかえってみましょう。
2017年が知っているが70.1%、知らないが29.9%なので、この6年間でやはり10%程度、胎児ネームの認知度は上がっていると言えそうです。一方で、胎児ネームをつけているかどうかについてもお聞きしているのですが、2017年は「つけている(つけていた)」が56.4%あったものの2022年には52.1%と、認知度の高まりとは反比例する結果となっています。
また胎児ネームと実際につけた名前の関係性についても聞いているのですが、2017年は「胎児ネームと実際の名前は全く異なる」と回答した方が69.2%でしたが、年々、上昇傾向にあり2022年は90.2%と9割以上が胎児ネームを本当の名前とは“別物”として捉えていることがわかります。
まとめるとこの6年で胎児ネームの認知度は上がり、つける人はちょっとだけ減り、つけている人はほとんどが実際につけた名前と関係ないニックネームをつけていた、という実態が見えてきました。
キラキラネームについては好意的になりつつある?
2010年頃から、個性的で読むことが難しい名前などに「キラキラネーム」という言葉が使われるようになっています。いわゆる「キラキラネーム」についてどのように思っているのか、「とても好意的」「やや好意的」「どちらでもない」「やや批判的」「とても批判的」の5段階で考えに最も近いものを1つ選んでいただいています。
この問いは2018年から設定しているので、この5年での比較になりますが、大きな変化は、“最大派閥”が「やや批判的」から「どちらでもない」に移り変わった点でしょうか。
2018年は「やや批判的」が42.9%、「どちらでもない」は41.5%、2019年は「やや批判的」が44.6%、「どちらでもない」は34.6%となっていましたが、2021年は「やや批判的」が41.8%、「どちらでもない」は43.4%と調査して4年目ではじめて「どちらでもない」がトップに、そして2022年は「やや批判的」が36.2%、「どちらでもない」は47.2%とキラキラネームについてはニュートラルなスタンスのママ・パパが増えていることが伺えます。
激動の6年 ママとパパの名づけにはこんな傾向がある……かも
いかがでしたでしょうか。本アンケートだけの比較にはなりますが、なかなか興味深い「変化」が見えているように思います。簡単にこの6年の変遷について改めてまとめます。
名づけの主体はママに
ここ数年、名づけの主体はずっとママとパパでしたが、パパよりもママが主導権を握るご家庭が増えているようです。
ジェンダーレスな名づけが“新常識”に?
名づけをする際に意識することで、着実に存在感を増しているのが「ジェンダーレス」。6年前はわずか2.7%しかなかったものが、今年は10.7%に。1割ものママとパパがジェンダーレスを意識しているんですね。
両親の名前から一文字取る…というケースが減少
こちらは数字を見ての通りで、パパの名前を参考に名づけをしたという回答は2017年の15.5%から6年間で5.7%ダウン。ちなみにママの名前を参考にしたとの回答はそこまで減っていません。この事実をどう見ればいいのでしょうか。
名づけにおいてコロナの影響は低減しています
もともとそこまで多いわけではなかったのですが、コロナが名づけに影響したと回答する人も年々減っています。
胎児ネームの認知度は上がり、つける人は減っています
この6年で胎児ネームの認知度は上がっているという結果に。一方でわが子に胎児ネームをつけた人はちょっとだけ減り、2022年はつけた人の約9割が実際につけた名前と関係ないニックネームをつけていたことがわかりました。
キラキラネームを気にしない人も増えています
最後にキラキラネーム。調査開始年の2018年はキラキラネームに好意的でも批判的でもない「フラットなスタンス」の方は41.5%程度でしたが、今年は71.9%がフラット勢に。なんとも興味深い結果となりました。
名前は、ママとパパから赤ちゃんへの最初のプレゼントであり、ずっと一緒に「ある」もの。だからこそどんな名前がわが子にあうのか、悩んでしまいますよね。でも、その悩んでいる時間もたのしいものです。ぜひ、いっぱい悩んで、ずっと呼びたい名前をつけてあげてくださいね。
●調査データの結果はこちらからごらんください。
ミキハウス名づけ調査2022(ミキハウスクラブアンケート調査)
https://baby.mikihouse.co.jp/information/post-17848.html