世界の子育て Vol.1
オランダが“世界一幸せな子どもの国”と言われる理由(前編)

2018.04.05

ミキハウス編集部

2013年にユニセフが発表した「先進国における子どもの幸福度調査」で第1位に輝いたオランダ。「物質的豊かさ」「健康と安全」「教育」「日常生活上のリスク」「住居と環境」の5つの分野で行われた調査で、総合1位となりました。

子どもたちが幸せを感じながら成長できるオランダ。そんな子育て先進国に暮らすママ・パパは、いったいどのような子育てをしているのでしょうか。

そこで今回、ミキハウス「出産準備サイト」では、オランダの子育てについて書かれた書籍『世界一幸せな子どもに親がしていること』(リナ・マエ・アコスタ&ミッシェル・ハッチソン 日経BP社)の翻訳者であり、現在オランダで6歳の娘さんを育てている吉見・ホフストラ・真紀子さんに、オランダの子育てについての考え方と育児を取り巻く環境についてお話を伺いました。吉見さんのお話からは、社会全体で子育てを支援するオランダ社会の様子が見えてきました。

 

働き方が変わり、子育てがしやすくなった

子育ての話の前に、知っておきたいのがオランダの働き方。1980年代に失業率の高さとインフレに悩まされたオランダでは、82年に労働者と企業、政府の三者が話し合って「ワッセナー合意」を結び、互いに助け合うことを決めます。その後、労働法が改正され、週40時間以上働くフルタイム勤務と40時間未満のパートタイム勤務の賃金や社会保険、休暇などの“格差”が解消されていきます。そして今や、その人のライフスタイルや家族構成にあわせて、自由な働き方が選べるようになっています。そして、こうした働き方の変革が、オランダの家庭のあり方にも大きな変化をもたらしていると吉見さんは言います。

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「例えば、私の夫は公務員なのですが、オランダの公務員は週36時間勤務と決まっているので、全員がパートタイマーです。オランダでは、パートタイムで働く人の割合は、男性が26%、女性が75%もいます。また両親が働いているのが当たり前ですが、2人ともフルで働くのではなく、少し仕事量を抑えて2人で1.5人分くらい働いて、残りの時間で子育てや家庭のことをするという考え方が定着しています」(吉見さん)

オランダでは、週4日勤務のパパの多くは水曜日を休みにして子どもたちとすごすので、水曜日は「パパの日」と呼ばれているそうです。また、職場全体に、家族との時間を大切にすることを優先すべきという考え方が浸透しているとか。

「オランダの職場でも忙しい時は残業があります。残業代は支給されませんが、その代わり『先週は忙しくて残業を8時間したから、今週は8時間休んでいいよ』なんてことになることが多いので、家族とゆっくり遊んだり、趣味を楽しんだりしてその時間を使います」(吉見さん)

仕事や家族に対する考え方は日本人と違い、収入は多くなくても仕事を無理なくこなし、家族との時間や趣味を楽しむのがオランダ流。日本にいた頃、会社員としてハードに働いてという吉見さんですが、今ではこのオランダ流の子育てを楽しんでいるそうですよ。

 

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