メンズヘルスクリニック東京の注目すべき点が、不妊治療とともに「ブライダルチェック」を行っていることです。ブライダルチェックとは、女性が結婚前に妊娠・出産に備えて、婦人科器官がきちんと機能しているか検査してもらうのと同じように、男性が結婚前に自身の生殖能力のチェックを行うこと。
男性妊活外来のオープン以来、患者さんの8割が、このブライダルチェックで訪れているといいます。来院するのは、主に30代の結婚を控えた男性が多く、結婚が決まり、一応結婚前に自分の状態を調べておこうと思って来られる方がほとんどだそうです。
「子どもが欲しくてというのはもちろんですが、結婚前に自分の生殖能力の状態を知るという姿勢は、カップルのリレーションシップそのものにも大きく違いがでてくるのではないでしょうか。例えば、結婚してから実は無精子症だったとわかるよりもずっといい。無精子症でも治療によって精子が作れるようになる可能性はありますし、妊娠できる可能性もありますが、それを知っているのと知っていないのではあまりにも大きく違います」
辻村先生の言葉どおり、子どもを欲しいと望むのであれば、女性も男性も自分の生殖能力の状態を知ることはとても重要です。それは、自分のためだけでなく、「パートナーのことをどれだけ思いやれるか?」といった人間性にもつながってくるかもしれません。
ちなみに、無精子症と聞くと、絶望的と思われる女性の方もいるかもしれませんが、そうではありません。無精子症は、精液中に精子が一匹もいない状態ですが、精巣に精子が存在していれば、顕微授精などの不妊治療で受精・妊娠することができます。精液がまったく作られない状態のことは「無精液症」と言います。
≪男性不妊の症例≫
男性の不妊検査では、精液の検査だけでなく、指診や触診によって男性器そのものを調べるので、精巣腫瘍などをはじめとする他の病気のチェックにもなります。不調を訴えない限り、普段なかなか診てもらうチャンスもない器官のチェックも兼ねてと思えば、女性の婦人科検診のような感覚で、女性側から勧めてみるというのもいいのではないでしょうか。最近は、千葉県浦安市の例にはじまり、東京都文京区などでも男性の不妊検査に助成金を出す自治体が増えているので、積極的に活用してみることを検討しましょう。
現在、妊活中で男性の方がまだ検査を受けていないというカップルは、ぜひ女性からパートナーに男性専用のクリニックの存在を教えてあげてください。男性が気軽に不妊について相談できる専門機関の登場は、妊娠を望むすべてのカップルにとって、実に心強い存在ではないでしょうか。
【プロフィール】
辻村 晃(つじむら あきら)
順天堂大学医学部 泌尿器科学講座 先任准教授
兵庫医科大学卒業。国立病院機構大阪医療センター勤務後、ニューヨーク大学に留学し細胞生物学臨床研究員を務める。大阪大学医学部泌尿器科准教授などを経て、順天堂大学医学部泌尿器科学講座先任准教授。特に生殖医学、性機能障害の治療に注力し、不妊に悩む数多くの夫婦を助けてきた。
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