「陣痛」の苦しみは想像を絶すると言われることもしばしばあります。子どもは欲しいけど、陣痛が怖い……という女性も中にはいるかもしれません。やすのり先生こと、慶應義塾大学医学部名誉教授の吉村泰典医師に、そもそも陣痛はなぜ起こるのか、というところからこの現象について詳しくお聞きしました。
出産前に必ず訪れる子宮の収縮が「陣痛」
陣痛にはいくつかの種類があるのをご存知ですか? ふつうは分娩時、つまり出産直前にくる痛み、つまり「分娩陣痛」のことを指します。そのほか「妊娠陣痛」「前駆陣痛」「後産陣痛」「後陣痛」もあります。すべてに共通しているのは、子宮の収縮であるということ。痛みの有無や間隔は異なりますが、それらの子宮の収縮には意味があり、痛みがあることは正常なことです。
まずは、分娩陣痛についてご説明しましょう。
分娩が近づいてくると子宮口が大きく広がってきますが、子宮口が4~6cmになったときには陣痛の間隔は平均で3分になります。その後、子宮口が7~8cmのときは2分30秒、9~10cmのときには2分とどんどん痛みの間隔が狭くなってきます(図1)。
痛みの持続は子宮口が4~8cmのときは平均で70秒、9cm以上になると60秒に(図2)。つまり、痛さが1分続いて2分休み、また1分痛みが続いて……ということが繰り返されるのです。
分娩台へは、子宮口が10cmくらいになったら上がってもらいます。ここから分娩まではだいたい1時間はかかりますね。