やすのり先生のキーワード解説(3)
おしるし/破水/陣痛<前編>

「破水」はいよいよ分娩が近いというサイン

今回の2つ目のキーワード、「破水」が起こったら病院に行かなくてはいけません。破水とは、卵膜が破れて羊水が出てくること。卵膜は3層からなっていて、いちばん内側にあるものを「羊膜」といいます。これが、外から菌が入らないように赤ちゃんを守っているんですね。だから、破水してしまうと赤ちゃんを感染の危険にさらすことになります。そのため、産科の現場では、破水が起こったら48時間以内にお産をしてもらえるように準備をします。

最も理想的なのは、子宮口が全開大(約10センチ)になったときに破水が起こること。子宮口が7~8センチで破水するのも正常範囲内。陣痛が次第に間隔を置かずにやってくる過程で破水する場合もありますし、分娩台の上に上がってからということもあります。

陣痛が来る前に起こるものを「前期破水」といいます。これは、だいたい5~10%の割合で起こるので、特段珍しいケースともいえないかもしれません。妊娠37週以降で起こるものです。ただ、子宮内感染と早産につながる可能性があるので、すぐに病院に行くことが求められます。

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実は36週以前で起こる破水もあります。私たちは「前々期破水」と呼んでいますが、こちらのほうが大変です。まだ胎児は小さいですから、お母さんの体から出て、生きていけるのかどうかということが問題になります。現代の考え方としては、たとえば32週で破水してしまったら、自然に任せる形で分娩できるようアプローチします。破水が起きると週数は少なくても陣痛はきますので。

これは未熟児治療の進化の賜物。今は「インタクト・サバイバル」、つまり“後遺症なき生存”が可能。日本の周産期医療は世界一なのは周知の事実です。

ときどき、「破水と尿の違いがわからないかもしれない」と心配される妊婦さんがいらっしゃいますが、破水のときは、さーっと流れるような感じで液体が出るのでわかると思います。色は無色透明から乳白色。アンモニア臭のようなにおいもありません。

次回は、陣痛をご説明しましょう。

* * *

おしるし、破水の意味をわかっていただけましたか? 後編では皆さんがおそらくいちばん心配している「陣痛」について、わかりやすく解説していただきます。

 

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