10人に1人といわれる「産後うつ」 
その特徴と対策 Vol.2

ミキハウス編集部

子育てママには無条件で200点あげてほしい

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子育てに日々全力で取り組んでいるママに対して、友人や知人などができることは何でしょうか? 大葉さんは「共感と共鳴を持ってお母さんに接してほしい。お母さんが何も言わなくても、表情を見てがんばっていることを察してあげてください。もう全面的に200点あげてほしい!」と答えてくれました。

「何か手伝えることはある?」「してほしいことはある?」「今必要なことは何?」とインタビューしてあげるような気持ちで、お母さんと接してあげるのがベストと大葉さん。赤ちゃんの世話に一生懸命で、ちょっとストレスを溜めているようなママには、「がんばってるね!」「遠くて何もできないけれど、気持ちを聞くお手伝いはするよ! 何でも言ってね」と、お母さんの本音の気持ちをサポートしながら話を聞いてあげると効果的。ナーバスになっているお母さんの感情の言語化を手伝ってあげると、物事が整理され、お母さんの中にも方向性が見えてくるのだそうです。

「人と人とが支え合って人という字を書くように、人間は一人では生きていけません。赤ちゃんは新しい命で、そのもっとも幼い人間を育て始めるのだから、もちろん一人では絶対に無理。子育てに周囲のサポートは必要不可欠です」(大葉さん)

最後に、大葉さんは、産後うつと「マタニティブルーズ」の違いについて話してくれました。大葉さんのクラスを受講するお母さんたちの中にも、この二つを混同している人が意外と多いそうですが、産後3日目くらいからはじまり、2週ほどすれば落ち着くものがマタニティブルーズ。わけもなく涙がこぼれたり、幸せなはずなのに不安に感じたりする心の状態で、ホルモンの急激な変化によって起こり、およそ8割のお母さんがなると言われています。

大葉さん自身も、5人目のお子さんの出産後にマタニティブルーズを経験したそう。“趣味はお産、特技は安産”と公言するほど、出産が大好きな大葉さんの身にもマタニティブルーズが起こるなんて、自分でも大きな驚きだったと言います。そのくらい、本当に誰にでも起こりえることなのだということがわかります。マタニティブルーズは早ければ2~3日、長めでも2週間くらいで自然と回復するといわれているので、過度に心配する必要はないそうですが、知っておくと安心ですよね。

妊娠中からお母さんにとって心地よい環境作りを心がけ、“SOS”のハードルを思いっきり低く設定しておくことが、産後うつの予防策。それでも症状が出てしまったときは、お父さんをはじめとした周りの家族が、お母さんの置かれた環境が子育てには不適切であることをくみ取りましょう。決してストレスを溜め込んでしまうお母さんが悪いのではなく、お母さんをとりまく環境に問題があると考えること。ママが「一旦休ませて!」という心の叫びをあげていることに気づくことが必要なのです。

 

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【プロフィール】
大葉ナナコ(おおば・ななこ)
東京都出身。1985年、女子美術大学短期大学部生活デザイン科卒業。1987年に自身が自然出産と母乳育児を経験し、出産準備教育や産後のライフデザインなどに関心をもつ。その後、同分野の情報コーディネイターをしながら、国内外で学び、2003年「バースセンス研究所」、2005年「誕生学協会」を設立。現在、各機関の代表を務める。2男3女の母。

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