不妊に悩む夫婦のうち、その半分は男性側に原因があるにもかかわらず、「男性不妊」はまだまだ広く認知されていない現状があります。昔から、女性の問題とみられることが多かった不妊ですが、最近では“妊活する男性”も話題に上がるようになってきました。そこで今回は、気になる男性の不妊治療の現場を探ってみました。
男性妊活外来とは
東京駅、八重洲口。フォーシーズンズホテルに隣接するパシフィックセンチュリープレイス丸の内10階に位置する「メンズヘルスクリニック東京」は、テストステロン(男性ホルモン)に着目し、男性力をあげることを目的とした日本初のメンズクリニック。男性専門として注目を集めるこのクリニックに、男性妊活外来がオープンしたのは昨年9月のこと。
男性の妊活とは、生殖器が正常に機能しているか、つまり精子の数や質に異常や不具合がないかを調べ、異常があった場合には改善すべく治療を行います。例えば、精子の数が少なければ数を増やすために投薬治療を行ったり、精管に問題がある場合は、通りをよくするための手術を行ったりといった治療が施されます。
「男性の不妊の場合、自覚症状がまったくないので、精子が正常なものであるか、大なり小なり問題を抱えるものであるのかは、検査してみないことにはわかりません。ところが、女性の不妊検査と比べ、男性の不妊検査はまだまだハードルが高いと感じている人が多いのが現状です」
メンズヘルスクリニック東京の男性妊活外来で治療にあたる辻村晃先生は、不妊に悩む夫婦のこれまでの一般的なケースを次のように説明します。
「子どもを欲しいと望むカップルがなかなか妊娠できない場合、まずは女性が不妊検査を受け、そこで何の問題も発見されなかった場合に、ようやく男性がしぶしぶ検査を受ける、といったようなパターンがほとんどです。それは、男性が気軽に行動に移せる機関が整っていないことも影響していると思います。男性が不妊検査を受ける場所は、多くの場合、パートナーが通う産婦人科なり婦人クリニックなり、女性のための医療機関。女性だらけの待合室で、名前を呼ばれるのを待つのが男性にとって居心地が悪いことは容易に想像がつきます。加えて、そんな空間で男性器官の検査を受けるとなると、腰が引けてしまうのも仕方がありません」